様々な方面で目覚ましい活躍をみせるVTuberグループ・ホロライブによる音楽プロジェクト「Blue Journey」の1stシングル『水たまり』が2月7日(水)にリリースされた。

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明るく元気なアイドル像を表現する「hololive IDOL PROJECT」──そんな王道が放つ輝きとは異なるメッセージを届ける新プロジェクトとして発足した「Blue Journey」は、そのテーマを色濃く映す1stアルバム『夜明けのうた』のリリース、アルバムタイトルを冠した1stライブ「夜明けのうた」の開催と、精力的に活動を展開してきた。

満を持しての1stシングルリリースという新たな局面を迎えるにあたり、改めて「Blue Journey」とはどんなプロジェクトなのか、その旅路の果てに何を為さんとするのか。

「水たまり」をはじめとする楽曲の歌詞やライブパフォーマンスから、彼女たちの目的地を紐解いていこう

記事最後には、担当プロデューサーからメンバー23人それぞれへのコメントも掲載している。

文:オグマフミヤ 編集:恩田雄多
「Blue Journey」1stシングル『水たまり』の詳細をチェックする
ホロライブの新たな音楽プロジェクト「Blue Journey」

さくらみこさんや兎田ぺこらさん、宝鐘マリンさんといった強烈な個性を放つVTuberが多数所属するホロライブ

「Blue Journey」は、そんなホロライブの新たな取り組みとして、2023年4月から展開されている音楽プロジェクトだ。



目指すのは「輝きだけではなく、隠したくもあり声枯れるまで叫びたくなるような感情を、楽曲と世界観で表現していくことで、笑顔の一助になること」。

そのビジョンに共感したホロライブ所属タレント23人が参加している。

「Blue Journey」参加タレント ※敬称略
アキ・ローゼンタール白上フブキ湊あくあ癒月ちょこ大空スバル大神ミオさくらみこ猫又おかゆ戌神ころね兎田ぺこら不知火フレア白銀ノエル宝鐘マリン天音かなた角巻わため常闇トワ姫森ルーナ雪花ラミィ獅白ぼたん尾丸ポルカ鷹嶺ルイ博衣こより沙花叉クロヱ


多くの人気タレントが参加する大型プロジェクトというだけでもセンセーショナル。

加えて、王道である「hololive IDOL PROJECT」とは明確に異なるテーマを持ち、独自の路線を貫きながらも、お披露目たる1stライブで東京ガーデンシアターソールドアウトさせた「Blue Journey」の魅力は、それだけではない。



王道とは一線を画すダークなエモーションの発露

「Blue Journeyは、これまでホロライブが大切にしてきた輝きや笑顔といった王道アイドル像を保ちつつ新しいコンセプトを示すために、ホロライブの裏垢的な存在として活動やアカウントを分け隔てました。表では隠したいけど本当は吐き出したくなるような感情を表現する、人間味あふれる歌詞を歌い上げることで、聴いている人の心に寄り添えるのではないかと考えています」 

これは、1stシングル『水たまり』の初回限定盤に付属するアートブックの中で、担当プロデューサーが語った言葉。

「Blue Journey」が表現するのは王道アイドルの放つパッショネイトなエネルギーではなく、誰もが内に秘めつつも軽々に解き放つことのできないダークなエモーションだ。

ラブソングはいらない」「夏を許せない」「僕は独りだ」といった、これまでの楽曲タイトルを見ても、そのテーマが強い意志の元で一貫されていることは明白だ。

それぞれの歌詞にも苦しみや劣情が生々しく描かれており、人によっては痛いほど共感してしまうものもあるだろう。

駆け抜けて 駆け抜けて青春時代はそれがいい
メロディーすらない歌を6弦でかき鳴らせ
「大丈夫大丈夫」 そんな応援歌はいらない
誰かの理想を捨て望まれぬ夢を叫べ
憧れなんていらないさ 1stアルバム『夜明けのうた』収録曲「ラブソングはいらない」





心配性と嘘と嫉妬
まるで星座みたいに夜に散らばるよ
ひとりきりではもう
夏の魔法を素通りできないよ
ずっと子供でいようよ すべて知らんぷりしようよ
まだ急がないで ほら慌てないで 惑わされないで 1stアルバム『夜明けのうた』収録曲「夏を許せない」





後悔の連続ばかりで 失ってばかりだった
失敗も後悔も全部 やり直したいんだ
今更 初めて気付いた いつだって馬鹿は僕だ
だから僕は独りだ 1stアルバム『夜明けのうた』収録曲「僕は独りだ」





だが、それらは決して虚無主義に終始しているわけではない。

「Blue Journey」が掲げる青き理想の追求

王道とは異なるスタイル、クールでダークな世界観を表現しながらも、「Blue Journey」がペシミスティックな生き方を志向するプロジェクトではないことはハッキリと述べておきたい。

「Blue Journey」が掲げる「不の人間模様」というテーマ、および過去の担当プロデューサーインタビューにもそれは示されている。

担当プロデューサーは2023年8月、『FLYING POSTMAN PRESS』のインタビューで「“不”は、不幸・不満・不安など、後ろの言葉を否定する接頭語です。後に続く言葉には“したい・なりたい・得たい”など人々が“こうありたい、こうあってほしい”と望んでいるものが多いです。それが否定された状態──望んでいることができなかった・なれなかった・失ってしまった時の感情に寄り添うために“不”としました」とコメント。




その上で、「ただ、不敗や不滅など不が否定する言葉自体がネガティブな場合は、“不の人間模様”は前向きなメッセージを持つこともできます」と語り、「Blue Journeyが最後にめざすところは人々の笑顔なので、前を向けるように、未来に向かって歩むようなメッセージ性を組み込めるように“不”を使うことにしました」と説明している。

誰もが持ちうる影、光が強く輝くほど深みを増す暗き感情に向き合うのは、その先に「笑顔の一助になること」という希望を目指しているから。

共存だけが理想じゃない
正解だけが手段じゃない
見えない敵に負けないで
見えない敵に負けないで 1stアルバム『夜明けのうた』収録曲「光の軌跡





清々しいまでに青き理想の追求のために、痛みや苦しみの伴う茨の道を突き進むことを厭わない姿勢は、「Blue Journey」の放つ一つひとつのメッセージに確かな熱と血を通わせている。

特別感と優しさを両立する「Blue Journey」

それぞれの個性を反映した個別衣装ではなく、全員で統一の衣装を身に着けていることは「Blue Journey」の大きな特徴のひとつだ。

“らしさ”を追求した楽曲群、群青と白を基調した統一衣装でも各メンバーのいつもと違ったスタイルを楽しむことができるが、特にライブでは“ここでしか見れない姿”をより強く感じることができた。



アルバムリリースの直後に行われた1stライブは、一切のMCを挟まず、楽曲と朗読のみという挑戦的な構成で実施。

楽曲にも通ずるリアルな感情を剥き出しにした朗読パートに、世界観を全身全霊で表現するライブパートの連続は特別なライブ体験をもたらし、見る者全てに「Blue Journey」が持つ覚悟の強さを感じさせた。



元々それぞれのメンバーを応援していたファンからすれば、「Blue Journey」での活動でしか見ることのできない推しの特別な姿を見て、新たな魅力に気づけるのは言わずもがな

逆に「Blue Journey」をきっかけに、各メンバーの活動をたどるという楽しみ方もできるだろう。

強固な世界観を確立しながらも、誰一人置いていかない懐の深さをも「Blue Journey」は兼ね備えている。

初の23人フルメンバー歌唱の1stシングル『水たまり』

「Blue Journey」のスタンスを克明に示した1stアルバム『夜明けのうた』に続く、1stシングル『水たまり』は、初めて23人フルメンバーが歌唱に参加するメモリアルな一曲になっている。

各パートで個性的な歌声をユニゾンさせていき、全員の歌声が美しく折り重なっていく様は圧巻の一言。

誰もがそう思いながらも表には出せない思いの絶叫──プロジェクトのスタンスは貫きながらも、大人数での歌唱によってかつてないスケールの大きさも両立させる、1stシングルにふさわしい自信と挑戦に溢れたナンバーだ。

Blue Journey 1stシングル『水たまり』初回限定盤および完全生産限定UNIVERSAL MUSIC STORE盤ジャケット



作詞・作曲・編曲は、乃木坂46など数多くの女性グループ楽曲を手がけてきたサウンドプロデューサー・Carlos.Kさんが担当。

静かな語りのように始まり、零れる雨粒のように儚く美しいピアノのイントロが、内から湧き上がる感情を素直に受け入れられない苦しみをまざまざと描く。

そして、胸を掻きむしるように鳴るアコースティックギターの激しい音色が、それでも前を向く強い意志をダイナミックに表現している。




悔しくて嫌いになった
消えてしまいたいと思った だから
聴こえないように叫ぶ歌
水たまりに吐き捨てた 声 1stシングル表題曲「水たまり」


現在の「Blue Journey」のあり方をハッキリと示す最初の1フレーズ目に、この1stシングルを新たなアンセムとして確立せんとする意志を感じさせる。

きれいじゃない きれいじゃない でも
嫌いじゃない 嫌いじゃないでしょ
真っ直ぐに不器用でも良い
どうでも良いどうでも良いんだよ
君を襲う どんな雨も
水たまり 踏みつけて
笑われたって良いんだ
溢れたって良いんだから
恐れずに前を向いたら息をしてみて 1stシングル表題曲「水たまり」


「きれいじゃない」「嫌いじゃない」「どうでも良い」──心をざわつかせる言葉のリフレインが強く印象に残るが、そうして苦難に寄り添いながら、最後には“息をしてみて”と締める。

“頑張れ”でも“戦え”でも“立って”でもない、絶望から立ち上がる小さく大きな一歩目。その一呼吸目にあたたかく手を差し伸べるフレーズに、「Blue Journey」らしさは凝縮されているのではないだろうか。

「誰かの心に少しでも寄り添えるように」

「水たまり」は、1stライブの最後にサプライズとして披露され、初披露ながら最後には大シンガロングを巻き起こすなど、ライブチューンとしての強度の高さもすでに証明済み。



そんな楽曲を収録した1stシングルは、Instrumentalに加えてライブ音源をミックスした「Performance ver.」、ピアノアレンジを施した「Instrumental Piano Arrange ver.」と、「水たまり」の魅力を味わい尽くせる一枚になっており、収録内容にまでも挑戦の意志を隠さない様子はもはや頼もしい。

初回限定盤および完全生産限定UNIVERSAL MUSIC STORE盤の特典であるアートブックには、これまでを総括したプロデューサーインタビューや、各メンバーの衣装姿を詳細に確認できる設定図が同梱。「Blue Journey」の世界をさらに奥深く探求したいファンにとっては必見の内容だろう。

Blue Journey『水たまり』



Blue Journey『水たまり』



「生きるのは楽しい事ばかりじゃないって知っているから」
「誰にも話せない悩みにだって共感したいから」
「輝きだけじゃない、影と共に歩んでいく」
「Blue Journeyはこれからも旅を続けていきます」
「誰かの心に少しでも寄り添えるように」

1stライブでそう宣誓した通り、「Blue Journey」の旅は続いていく。夜明けを越えて新たな一歩を力強く踏み出す渾身の1stシングルは、他でもないあなたへと送られている。

「Blue Journey」プロデューサーが語る各メンバーの魅力

最後に、「Blue Journey」担当プロデューサーに、これまでの活動を通じたメンバーへの印象について、メンバー23人全員分を語ってもらった。CD封入特典のアートブックと合わせて楽しんでほしい。

アキ・ローゼンタールさん

ホロライブ「Blue Journey」アキ・ローゼンタールさん



普段の配信ではお酒が好きだったり、異国情緒を感じるダンサブルな楽曲のイメージが強いアキロゼさん。朗読では温かくも力強い語りの上手さが際立つため、「Blue Journey 1st Live」では、世界観をつくる上で重要なトップバッターを安心してお任せできました。

また、楽曲では深みのある艶やかな声の表現が新鮮でした。「光の軌跡」でオケが静かになり歌声がぐっと前に出てくる部分では、意志が伝わってくるようなビブラートが印象的です。活動歴は長いですが、まだまだ色々な魅力の引き出しを持っていると驚かされました。


白上フブキさん

ホロライブ「Blue Journey」白上フブキさん



フブキさんは、声に力強さとハイトーンの透明感が共存し、どの楽曲でも「ここにいるよ!」と訴えかけるような華やかさがあります。まっすぐと心に響いてくるのが印象的でした。ソロでの存在感はもちろん、複数人で歌っている際にも、自分以外を邪魔せず調和しながら、しっかりと楽曲に相乗効果をもたらしてくれました。

長い活動歴の中で、しっかりとご自身の声の魅力をわかっている──セルフプロデュース力が高いからこそだと思います。「Blue Journey」自体にも共感いただき、自主的な宣伝を数多くしていただいてとても感謝しています。


湊あくあさん

ホロライブ「Blue Journey」湊あくあさん



元々声に可憐さと儚さを併せ持つあくあさんは、その雰囲気をキープしながら様々な歌唱表現が可能な方でもあります。なので、ここ一番でライブの雰囲気を形づくるようなエモーショナルな楽曲を歌っていただきました。

「あの日の僕らへ」では、少し鬱屈としたシリアスなメッセージを含んだAメロから、希望が見えるサビでの爽やかな解放感は、あくあさんに参加していただくことで、より一層表現できたと思っています。Bloom,の時もそうでしたが、レコーディングではいつも限りなく少ない回数でOKテイクを出していて、努力家なアーティストという一面も印象的でした。


癒月ちょこさん

ホロライブ「Blue Journey」癒月ちょこさん



元々歌に苦手意識があるとおっしゃっていたちょこさんは、活動当初と比べて歌唱レベルが上がり、歌える楽曲ジャンルも確実に広がってきていることが、「Blue Journey」を通じて伝わってきました。

全体曲を除いては、「サザンクロス」というアルバムの肝となる楽曲に参加いただきました。持っている個性をキープしながら歌える方なので、サビではまとまりつつそれぞれの魅力を表現したかったこの楽曲において、しっかりと存在感を放っていました。そして、「Blue Journey 1st Live」の朗読パートは、ちょこさんの真価が感じられたほどの素晴らしさ。みなさんも体感いただけたのではないでしょうか。


大空スバルさん

ホロライブ「Blue Journey」大空スバルさん



いつもの元気なアイドル的なスバルさんの歌声に対して、「Blue Journey」では特有の“不”の感情を表現してもらうために、新たな可能性に挑戦いただきました。特に、「光の軌跡」収録前はご本人も心配していましたが、結果はみなさんお聴きいただいた通り、素晴らしい楽曲になりました。

驚き、感動されたファンの方もたくさんいらっしゃったと思います。私もです。朗読パートや楽曲中のセリフで際立つ、低音で力強さを持つスバルさんの声。その声が寄り添ってくれることで、より一歩踏み出す勇気をもらえるような楽曲に近づいたのではないかと考えています。


大神ミオさん

ホロライブ「Blue Journey」大神ミオさん



ミオさんの、シリアスさと力強さを併せ持った声は、当初から「Blue Journey」の世界観にとてもマッチしていると感じていました。基本的に、どの曲も器用に歌いこなせる方なので、安心感があります。

「夏を許せない」のような、失敗できない歌声の伸びが必要で、かつセリフパートにも重みを感じさせられるような楽曲は、特にミオさんとのシナジーを感じていただけたのではないでしょうか。「光の軌跡」「水たまり」でもそれは感じ取ることができ、ミオさんの声に自然と乗る説得力や強みを、ぜひ今後も活かしていただきたいです。


さくらみこさん

ホロライブ「Blue Journey」さくらみこさん



ご自身の抱く理想像に、まっすぐ向かう努力を怠らないみこさん。「Blue Journey」では、ご自身が普段あまりされないような、大人っぽい表現方法にもチャレンジしていただきました。テンポが早く、全体的にかなりシリアスなムードの楽曲に対しても、「ここまで雰囲気を合わせることができるのか」と新鮮な驚きと発見の喜びがありました。

存在感のあるみこさんの声が合わさることで、楽曲の雰囲気も暗くなりすぎず、何度も聴きたくなるようなキャッチーさを醸し出せました。専用衣装を着た清楚で綺麗なみこさんがステージで踊る姿は、その印象をさらに強めていたと思います。


猫又おかゆさん

ホロライブ「Blue Journey」猫又おかゆさん



おかゆさんは、優しく落ち着いた低音から、耳に刺さらない心地よいハイトーンまで使いこなすことができ、ベースとしてかなり高い歌唱レベルをお持ちです。それだけではなく、たとえばつぶやくような歌い方なのに、その温かみになんだか思わず泣けてしまうような、不思議なニュアンスが出せる稀有な方だと思いました。

「水たまり」以外で参加いただいた楽曲でも、おかゆさんにしか出せない、夢見心地のようなふわふわとした、輪郭の溶けたような響きが混じり合い、楽曲の神秘さや静謐さを深めていただいたと感じています。特に「夏を許せない」の落ちサビのソロは、何度聴いても涙を誘います。


戌神ころねさん

ホロライブ「Blue Journey」戌神ころねさん



愛嬌のある特徴的な声と、元気なテンションのイメージがあるころねさんですが、「Blue Journey」では影のある凛とした大人っぽい歌い方に挑戦していただきました。

ご本人のオリジナル曲でも難易度が高く、リズムやテンポ感が独特な楽曲を歌いこなしていることもあり、跳ねるようなリズム感が特徴の「不純矛盾」では、いつもと違う歌唱ながら、堂々と歌いこなしているのが印象的です。曲の印象を決める歌い出しはもちろんのこと、最後の家に帰ろうという締めとなる歌詞も、ころねさんが歌うことで、余韻とともに曲の印象が引き締まったと思います。


兎田ぺこらさん

ホロライブ「Blue Journey」兎田ぺこらさん



ぺこらさんはよく通る高音をお持ちなので、ソロはもちろん、複数人で歌うパートでも曲に可愛らしい丸みを持たせてくれていると思います。マイク乗りが良く、どの音域でもぺこらさんらしい歌声をキープできるため、メッセージ性が強く、時にシリアスな歌詞が特徴的な「Blue Journey」の楽曲が重くなりすぎずキャッチーになる。ぺこらさんの存在意義は大きかったと思います。

普段の忙しさに加えて、ご自身のソロライブの準備もある中で、歌唱収録現場ではその疲れを見せず、とても真摯で礼儀正しく優しい雰囲気からプロフェッショナルさを感じました。


不知火フレアさん

ホロライブ「Blue Journey」不知火フレアさん



フレアさんは語りがそのまま歌になったような、透き通っていて人を惹きつける歌声を持っています。また、サビなどでパワフルに見せ場を強調する歌い方もできます。歌唱においては、どのようなパート・役割も器用にこなせるため、逆にどの曲を歌っていただくか、いい意味で悩みました。

結果的に「また傷に触れる」の出だしを、より印象的なものにしてくださったのはフレアさんの歌声があったからこそです。そして、「Blue Journey 1st Live」での感情の乗った朗読は、一度聴いたら忘れることができない温かみを、見た人の心の中に残していってくださったと思います。


白銀ノエルさん

ホロライブ「Blue Journey」白銀ノエルさん



ノエルさんは、本人しか出せないあざとさのない穏やかな優しさや甘さを、声や歌い方に乗せられるのが強みだと思います。活動当初にお持ちだった歌への苦手意識を感じさせないほど、これまでの活動を通じて歌がレベルアップしていると感じました。「astro」では、ノエルさんの寄り添うような声とふわふわとした浮遊感が、楽曲の世界観とマッチしていました。

収録では、ご自身が納得できないテイクでは場に流されずリテイクを申し出るなど、歌への真摯な姿勢も印象的でした。個性を残しつつ歌を磨き続けることができるので、今後の音楽活動も期待しかありません。


宝鐘マリンさん

ホロライブ「Blue Journey」宝鐘マリンさん



キャッチーなオリジナル曲でも際立つ、“マリンさんの声”としか表現できない唯一無二の歌声を持っています。どの楽曲でも、個性を維持しつつ幅広い表現も可能な歌唱レベルの高さに感心しました。ご自身でもかなり練習されていると思いますが、その努力もあってBloom,のときより歌唱力がさらに伸びていると感じます。

「Blue Journey」の世界観を伝える初出2曲で、歌詞や主題がシリアスな楽曲を歌っていただきましたが、声に華やかさがあるため重くなりすぎず、ビシッと決めることができました。


天音かなたさん

ホロライブ「Blue Journey」天音かなたさん



軸がブレることのない伸びやかな高音から、かわいい響きを残しながらも少し影のある繊細なニュアンスを出す歌い方まで、幅広い楽曲を歌いこなすことができるかなたさん。「Blue Journey」では、あえて「astro」「あの日の僕らへ」という、まったく雰囲気の異なる楽曲を歌っていただきました。

かなたさんは、楽曲ごとの意図を的確に掴むのが早いと感じます。2曲とも歌声の透明感はキープしつつも、方向性の異なった表現方法を使いこなしていて頼もしかったです。楽曲オファー時には楽曲や歌詞、メンバーチョイスに関する解釈のすり合わせなど、音楽活動への直向きさを感じました。


角巻わためさん

ホロライブ「Blue Journey」角巻わためさん



当初から、オリジナル曲で歌詞に自身の願いや想いを乗せて、背中を押す楽曲を歌っていらっしゃるわためさんと、「Blue Journey」との相性はとても良いと感じていました。振り返ってもそれは間違っていなかったと強く思います。どの楽曲とも相性が良いので、逆にどの曲を歌っていただくか迷いました。

「僕は独りだ」のラストの一言を振り絞るような声は、楽曲内で展開されるストーリーの結末がどうなったのか考察させるような余韻を感じさせ、予想を超えるものになりました。わためさんの声に集中してほしいために、MVの最後を急遽、画なしの文字だけに変えたほどです。


常闇トワさん

ホロライブ「Blue Journey」常闇トワさん



トワさんは圧倒的なパワーと深みのある声を持ち、高い歌唱レベルにパフォーマンスの場数も多い。まさに歌唱力で殴るともいえる「また傷に触れる」という楽曲で、その魅力や強みを惜しむことなく活かしていただきました。サビでそれぞれのメンバーが違う歌詞を歌い、畳み掛けてくるパートでも、グッとくるエモーショナルさを一段深めていました。

また、一度静けさが訪れた後、トワさんの「触れた最後の日」という歌詞の歌い出しが、ラスサビへの臨場感を最大限に高めていたと思います。「Blue Journey 1st Live」ではさらにライブの緊張感も加わり、最高の楽曲になりました。


姫森ルーナさん

ホロライブ「Blue Journey」姫森ルーナさん



ルーナさんにしか出せない声の魅力については、ファンのみなさんにもご存知だと思います。その特徴的な可愛らしい声が、リズミカルで不安定さを持った「不純矛盾」の楽曲の中でかなりアクセントとして効いています。楽曲の中毒性を一層増す要素として貢献してくださったのは間違いありません。

お姫様のようなファンタジー感のある楽曲は素敵ですが、その特徴的な声からご自身でも楽曲の幅を限定してしまう傾向にありました。「Blue Journey」では、エッジの効いた楽曲との中毒的な相性も実感することができたので、今後もぜひ色々な幅広い楽曲に挑戦していただきたいです。


雪花ラミィさん

ホロライブ「Blue Journey」雪花ラミィさん



普段はどちらかといえばハキハキとしたイメージのあるラミィさんですが、楽曲では中低音が心地よく安定的に響いており、細かいニュアンスを乗せた歌い方を聴かせていただくことができました。

「あの日の僕らへ」のサビ以外の箇所では、あえて少し抑えたフラットな歌い方に挑戦していただきましたが、やや淡々としたようにも聞こえるラミィさんの表現力が、ハマっていると感じたファンの方も多かったと思います。どんな音域でも存在がすぐわかるラミィさんの個性。その新しい魅力を発見していただけたのではないでしょうか。


獅白ぼたんさん

ホロライブ「Blue Journey」獅白ぼたんさん



ぼたんさんの芯のある声は、ソロでも複数人の楽曲においても、曲にずっしりとした重厚さと安定感をもたらしてくれます。低音で下支えするイメージがあると思うのですが、「ツキノナミダ」の「空にきっと手を伸ばす」といったフレーズなど、中高音域での耳障りの良い響き・透明感に関しては、多くのメンバーの中でもかなり印象に残っています。

ぼたんさんの声は、朗読を含めたどの場面でも埋もれない個性がありますし、さらなる表現力の伸びしろをお持ちなので、今後も新たな魅力を引き出していただけるのではないかと思います。


尾丸ポルカさん

ホロライブ「Blue Journey」尾丸ポルカさん



ポルカさんのエネルギッシュな声は、ワンフレーズだけで聴く側をハッとさせる緊張感と華を楽曲に与えてくれます。メッセージ性の強い「Blue Journey」の力強さとは、その精神も含めて非常にマッチしていたと感じました。

ハイキーの楽曲でも裏に抜かず、あえて地声で張ることができる振り絞るような歌い方は、誰かの傷んだ心に寄り添える楽曲を日頃から歌っているのだろうなと、想像させてくれました。今後の“誰かの心を揺さぶる歌”も楽しみです。余談ですが、普段の配信と変わらないテンションで収録にいらっしゃるので、常に笑いが生まれる現場でした。


鷹嶺ルイさん

ホロライブ「Blue Journey」鷹嶺ルイさん



ルイさんの声は、力強さやパワフルさを出せる表現はもちろんですが、繊細でアンニュイな世界観を歌い上げることもできていました。また扱える音域が広く、ハスキーな低音で歌い続けることもできますし、そこからサビに向かって一気にファルセットを用いた大人っぽさのある高音で、曲に切なさを表現できる器用さも感じられます。

「泡沫」でも「夏を許せない」でも、ルイさんが歌全体の輪郭をつくってくださったと思っています。どの音域でも、聴けば一発でルイさんとわかる唯一無二の声質 を、これからも音楽活動に活かしていただきたいです。


博衣こよりさん

ホロライブ「Blue Journey」博衣こよりさん



こよりさんはどこにいても埋もれない声をお持ちで、かつ早口やリズミカルな楽曲でも軸が決してブレない、抜群の安定感を持っている印象です。参加していただいた「不純矛盾」は、細かいリズム感を出すのが難しい楽曲ですが、その安定感を保ちつつも、いつもよりクールな印象のこよりさんを見せてくださいました。

普段の活動からも伝わってくるこよりさん自身のこだわりや、経験と努力に裏打ちされた説得力が、歌声を通じても伝わってくるようです。普段あれほど配信されている中で、収録時もNGテイクがほとんどなく、その努力とセンスに驚くばかりでした。


沙花叉クロヱさん

ホロライブ「Blue Journey」沙花叉クロヱさん



クロヱさんは、ご自身のオリジナル楽曲でもその魅力を存分に発揮されていますが、まさに「曲に応じて化ける」という表現がぴったりに思えました。普段配信をよく見ていらっしゃるファンの方からも、「クロヱさんが参加していることを、クレジットを見るまで気づかなかった…!」というコメントを見かけ、改めて楽曲に応じた声色の変え方、歌唱のニュアンスの変化には驚かされます。

色々なタイプの楽曲を歌っているのも聴いてみたくなる、不思議な魅力を感じました。専用衣装での歌枠や動画を積極的につくってくださり、衣装を気に入ってくださったことも嬉しく思います。


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ホロライブ「Blue Journey」の1stシングル『水たまり』