2023-24シーズンのプレミアリーグも残り10試合を切り、ここから戦いはさらにヒートアップしていく。そんな注目の終盤戦を前に、今シーズンここまで“主役”として活躍してきた選手を見てみよう。
 
 プレミアリーグの試合ではマン・オブ・ザ・マッチ(MOM/試合のMVP)がいくつも存在する。その種類はリーグ公式、クラブ公式、各メディア選出など様々だ。例えば、3月10日に行われたリヴァプールマンチェスター・シティによる注目の首位攻防戦では、日本代表MF遠藤航リヴァプールのクラブ公式サイトでMOMに選出されて話題になった。一方で、マンチェスター・シティの公式サイトが同試合のMOMに選んだのは先制ゴールをマークしたイングランド代表DFジョン・ストーンズ。また、現地で試合を中継した『スカイスポーツ』はリヴァプールオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイク、データサイト『Whoscored.com』はストーンズをMOMに選出した。
 


 
 このように、MOMは1試合で複数の選手が選ばれるわけだが、やはり尊重すべきはリーグ公式が選出するMOMだろう。プレミアリーグでは試合終了から15分間、公式サイトなどでファンの投票を受け付けている。データなどを元に両チームから5名ずつのMOM候補が選ばれ、その中からファンが好きな選手を選び、投票結果でリーグ公式のMOMが決定する。前述のリヴァプールvsマンチェスター・シティリーグ公式MOMに選出されたのは、実に41%もの得票率を得たリヴァプールアルゼンチン代表MFアレクシス・マック・アリスターだ。ちなみに遠藤も候補10名には選ばれていたが、得票率は6番目の3.6%だった。
 
 それでは今シーズンのプレミアリーグ公式のMOMの受賞者たちを見てみよう。

[写真]=Getty Images
 

◆■最多受賞はサカ

 
 プレミアリーグが今シーズンここまで発表した278試合のMOMで、最も受賞回数が多いのは首位アーセナルイングランド代表FWブカヨ・サカだ。今や世界的なウイング(WG)として知られる22歳は、ここまで27試合に出場し13ゴール8アシストをマーク。どちらもチーム最多の数字を誇っている。負傷離脱が少ない同選手は、過去2シーズンのプレミアリーグで全試合に出場し、昨年10月のマンチェスター・シティ戦をケガで欠場するまで、クラブ記録となるリーグ戦87試合連続出場を果たした。

 そのサカは、出場した試合でほぼ必ず結果を残している。今シーズンここまで出場した27試合のうち、19試合でゴールかアシストを記録しているのだ。そういった活躍もあり、何とアーセナルがここまで消化した28試合のうち、実に半数の14試合でリーグ公式のMOMに選出されている。
 
 サカはノッティンガム・フォレストとの開幕戦で決勝ゴールを記録し、得票率「74.6%」でMOMに選ばれると、9月のノースロンドンダービーでもPKを沈めてMOMを受賞。定期的に受賞を果たしていたが、今年に入るとその勢いはさらに増していく。1月末の第22節からはリーグ戦5試合連続ゴール(計7ゴール)を記録。アーセナルイングランド人選手としては、1994年の元イングランド代表FWイアン・ライト氏以来の快挙だ。そして、その5試合全てでリーグ公式のMOMに選出されている。最終的にMOMはファン投票で決まるため、サカは実力と人気を兼ね備えた世界的プレーヤーと言うことができるだろう。
 


 

◆■2位以下の受賞者

 
 サカに次いで受賞回数が多いのは、大躍進を見せているアストン・ヴィライングランド代表FWオリー・ワトキンスだ。今シーズンここまで全29試合に出場し、16ゴール10アシストをマーク。プレミアリーグで唯一2桁ゴールと2桁アシストを達成しており、当然ながらゴール関与数もここまでリーグ1位。4位につけるアストン・ヴィラを牽引する28歳は、ハットトリックを達成した9月のブライトン戦はもちろん、直近では2得点した今月2日のルートン・タウン戦など、今季は実に13試合でMOMに選出されている。
 


 
 3番目に受賞回数が多いのはリヴァプールエジプト代表FWモハメド・サラーだ。31歳の“絶対的エース”は、アフリカネーションズカップやケガの影響で22試合の出場に留まってるが、ここまで15ゴール9アシストと、出場試合数を上回るゴール関与数を記録。今シーズンは史上11人目となるプレミアリーグ通算150ゴールを達成した12月のクリスタル・パレス戦で76.9%の得票率でMOMに選ばれるなど、22試合の出場で半数の11試合でMOMに輝いている。
 
 サラーに次いで4番目に多いのはトッテナムに所属する韓国代表FWソン・フンミンだ。今シーズンから腕章を巻く31歳は、イングランド代表FWハリー・ケイン(現:バイエルン)が抜けた穴を埋めるべく、出場した25試合で14ゴール8アシストをマーク。トップ4争いの注目の一戦となった3月10日アストン・ヴィラ戦では1ゴール2アシストでチームを勝利に導き、得票率83.4%でMOMに選出された。その他にもプレミアリーグ通算4度目のハットトリックを達成した9月のバーンリー戦など、ここまで10試合でMOMに輝いている。
 
 
 同じアジア人では、ブライトン所属の日本代表FW三笘薫が5試合でMOMに選ばれている。現在はケガで離脱を強いられているものの、シーズン序盤の9月に行われたボーンマス戦では、途中出場からの2ゴールでチームを逆転勝利に導き、得票率「73.2%」でMOMに選出された。一方で、遠藤は有識者やリヴァプールファンから高い評価を集めているものの、チーム内にあまりにも強力なライバルがいるため、今のところ一度もプレミアリーグ公式のMOMには選ばれていない。
 

◆■その他

 
 やはり、MOMにはアタッカーが選ばれやすいのだが、そんな中でFW以外の選手として唯一、受賞回数トップ5に名を連ねたのがニューカッスル所属のイングランド代表DFキーラン・トリッピアーだ。33歳のサイドバック(SB)は今シーズンここまでリーグ最多タイとなる10アシストをマークしており、1試合で3アシストを記録した9月のシェフィールド・ユナイテッド戦を含め、合計8回もMOMに選ばれている。
 
 GKとして最も多くのMOMを受賞しているのはウェストハムのフランス代表GKアルフォンス・アレオラだ。リーグ2位のセーブ数をマークしている31歳は、敵地で首位アーセナルに2-0の完封勝利を収めた12月の試合でMOM(得票率48.9%)に選ばれるなど、ここまで6度もMOMに輝いている。ちなみに、今シーズンの対アーセナル戦でMOMに輝いたプレーヤーは4名だけ。アレオラ、トリッピアー、サラー、そしてアストン・ヴィラアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスだ。
 
 さてさて、シーズン終盤の主役は誰になるのだろうか? プレミアリーグの公式サイトで投票できるMOMに注目したい。

(記事/Footmedia)

今季マン・オブ・ザ・マッチの受賞歴がある選手たち [写真]=Getty Images