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 愛するペットが旅立ったあと、その喪失感からペットロスになる飼い主は少なくない。どうしてもその子との思い出が忘れられない飼い主は現代科学に希望を託す。最新クローン技術だ。

 例え成功しても完全に同じ子になるとは限らない。リスクもあるし料金も高額だ。それでも飼い主は現世で再び会えることを切望しているのだ。

 カナダに住む女性は、2年前に5歳で亡くなった愛猫のことがどうしても忘れられなかった。そこで残されたDNAを使い、動物のクローン化を手掛けるテキサス州の企業に依頼した。

 2年の歳月と4回の胚移植の失敗を経て、ついに愛猫のクローンが誕生した。しかも双子だ。かかった費用は5万ドルに上ったが、女性は現在生後10週間の元気いっぱいの子猫2匹のお世話に幸せを感じている。

【画像】 5歳で交通事故に遭い急逝した愛猫のクローンを望んだ飼い主

 カナダブリティッシュコロンビア州ケロウナに住むクリス・スチュワートさんは、2022年1月に交通事故でラグドールのベア(5歳)という愛猫を失った。

 突然の愛猫の死を悼み悲しんだクリスさんは、「もっとベアは生きていなければならなかった」と強く思うようになり、クローン技術でベアを蘇らせる決断をした。

 そこで、クリスさんは亡きベアのDNAをアメリカ・テキサスに本社を置くペット・クローニング会社「ViaGen Pets」に送った。この会社は20年以上にわたり犬や猫、馬などの動物のクローンを作成し、世界中に数千以上の顧客がいる。

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交通事故で5歳でこの世を去った愛猫のベア

数度失敗を経てついに2体のクローンが完成

 そしてついに1月10日、2年の歳月と4度の肺移植の失敗を経てベアのクローン作製は成功した。嬉しいことに、ベアのそっくりな猫が2匹できたのだ。

 クリスさんによってベア・ベアとハニー・ベアと名付けられた子猫たちは、ニューヨークの施設で母親と8週間過ごしたのち、クリスさんのもとにやってきた。なので一緒に暮らすようになったのはつい最近のことだ。

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ベアのDNAから誕生したクローン子猫は2匹

 愛するベアによく似た2匹の元気な子猫を手に入れることができたクリスさんは大喜びだ。

2匹とも大胆で生意気で、ベアに良く似ているんです。

ベアは私が今まで飼ったペットの中で一番賢い子でした。やんちゃだったけどとっても頭が良かったんです。

ベア・ベアとハニー・ベアが生まれるまでに、4回の胚移植に失敗しました。このプロセスには、合計約5万ドル(米ドルなら約760万円、カナダドルなら約550万円)の費用がかかりました
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クローン動物作製はリスクもある

 トロント大学に勤める生命倫理学者ケリー・ボウマンによると、クローン作りの過程では動物のDNAを胚に入れ、その胚を代理猫の子宮に移植するという。

 ボウマン博士によると、クローン動物のうち出産後に生き残るのは5%以下だという。さらに寿命は通常よりも短いケースが多く、健康リスクを抱えていることもあるという。

 同博士はこのように述べている。

ペットのクローン作りを認めるべきかどうかについては議論があります。

保護施設には大量の動物が収容されていますが、私の理解では、猫に関してはいまだに安楽死させられるているのが現状です。

クローンを身ごもる代理母にもリスクがあります。クローンの流産や死産の割合は高いからです。

結局のところ、動物は自分の意志で同意したり断ることができません。

大切なペットのクローンを作りたいという気持ちは理解できますが、クローンはオリジナルとまったく同じにはなりません。

DNAを共有しているとはいえ、生まれた状況が違うため、クローンを作ったペットの性格が元のペットに似ていないことに気づくケースもあります。

私は子供の頃に犬を飼っていました。その犬にもう一度会いたいとは思います。ですがクローンは同じ犬ではないでしょう。

 それでも愛するベアのクローンを2匹も手に入れることができ、ベアに似ていることを自分で確信することができたクリスさんにとっては、多くの費用を払っても喜びの方が大きいようだ。

References:Kelowna woman gets 2 successful clones of her dead cat/ written by Scarlet / edited by parumo

 
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愛猫が忘れられない女性、2度の失敗を経てついにクローン猫が双子で誕生