大阪府内の小・中・高生については、教育活動の一環として学校単位で大阪・関西万博へ無料招待すると報道がありました。他府県でも、大阪・関西万博へ遠足や修学旅行を検討している所もあるでしょう。
NPO法人School Voice Project が運営するWEBアンケートサイト「フキダシ」では、大阪・関西万博への無料招待について、現職の教職員の方がどのように思っているか、アンケートを実施しました。

アンケートの概要

■対象  :全国の小~高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2024年2月10日(土)~2024年2月26日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :156

アンケート結果

Q1. 大阪府下のすべての学校が大阪・関西万博2025に学校単位で無料招待されています。学校行事の1つとしてそれに参加することについてあなたはどう考えますか。


回答者数は、大阪の方が全体の2/3とやはり多くなっているためその点を差し引いて考える必要はありますが、近畿(2府4県)、全国へと回答者の層を広げて見てみても「反対」「賛成」「どちらとも言えない」の比率は大きくは変わりませんでした。

Q2. 設問1で「賛成」を選択した方は、理由を選んでください。(複数選択可)


「賛成」を選択した方の理由はこちらのグラフの通り、「貴重な体験ができる」が最も多く、次点が「教科学習・総合とつなげられる」、その次に多かったのが「学校・家庭負担の軽減」でした。現場にとって負担軽減になると考えている方はそれほど多くないことが分かります

Q3. 設問1で「反対」を選択した方は、理由を選んでください。(複数選択可)


「反対」を選択した方の理由はこちらのグラフの通り、「目的に合っていない」が最も多く、次点が「何ができるかが不透明」、その次に多かったのが「行事が増えて負担」でした。現場にとって負担であるという意見も多いですが、それだけでなく教育的意義の観点から反対の立場をとっている方が多いことが読み取れます。

Q4. 設問1で「どちらともいえない」を選択した方は、理由を選んでください。(複数選択可)



「どちらともいえない」を選択した方には、「反対」「賛成」の両方の理由から、複数回答で同意するものを選んでもらいました。その結果「何ができるかが不透明」という項目に最も多くの意見が集まりました。

Q5. 2025年度、学校行事の1つとして大阪・関西万博に児童や生徒を連れていくとなった場合、どんな期待や懸念がありますか? 自由にお書きください。

<期待>

・大阪で育つ子どもたちにとって、この時代に万博に行けるタイミングは今しかできない経験だから、子どもたちの将来に何かしらの影響はあると期待する。大人の事情は様々あると思うが、将来がある子どもにとって学校の中ではできない経験は貴重である。

・色々な国の文化に触れる事ができ、海外への興味関心が生まれる

・いろいろな子どもたちが、属性にかかわらず大阪万博を見ることができるのは、一定いいとは思う

<懸念>

・勤務校が1000人近い大規模校のため、どのように現地に行くのか、交通手配や混雑時の対応、トイレや昼食場所の対応など挙げるときりがないほど懸念材料があるため行きたくない

・人工島なので、軟弱地盤や有害物質の埋設、東南海地震などの災害時の対策や避難誘導ができない。生徒や自分を守ることができない場所への引率は、できません

・ただでさえ授業時数が足りないため、抜けた分の授業を補填する必要が出てくる。また、会場までの交通ルートが混雑することが考えられるため、そのための対策を考えたり、当日も相当な労力を費やすと思われる。まだ全容がみえず、生徒にとって魅力のある、よいものかどうかの判断がつかない

・そもそも学校から連れていく理由がない。入場者数確保のために子どもを動員するというのであれば、教育ではない。遠足や校外学習の行き先は、学校が独自に決めることであり、無料招待などというごまかしによる、教育への不当な介入である。

・なぜ万博がを開催するのかわからない、莫大な税金を使うべき道が他にたくさんある、などすでにたくさんの生徒が疑問をはっきりと表明しています。教師も納得していない、生徒も疑問に思っている状態で、どのようなモチベーションで意義ある取り組みにできるのか、全く見えてきません。

今回のアンケートでは、学校単位で大阪・関西万博へ無料招待するという方針について、現職の教職員の方の意見を聞きました。

本記事では、わかりやすく整理するためにコメントの内容を「期待」「懸念」に分けて抜粋しましたが、実際には期待と懸念を両方併記で記入された方がとても多かったことが印象的でした。期待については、普段できない貴重な体験ができること、教科や総合の学習と結びつけることができる可能性について言及された方が多かったです。一方で懸念としては、安全確保の面での不安、教育的な意義のある活動にできるのかどうか(”行っただけ”にならないか)、教育への政治介入ではないかといった声が集まっています。「子どもたちを無料招待すること自体はよいと思う」という意見は多い一方、「学校行事として行く必要があるのか」「強制はされたくない」という意見も散見されました。

アンケート実施の時点で、「万博そのもの」や「無料招待」の内容(交通費は出るのか、日程調整はどうするのか、下見はできるのか、何を見学・体験できるのかなど)が不透明であることに不安を覚えてる方や、それが分からないから賛成反対の判断がしづらいというも多いようでした。少なくとも、従来、遠足や校外学習、目的、計画、下見、安全配慮などを行なって実施されており、そのプロセスが踏みづらい状況が起きているということは言えそうです。

現場の教職員の期待や懸念を聞き、それを踏まえた情報開示や方針決定がなされる必要があるのではないでしょうか。

※WEBメディア「メガホン」の記事( https://megaphone.school-voice-pj.org/2024/03/post-4550/ )より、自由記述の内容がご覧いただけます。また全回答がデータもDLしていただけます。

運営団体:NPO法人 School Voice Project


学校現場の声を「見える化」し、対話の文化をつくるプロジェクト。児童生徒も教職員も「自分の思いや声には価値がある」「私には現実を変えていく力がある」と実感できる学校づくりのために、教職員WEBアンケートサイト「フキダシ」と学校をよくするWEBメディア「メガホン」の運営、政策提言・ロビイング活動を行なっています。

【団体名】NPO法人 School Voice Project
【代表理事】大野 睦仁
【設立】2022年8月19日
【所在地】〒103-0004 東京都中央区日本橋二丁目28番4号 日本橋CETビル2階
【問い合わせ先】 https://school-voice-pj.org/contact.html

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