住友商事株式会社(社長:兵頭 誠之、以下「住友商事」)と東京ガス株式会社(社長:笹山 晋一、以下「東京ガス」)は、水素利活用に向けた共同実証実験(以下「本実証」)の実施に向け、このたび、ITM Power PLC(以下「ITM社」)が開発したメガワット級の固体高分子(以下「PEM」)型*1水電解装置(以下、「本装置」)を東京ガス横浜テクノステーション内に設置しました。海外製のメガワット級PEM型水電解装置を用いた運転検証は国内初となります。

 水素は、熱利用の脱炭素化、e-methane*2(以下「e-メタン」)の製造、電源のゼロエミッション化など、カーボンニュートラルに多様な形で貢献可能である一方、製造コストの高さが利活用上での課題となっています。特に水電解システムによるクリーン水素製造の実現には安価な再生可能エネルギーの調達と水電解システムの大幅なコストダウンが必要不可欠であり、欧州を中心に装置の大型化、高圧化が進められてきました。

 住友商事と東京ガスは、2021年に本実証の実施に合意*3して以降、本装置設置に向けた国内の法令対応上の受け入れ準備を進めてきました。このたび、ITM社による日本の法規に準拠した装置製作が完了し、英国から日本への海上輸送を経て、東京ガス横浜テクノステーション内へ設置いたしました。ITM社はPEM型水電解装置メーカーの中でも、装置の大規模化、大量生産で先行しているメーカーです。本装置“NEPTUNE”においては、現在導入されている一般的な水電解装置に比べ、大幅な操業費低減を実現しています。

 今後、運転検証に必要な施工と試運転を行い、2024年6月より本実証を開始する予定です。本実証では、様々な運転モードでの検証を行い、本装置の性能評価やメガワット級PEM型水電解装置のオペレーションノウハウの獲得、再生可能エネルギー電源・メタネーション装置・水素利用機器との連携運用ノウハウの獲得を目指します。

 加えて、本装置で製造した水素は、東京ガスが進めるe-メタン製造実証*4にも利活用していく計画です。

  • 住友商事の水素利活用に関わる取り組み

 住友商事は国内外でクリーン水素の製造から利用を促進する事業開発を行ってきており、その中でも水電解装置は、当社が豪州・マレーシア・チリ等で推進する水素製造プロジェクトの中でもキーとなる技術です。本実証を通じて水電解技術のオペレーションについての知見を深め、将来的な商用化プロジェクト開発に活用していきます。

 東京ガスはグループ経営ビジョン「Compass 2030」で掲げた「CO2ネット・ゼロへの挑戦」に向け、カーボンニュートラル化に向けた多様な技術開発を加速させています。水素はe-メタンの原料であり、水電解装置はe-メタンを社会実装する上で重要な技術です。本実証を通じてメガワット級PEM型水電解装置のオペレーション、メタネーション装置等との連携運用ノウハウを獲得し、将来の社会実装に活用していきます。

機器設置時写真

*1:プロトン交換膜(Proton Exchange Membrane)を用いた水電解装置

*2:グリーン水素等の非化石エネルギー源を原料として製造された合成メタン

*3:メガワット級水電解装置を利用した水素実証実験の実施について(2021年7月7日公表)

   東京ガス公表:https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20210707-02.html

   住友商事公表:https://www.sumitomocorp.com/ja/jp/news/release/2021/group/14910

*4:メタネーション実証試験を2021年度内に開始(2021年7月7日東京ガス公表)

   https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20210707-03.html

配信元企業:東京ガス株式会社

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