作家にとってHUG FOR_.で初めての個展となる本展では、鎌倉の海と共に心象の変化や機微の揺らぎを表現した新たな試みです。出展作品はすべて2024年の新作を発表し、皆さまをお迎えいたします。会期中は、関連イベントとしてVTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ)を用いた対話型鑑賞会、また最終日にはクロージングパーティーを開催いたします。

   風向きを知る, 2024

左)波間 (部分), 2024

右)雨の予感, 2024


近年、能登は「誰もが誰とも分かち合えない寂しさを抱くひとりたち」をテーマに、近代的な街の風景、生活空間、人物、人の手が加わった人工的な植物 (観葉植物や切り花)を描くことで、現代人にとって内外在的にある虚ろな日々から受けた物悲しさ、孤独、それらから少し距離を置くための時間や空間を現わしてきました。能登が描く寂しさは、2023年発行『Maria Noto Collection of works 2021-2022』に寄稿された詩人 田野倉康一氏の言葉を借りると、近現代で言われる「人間疎外」の孤独とは明らかに位相を異にし、現実世界と自己の間に何ものにも介入されないものである。いわば「守りたい時空間への軽やかな逃避」なのである。

実際の景色を眺めるように絵をぼんやりと見つめていると、意図的にピントのズレを生じさせた絵画表現の効果によって視覚的に柔らかさを感じながら、作品の中にあるいくつかの事象やモチーフへと視点は移行する。同時に思考は現実世界と切り離されるような感覚を覚える。そして、しばしば登場する性別や表情が明確ではない人物は、「誰とも分かち合えない寂しさ」に対峙し続ける作家自らであり、また作品の前にいる鑑賞者を投影している。すなわち作品に関与する者たちを作中で間接的に同居させる、あるいは作家の視点に鑑賞者が追体験するための手立てとなっている。

このような相互的な関係性から更に、鑑賞者が自己の深部にある虚しさや孤独、寂しさの次元に到達した時、そこに自身の安堵や安寧の在処、その気配を認識し静かに心が満ちてゆくことだろう。

本展の出展作品は、これまで能登の作品の象徴的だった都市風景から、鎌倉の海に場面を移し、遠くに見える水平線を線で描いた5連の大作 ≪波間≫ がメインとなります。鑑賞者は広がる海の景色をどのように捉え、思考を重ね、想いを馳せるのでしょうか。ぜひ能登真理亜の新境地をご覧ください。皆さまのご来場を心からお待ちしております。


■開催概要

能登真理亜「水平線をなぞると海」

会期: 2024年4月25日(木) -5月12日(日)

開廊時間: 11:30-18:00 (水-日) ※月火休廊

ゴールデンウイーク期間中の5月6日(月)、5月7日(火)は開廊

※最終日16:00まで 16:00-18:00クロージング&ギャラリーパーティーを開催

HP: https://www.hugfor.com

■会場

HUG FOR_.

〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ヶ浜1-1-29今小路ビル2F

アクセス:JR鎌倉駅西口 (御成商店街側)から徒歩5分

■関連イベント

  1. 4月28日(日)14:00-15:00 対話型鑑賞会(要予約/無料)

  2. 5月12日(日) 16:00-18:00 クロージング&ギャラリーパーティー(要予約/1ドリンク制)

※各イベントの詳しい内容はHUG FOR_. Instagram(@hugfor_)、HP https://www.hugfor.com をご確認ください。

※ご予約は info@hugfor.com まで「氏名・人数・Eメールアドレス」を添えてお申込みください。

もしくは下記フォームからご予約も可能です。

ご予約フォーム ▶ https://docs.google.com/forms/d/1c4uNqsIdgacWu3tmov62a_JHtdw6N9J9BBkfdL3fYcI/edit

■アーティスト
能登真理亜 | Maria NOTO

1991 神奈川県生まれ、藤沢市在住

2016 東京藝術大学 美術科日本画専攻 

2018 同大学大学院美術研究科 日本画修士課程 修了

修了模写「国宝伴大納言絵巻 現状模写」東京藝術大学買上

■アーティストステイトメント

「線を引くこと。それは何かとなにかを区切ること。または何かと何かを繋げること。水平線を引くと、そこに海を感じたりする。ぼんやりと海を眺めたいと思う。ここ数年、雨に濡れた都市風景や水を吸い上げる植物(切り花や管理がされているもの)など、水にまつわるものをよく描いている。けれどいくら水を使ってそれらを描いても、乾いた紙の上に残るのは結局鉱物の粒と色材のシミ、筆の滑り跡なのである。その薄情さというか、どうしようもない虚しさが制作を続ける動機になっているような気もする。今回の個展では都市から離れ水平線と海を主なモチーフにした。乾いた画面は海になり得るのか興味があった。点の集積が線になり、線の集積が形になる。柔らかな水平線を幾重にもなぞれば、目の前に海は広がるだろうか」

■本展プレスリリース(PDF)

https://prtimes.jp/a/?f=d139629-1-0c9a3881569bf61f063da66d31f26756.pdf

■本展関連ニュース

2024年4月18日(木)午前10:30頃から、ラジオ 鎌倉FM(82.8)「鎌倉シーサイドステーション」に、能登真理亜、HUG FOR_. 奥山が出演いたします。ぜひご拝聴ください。


■About HUG FOR_.

HUG FOR_.は2022年にオープンした神奈川県鎌倉市を拠点とするアートギャラリー。 主に国内の若手アーティストを中心とした展覧会の開催と、湘南エリアで活動するアーティストを積極的にサポートし、地域の文化芸術活動の活発化に寄与する唯一無二のギャラリーを目指しています。2つの展示室から成る空間は、いずれも静謐性と余白を基調とし、作品を静かに読み深めながら自己の内面を見つめる場であると同時に、アーティストや鑑賞者と共に現代社会の在り様に思考をリンクさせながら、豊かな人生と明るい未来について多角的に探求していきます。 またトークイベント、ワークショップ、地域の交流会を意欲的に展開し、多様な視点に触れることができるコミュニケーションの場として有機的に機能することも大切にしています。ギャラリー名のHUG FOR_.(ハグフォアー) には、思考や心象に余白を生む鑑賞体験を提供しつつ、個々の価値観を優しく包み込む包摂的な情調を共有したいという想いが込められています。

〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜1-1-29今小路ビル 2F

(JR /江ノ島電鉄 鎌倉駅 徒歩5分)
Mail: info@hugfor.com
営業時間:11:30 - 18:00
定休日:月・火曜 ※展覧会会期外は不定休

配信元企業:HUG FOR_.

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