こんにちは。クイズを愛する2児のサラリーマンけんたろ(@kenlife202010)です。クイズ好きが高じて、日本語や雑学に興味を持つようになり、X(旧Twitter)やVoicyではクイズを中心に言葉の知識や雑学ネタを発信しています。 

まだある言葉の雑学「関東と関西で呼び方が異なるもの」とは?

こちらでは「言葉にまつわる知識」をテーマに、よくある日本語の間違い、実は知らない身近なモノの名前、漢字、社会人としての言葉、言葉の雑学などをお伝えしていきます。

今回は「みんな知らない対義語」です。

「長所」の対義語は「短所」、「明るい」の対義語は「暗い」。この辺りは誰もがわかる対義語ですよね。しかし、世の中にはある単語はよく知っているけれど、その対義語は全然知られていないというものがあります。

今回はそんな「対義語は?」と聞かれたら答えるのに困ってしまう言葉を30個ご紹介します。

失恋↔︎得恋

恋する気持ちが成就しないことを「失恋」と言いますが、逆に恋する気持ちが成就することを「得恋」と言います。「失恋」のほうをよく聞くのは、失恋のほうが世の中には多いからなのかもしれません。恋愛って難しい。

優勝↔︎劣敗

大会などで最後まで勝ち残り1位に輝くことを「優勝」と言いますが、逆に劣っているために負けることを「劣敗」と言います。「優勝劣敗」という四字熟語がありますが、「弱肉強食」に似た意味です。「強い者が勝ち、弱い者が負ける」というと身も蓋もない気がしますが、弱いことを理解したうえで戦略を立てていくことがビジネスにおいても大事なことです。

現象↔︎本質

我々に感知できるように何らかの形になって現れることを「現象」と言いますが、逆に感知できないものの重要な根本の性質を「本質」と言います。「現象」と「本質」の関係は「外」と「内」であり、「本質」があるからこそ「現象」があります。そのため現象としてはさまざまな形となって我々の前に現れます。

忠告↔︎追従

誠意を持って相手の悪いところや間違いを指摘することを「忠告」と言いますが、逆に相手に気に入られようと媚びへつらうことを「追従」と言います。この場合「ついじゅう」ではなく「ついしょう」と読むのでご注意を。おもしろくもないのに相手の機嫌を取るために笑うことを「愛想笑い」と言いますが、「追従笑い」とも言います。

脱字↔︎衍字

印刷物で文字が抜け落ちていることを「脱字」と言いますが、逆に不要な文字が入ってしまっていることを「衍字(えんじ)」と言います。たとえば、「ウォーカープラス」が「ウォーカーププラス」となっているようなケースです。また文字が誤っていることは「誤字」と言いますよね。よく誤字脱字は指摘されることが多いと思いますが、是非「衍字」にも注意しましょう。

無礼↔︎慇懃

礼儀を欠くことを「無礼」と言い、「失礼」と似ていますがより礼儀を欠いた状態を指します。逆に心がこもって礼儀正しいことを「慇懃」と言います。「慇懃無礼」という四字熟語でご存知の方も多いかもしれません。これの意味は丁寧すぎてかえって無礼になるということですが、人間関係は難しいですね。

王道↔︎覇道

仁徳をもとに国を治めることを「王道」と言い、武力やはかりごとで国を治めることを「覇道」と言います。中国戦国時代の思想家である孟子が説いた言葉です。一般的には王道というと、「物事が進んでいくべき最も正当な道・手段」の意味で使われることが多いと思います。また、「学問に王道なし」と言った場合は、「楽な方法・近道」という意味になります。

徐行↔︎疾行

車などがゆっくり進むことを「徐行」と言い、逆にはやく進むことを「疾行」と言います。「徐行運転」はありますが、「疾行運転」を見ることはないので知らない方も多いのではと思います。疾行を用いたことわざで、「疾行には善迹(ぜんせき)なし」というものがあり、「急ぎでやってもよい結果はついてこない」という意味です。「急がば回れ」と同じように、焦らないことが運転でも何でも大切ですね。

恵方↔︎塞がり

神が来臨し縁起がよいとされる方角のことを「恵方」と言い、逆に祟り神がおり縁起が悪いとされる方角のことを「塞がり」と言います。この「塞がり」は陰陽道の考えに基づいたものであり、平安時代には外出先が「塞がり」の方角にあるときには、前日に別の方角にあたる場所で一泊してから目的地に向かう「方違え(かたたがえ)」という文化がありました。大変ですね。

ジリ貧↔︎どか貧

少しずつ貧しくなっていくことを「ジリ貧」と言い、逆に一気に貧しくなることを「どか貧」と言います。「ジリ貧」の「ジリ」は“じりじり”と少なくなっていくところから来ています。一方で「どか貧」の「どか」は接頭辞であり、並外れているさまや甚だしいさまを意味しています。ちなみに「どか弁」の「どか」は「土方弁当」の略から来ているので語源は異なります。

カオス↔︎コスモス

混沌のことを「カオス」、宇宙のことを「コスモス」と言います。どちらもギリシャ語由来の言葉です。もともと「カオス」はギリシャ神話の原初神を指し、混沌とは世界が創造される前の秩序がなく意味を持たない世界を指しています。一方、「コスモス」は「コスモ」と呼ばれることも多いですが、宇宙を表現しており、天体の動きなどから秩序ある世界とされています。一見、対義語に見えない2つの言葉ですが、実は対義語の関係にあります。

コメディ↔︎トラジディ

喜劇のことを「コメディ」というのに対して、悲劇は「トラジディ」と言います。娯楽では多くの人が笑いたいので、テレビや舞台などではよく「コメディ」のワードを見ることが多いですよね。トラジディで有名なのは、シェイクスピアの四大悲劇である「マクベス」「オセロ」「リア王」「ハムレット」ではないでしょうか。また、悲劇の中で最後に神によって解決へと導かれる手法を「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)」と言います。

ウキウキ↔︎しおしお

ウキウキのウキは「浮き」と書き、心が浮くほど楽しい気持ちを表すオノマトペです。一方、しおしおは元気なく萎れた様子を表すオノマトペです。よく涙を流して泣く様子を表すのに使われます。

エゴイスト↔︎アルトゥリスト

利己主義者のことを「エゴイスト」と言うのに対して、利他主義者のことを「アルトゥリスト」と言います。利他主義は、19世紀のフランスの社会学者オーギュスト・コントによって利己主義の対概念として提唱された概念です。「愛他主義」とも言います。

オーソドックス↔︎ヘテロドックス

伝統的な教義・学説・方法論を受け継ぐ様を「オーソドックス」と言うのに対して、正統ではない異端とされる様を「ヘテロドックス」と言います。「ヘテロ」はギリシャ語で「異なる」を意味する“heteros”から来ています。化学で「ヘテロ原子」というと有機化合物に含まれる炭素と水素以外の原子を表し、物理で「ヘテロ接合」というと異なる半導体の接合を表します。

青春↔︎白秋

一般に10代〜20代の若く元気な時期を「青春」と言いますが、もともとは「青春」と「白秋」はどちらも季節と陰陽五行説における色合いの組み合わせです。陰陽五行説では木・火・土・金・水の5つの要素があり、それぞれに対して色・季節・方角などが決められています。木にあたる色と季節がそれぞれ「青(緑)」と「春」、金にあたる色と季節がそれぞれ「白」と「秋」となっています。その組み合わせから「青春」と「白秋」という言葉が生まれ、「青春」は生い茂る草木の「青(緑)」の様子から人生の早い段階である10代〜20代を表すようになりました。一方「白秋」は50代〜60代を指します。

正座↔︎安座

姿勢正しく座ることを「正座」というのに対し、落ち着いて座ること、特にあぐらを組むことを「安座」といいます。東北地方では、関東でいう「体育座り」、関西でいう「三角座り」のことを「安座」と呼ぶそうです。

無理↔︎道理

「無理」の意味は、道理のないことを意味しているのでそのまま「道理」が対義語です。では「道理」はというと、物事のそうあるべき筋道や、人が行うべき正しい道を意味します。よく「なるほど」と同じような意味で「どうりで」と使いますが、漢字で書くと「道理で」となります。

正夢↔︎逆夢

夢に見たとおりのことが現実となることを「正夢」というのに対し、実際とは反対のことを見る夢のことを「逆夢」といいます。たとえば、「試験に落ちた」という夢を見たけど、実際には合格していたときは逆夢です。「夢は逆夢」ということわざがありますが、嫌な夢を見たときは逆夢だとポジティブに捉えるのもよいかもしれません。

起稿↔︎脱稿

原稿を書き始めることを「起稿」というのに対し、原稿を書き終えることを「脱稿」といいます。ドラマや映画の撮影などの「クランクイン」と「クランクアップ」と同じ意味合いです。似た言葉に「寄稿」と「入稿」がありますが、「寄稿」は新聞社や出版社に依頼されて原稿を送ること、「入稿」は脱稿した原稿を印刷所に渡すことを意味します。

謙遜↔︎不遜

控えめな態度で振る舞うことを「謙遜」というのに対し、思い上がっているような態度を「不遜」といいます。「謙」と「遜」の漢字は、どちらも「へりくだる」という意味を持ちます。過度に謙遜する必要はありませんが、不遜な態度を取らないよう注意しましょう。

鈍器↔︎利器

刃のついていない棒状の道具を「鈍器」というのに対し、鋭い刃物のような道具を「利器」といいます。よく「鈍器で殺害された」などミステリー小説やドラマで見かけますが、「利器で殺害された」とは聞きませんね。一方、「利器」は「文明の利器」という使い方で、便利な道具という意味で使われることのほうが多いです。一見、「鋭い」と「便利」は全く関係ない意味に思われますが、石器時代から文明の発展によって鋭い刃物が生まれたという関係性です。

理論↔︎実践

個々の事実や認識を統一的に説明し、予測することのできる普遍的な体系的知識を「理論」というのに対し、実際に行動してみることを「実践」といいます。対義語の関係にはなっていますが、理論と実践は両輪の関係にあります。どちらが欠けてもうまくはいきません。理論と実践の往復によって学問は前に進んでいきます。仕事でも「PDCA(計画Plan、実行Do、評価Check、改善Action)」を回すことが大事とよく言われますね。

詩的↔︎散文的

詩のような美しさや感傷性の趣がある表現を「詩的」というのに対し、定型にとらわれず情趣のない表現を「散文的」といいます。たとえば、川端康成の『雪国』の有名な冒頭、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」はこの一文で情景をありありとイメージすることができ、非常に詩的と言えます。

金切り声↔︎どら声

金属を切るときに出るような高く鋭い女性の声を「金切り声」というのに対し、太くてにごった、洗練されていない声を「どら声」といいます。「どら」とは金属製円盤を桴(ばち)で打ち鳴らす打楽器の「銅鑼」から来ています。

エロス↔︎アガペー

対象の価値を追求する、いわば自己本位の愛を「エロス」というのに対し、対象そのものを愛する他者本位の愛を「アガペー」といいます。「エロス」はもともとギリシャ神話の愛の神の名前であり、一般的には性的な愛を表すのに用いられますが、それも含めて自分にはないものを相手に求める愛のことです。一方で「アガペー」は神の愛であり、自己犠牲とも言える無償の愛を表します。

バラエティー↔︎モノトニー

変化があることや多様性を「バラエティー」といいますが、退屈なほど不変で変化に乏しい性質を「モノトニー」といいます。さまざまな種類の娯楽を組み合わせた番組なので「バラエティー番組」と呼びます。

デジャヴ↔︎ジャメヴ

それまでに一度も経験したことがないのに以前経験したことがあるように感じることを「デジャヴ」というのに対し、見慣れたものなのに初めて見るような感覚に襲われることを「ジャメヴ」といいます。デジャヴは皆さん経験されたことがあるのではないでしょうか。ジャメヴは一見すると、もの忘れのようにも思えますが、もの忘れは記憶の欠落が原因であり、ジャメヴは既知であることは認識できているものの未知のような感覚を指します。ただ科学的にもまだ解明されていないところが多いようです。2023年のイグノーベル賞では何度もよく知る単語を書いていると奇妙な感覚に陥るというジャメヴの研究が受賞しています。

フェミニン↔︎マニッシュ

英語で“女性的”を意味する言葉を「フェミニン」というのに対し、“男性的”を「マニッシュ」もしくはフランス語で「マスキュリン」といいます。ファッション記事などでは、フェミニンコーデという単語をよく目にしますが、マニッシュコーデは少ない気がします。女性らしい服装への支持が多いのでしょうか。マニッシュと似た言葉にボーイッシュがありますが、ボーイッシュはどちらかというと少年のような男の子っぽさを表す言葉です。

クリエイティブ↔︎イミテイティブ

創造的・独創的のことを「クリエイティブ」というのに対し、模倣的のことを「イミテイティブ」といいます。イミテイティブの名詞形である「イミテーション」は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。クリエイティブが求められがちですが、ビジネスにおいてもSNS運用においてもいきなりクリエイティブを発揮するのは難しいです。まずはイミテイティブ思考でうまくいっている企業やアカウントを真似してみて、そこから独自のオリジナリティを追加していくことでクリエイティブなものにつながっていくと考えます。

いかがだったでしょうか?

答えられない対義語が多かったのではないでしょうか?片方がメジャーになっていると、なかなか反対に当たるもう片方の言葉には思考を巡らせることがそもそもありませんよね。しかし、当たり前の反対を考えていくと、みんなが考えもしない発想が思いつくかもしれません。アイデア出しのトレーニングに、身近な言葉の対義語を考えてみたりするといいかもしれません。

意外と答えられない対義語