今季の立浪監督は状態の良い選手を見極めて起用していく方針のようだ(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 中日はオープン戦を10勝5敗5分で終え、ソフトバンクと並び「同率優勝」を果たした。オープン戦を勝率トップで終えたのは2003年以来、21年ぶりの出来事。チームは近年低迷が続いている中、ファンにとってはいささか懐かしい「優勝」の響きに戸惑いを覚えていることだろう。

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■磐石すぎる投手陣

 なぜ中日はオープン戦を「優勝」できたのか。それは投手陣の頑張りに他ならない。

 20試合を戦って失点はわずか43。1試合平均2.15点しか取られておらず、最後に5失点以上を喫したのは3月2日ヤクルト戦(6失点)。そこからの16試合は全て3失点以下に抑えている。

 特にリリーフ陣は一時は無失点記録を31回1/3まで続けるなど、高いクオリティーを堅持。守護神のライデル・マルティネスが少し打たれているのと、藤嶋健人の故障離脱が気になるぐらいで、シーズンに入ってもここが生命線になりそうだ。

 先発陣も大方順調にきており、開幕ダッシュへの地盤を固めつつある。

■控え野手の起用法が明確化

 野手に目を向けると、控え選手の起用法が明確になったと感じている。

 それを可能にしたのが今オフの補強で、とりわけ中島宏之山本泰寛の存在は大きい。中島は代打の切り札、山本は二遊間のバックアップとして、すでにチームに欠かせない。

 中島は勝負どころでの殊勲打を幾度も放っており、オープン戦優勝を決めた24日のロッテ戦では代打で値千金の同点タイムリー。本拠地バンテリンドームのファンを熱狂させた。

 山本はクリスチャンロドリゲスに代打が送られた後、遊撃の守備に就くことが多くなりそう。巨人、阪神と名門球団を歩んできた職人肌は新天地でも「居場所」を見つけつつある。

 そして、代打の層が厚くなったことで、守備・走塁のスペシャリストである後藤駿太を終盤の守備固めや代走といった適切な場所で起用できていることも見逃せない。

■岡林、石川昂、高橋宏がいなくても…

 岡林勇希がケガをしても三好大倫。石川昂弥が不調なら高橋周平髙橋宏斗がピリッとしなかったら涌井秀章ーー。

 上記の岡林・石川昂・髙橋宏は若くして人気と実力を兼ね備えているが、開幕は全員2軍スタートの模様。他にも根尾昂や龍空、石橋康太などのプロスペクトも開幕1軍の可能性はほぼ皆無。そんな状況でも中堅・ベテランが代役以上の活躍を見せて、オープン戦の好成績に繋げた。

 岡林のケガは仕方ないところだが、石川昂と髙橋宏は昨季までなら我慢して使われ続けた選手。その我慢と引き換えに将来の大成を見込むものだが、就任3年目の立浪和義監督はそれを良しとせず状態の良い選手を使う方針を示した。いわば勝負に徹する姿勢を示したのだ。

 選手の頑張りと首脳陣の姿勢、適切な運用。これがシーズン中も継続されれば、2024年の中日ドラゴンズは明るいものになるのではないか。

[文:尾張初]

”勝負に徹する”立浪監督の3年目 今季の中日が「明るい」と言えるいくつかの理由