シニアに特化した経理・財務専門の派遣事業を行うシニア経理財務は、ベンチャー企業からの派遣要請が急増していることを受け、3月23日に銀座・歌舞伎座タワーで開催されたミドルシニア向け説明会「セカンドキャリア発見!合同説明会」のブースで相談会を実施した。

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●人手不足の隙間は「働きたい高齢者」が埋める



 人手不足が深刻化しつつある。とくに、中小・零細企業では担当者が一人でも欠けると、たちまち業務に支障をきたしてしまう。外部から人材を確保しようにも、世の中全体が人手不足のため急な雇用が難しくなっている。そんななか、人手不足を解消する新たな働き手としてシニアの活躍に期待が寄せられている。定年退職や早期退職後も元気なうちは働きたいと考えるシニアは増え続け、2022年には65歳以上の働く高齢者は912万人になり過去最高を記録した(2023年総務省統計局調査発表)。

 一方で、シニアに働く意欲があっても、ハローワークなどでは年齢や様々な制限があり、希望しない職種の紹介がほとんど。これまでと同じ仕事で活躍したくても、多くの場合は経験値とかけ離れた運搬・清掃などの肉体労働系に転向することになる。

 シニア経理財務は、シニアの働く意欲を無駄にしたくないという思いから、経理の現役を退いても引き続き同じ道を歩むことができる人材派遣会社として2013年に設立。代表の古田良三氏が、金融、経済、財務職を経てきた経歴から思い入れの強い経理・財務に特化した。以来、経理のスキルと実務経験をあわせもったシニアと、経理や財務の人材不足で困っている中小企業をマッチングさせる業態が時代に合い評判となった。現在、派遣先企業は70社、登録人数は120人で実際に働いている人は90人と高い稼働率となっている。平均年齢は67歳で男女比は6対4。70代も30人名在籍し、最高年齢は77歳。全員が経理20年以上のキャリアをもっている。

 こうしたシニアの経理の専門派遣会社である同社に、最近ベンチャー企業からの問い合わせが増えているという。問い合わせの内容は「今すぐ、経理のプロを派遣してほしいが可能か」という緊急の要請がほとんど。経理担当者が病気になったり、親の介護が始まったりして急に不在となり人材不足で困っているというケースだ。また「今まで自分が経理も何もかもやってきたが、手が回らなくなってきたので専任の担当者が必要になった。教育する時間もないので即戦力のある人材を紹介してほしい」という若い社長からの声も急増している。

 企業がシニアを求める理由は、スキルと実務経験があるため仕事が早くて安心して任せられるから。ほかには人件費のコストを削減できること。フルタイムで週5日働いてもらわなくても、時給で週3日程度の労働でこなせるからだ。シニアの派遣スタッフも無理のない範囲で働きたい人がほとんどなので、両者の思惑がマッチしている形となる。低コストで人手不足の隙間を埋められるとあり、革新的な発想のベンチャー企業から注目されている。

 派遣先企業の社長からは、「最初は60代の人で大丈夫かな?と心配はあったが、会計ソフトも当たり前に使いこなしているし、何よりも想像以上に仕事が早い。今まで5日かかっていた仕事が2日でできている。正社員を見つける間だけのつもりだったが、ずっといてほしい」、「コミュニケーション能力が高く、社内の若手社員との関係も良好。働く姿自体が若手の教育になっている」という声が寄せられている。

 シニア経理財務 代表の古田氏は、「これまで経理一筋で培ったシニアに活躍する場を創出し、再び社会参加につなげることで人手不足の隙間が埋まり世の中に貢献している、そんな循環をもっと増やしていきたいと思う。経理の人材が今すぐほしいというクライアントをもつ税理士からの輪も広がっている」と述べている。
シニアの経理・財務に特化した派遣会社