東京都初の「Park-PFI事業」により、新たな公園に生まれ変わっている都立明治公園。その一角、新国立競技場の目の前というロケーションに2024年3月22日、都市型スパ「TOTOPA」がオープン。スーパー銭湯「おふろの王様」を運営する東京建物グループによる新施設に早速行ってきた。

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■明治公園内「みち広場」に隣接する新施設

TOTOPA」は男女で異なる設備を持つ都市型スパ。サウナ好きの人なら知っている人も多い、ととのえ親方・松尾大さんが立ち上げたサウナクリエイティブ集団「TTNE」がサウナと女性用蒸し湯をプロデュース。そう聞くとサウナ上級者向けなのではと、初心者は少し腰が引けてしまいそうだが、意外にも女性フロアは初心者にもやさしいという。実際にどんな感じなのかチェックしてみた。

建物は明治公園内のA棟。1階にはカフェがあり、その横にエレベーターと階段があってそこを上がっていく。2階が女性フロア、男性フロアは3階で、それぞれに受付があるので女性は直接2階に向かう。靴を脱いだら受付で館内着の入ったバッグを受け取ってロッカールームへ。このバッグ、オーガンジーのような質感でかわいい。さらにフェイスパックが1枚もらえるのも地味にテンションが上がる。

ロッカールームは広々。ここでまずは館内着に着替えて着衣エリアをチェック。ロッカールームからは入口が2カ所。受付側から入っていくと、まずフィットネスバイクが2台。自由に使えるのでここでウォーミングアップをするのもよさそうとトライしたものの、普段の運動不足を痛感してしまう。

ハーブティーを中心としたフリードリンクで水分補給

その横にはちょっとしたドリンクカウンターがある。ウォーターサーバーハーブティーが並ぶなかなか健康的なドリンクカウンター。ハーブティーは2種類がコールド、3種類がホットで用意されている。ハーブティーで腸活などの体内ケアを行うことで内側からも「ととのい」にアプローチするという。ちなみに真ん中のサーバーからはノンアルコールビールが!これは気持ち的に「ととのう」といったところか。もちろんこちらも自由に飲める。ノンアルなので飲んだあとにサウナや入浴もOKだ。

着衣エリアの中央にドーンと存在しているのが「呼吸ルーム」。外からだと一見わからないが扉を開けるとドーム状の部屋になっている。床にはマットと簡単なヨガの解説が置かれていて、それに合わせて体をほぐすことができる。もちろん、自由にストレッチしてもいい。ここで体を伸ばしたり、動かしたりすることで“よりよい「ととのい」体験”が期待できるそうだ。

このドーム型の空間の中にいると何とも言えない安心感があり、日常を遮断したような感覚でリラックスできる。簡単なストレッチもあまり頭を使わず、心地いいと感じるように体を伸ばしたり、ひねったりするだけで固まっていた体が楽になるようだ。ある程度体がほぐれたら、フリードリンクで水分補給をして一旦休憩。

着衣エリアの休憩スペース「トトパラウンジ」は会話OK。友達と一緒に来たときもここでならおしゃべりできる。とはいえ、リラックスするための場なので大きな声にならないように配慮しながら楽しもう。

■新感覚の薬草スチームでじっくりデトック

次に向かうのは“薬草スチーム浴”ができる蒸し湯「すちこ」。岩盤浴でいう岩盤の代わりに薬草が敷かれていて、その上にネットをかぶせて、専用のバスタオルを敷いて横になるというもの。

部屋の入口脇には中華料理の点心で目にするようなセイロの特大版が置かれていて、この中にも薬草が入っている。薬草のいい匂いに包まれながら、ほどよく蒸される体験は格別。スチームなので髪や肌へのダメージを抑制しながらデトックスできるとあって、日々忙しくしている女性のための新しいタイプの癒やし空間となりそう。

温度は60度で、着衣で入れることもありサウナ初心者にも過ごしやすい。「呼吸ルーム」でストレッチしてから入ったせいか、じわじわと体が温まり汗が出てくる。ゆっくり体が温まっていく感覚を感じながら自分のタイミングで退室。スチームのモクモクはあるが息苦しさがないので、高温サウナと違ってじっくり入っていられるのがいい。

「すちこ」を出たら、隣にある「コールドルーム」へ。約10度に設定された部屋でクールダウン。温まった体には本当に気持ちいい。冷たすぎるわけではないので、心地よく身をゆだねられる。そして驚いたのが、なんとこの部屋内で使用できる化粧水が常備されていること。クールダウンしながら保湿ができるという、不思議な体験ができる。汗をかいているので軽く汗を流してから使用してもいいし、ミスト状のものならそのまま顔にスプレーしてもいい。クールダウンできたらフリードリンクで内側からも水分を補給しよう。

■香木の香り豊かなサウナでセルフロウリュ

「すちこ」からコールドルーム→休憩の流れを再度繰り返してもいいが、どうにもサウナが気になるので、館内着を脱いで浴室エリアに向ってみる。バスタオルとフェイスタオルは浴室の入口に積まれていて自由に使えるのでここから必要なものをピックアップ。「すちこ」でかいた汗をシャワーブースでしっかり洗い流そう。

次に湯船で“下茹で”。ストレッチや「すちこ」で体はすでに温まっているが、足先などの冷えやすい部分は湯船に入って温める。体を拭いたらサウナマットを取っていよいよサウナ室「かおるこ」へ。座面が2段のコンパクトなサイズ感で6人がゆったり座れるぐらいの広さ。正面に香木があり、木の香りが立ちこめる心地いい空間だ。

こちらのサウナはセルフロウリュができる。ロウリュすることで豊かな香りに包まれ、森林浴のような気持ちよさを感じる。サウナ室の温度は85度で熱くて苦しいということはないが、ロウリュすることで体感温度が上がるので、まだちょっと怖いと思う人はタオルで頭や顔を覆ったり、肩にタオルをかけたりするといい。

いきなりサウナに入るより、先に蒸し湯→コールドルームを経ているので、汗がかきやすくなっている。ロウリュで体感温度が上がるとなおさら汗が出る。しっかり汗がかけるので、普段あまり汗をかかない、汗をかきにくいという人もぜひ流れる汗を体験してほしい。サウナは自分の体感で出たいと思ったときに出るのがベスト。

■水風呂はゆっくり入るのが基本!無理は禁物

汗をしっかり流したら水風呂へ。水風呂の水で汗を流す人もいるが、初心者にはそもそも水風呂はハードルが高いので、汗を流すときはシャワーのお湯がおすすめ。冷たい水だとサッと済ませてしまいがちなので、お湯できちんと汗を流すほうがいい。また、水風呂に入るときはいきなりではなく、足元から上に向かって少しずつ水をかけてからゆっくり入るのが鉄則。

いきなり水風呂に入るのは難しいが少しずつ入ったり、足だけ入ったら一度出て、再度入ってみると入れたりする。とはいえ無理をする必要はないので、無理だと思ったらぬるめのシャワーなどでクールダウンしよう。そのあとは体をよく拭いて「外気ラウンジ」へ。こちらは窓からほどよく外気が入ってきて温まった体には心地いい。休憩はサウナや水風呂のあとに体や感覚がフラットになるために必要な時間。水風呂に入っていないとしても休憩はしっかり取ることが大切だ。あとは、サウナ→水風呂→外気浴を繰り返すもよし、お風呂でゆっくりするもよし。好きなようにリラックスしよう。入浴のあとも「トトパラウンジ」でゆっくりハーブティーやおしゃべりを楽しむこともできる。

■“女優ライト”付きパウダースペースに充実のコスメ

サウナや入浴のあとはスキンケアも大切。「TOTOPA」の女性フロアの大きな特徴のひとつでもあるのがコスメのラインナップ。俳優のMEGUMIさんがセレクトしていて、一般的な温浴施設ではまず目にすることがないこだわりのアイテムばかり。すごいのは、たとえばクレンジングが3種、美容液が2種というように、同じジャンルのアイテムが複数用意されているということ。ちなみに浴室のボディソープシャンプーなどもこだわりアイテムなのでぜひチェックしながら楽しみたい。

ReFa(リファ)のドライヤーとヘアアイロンに、ヘアミストまで用意されているのも嬉しい。場所柄、サウナや入浴のあとに電車に乗ったり、買い物などに出かけたりすることも多いと思うが、この設備ならメイクもヘアスタイリングもしっかり整えてから出かけられそうだ。

また、ドリンクコーナーの奥にあるスペースではPC作業もできるので、サウナの前後のコワーキングスペースとして利用するのもアリ。いろいろな利用の仕方ができるのも魅力。

■18通りの「ととのい」が体験できる男性フロア

ちなみに男性フロアは女性フロアとは全く異なる造りで、着衣のエリアは小さく、ドリンクコーナーと休憩スペースの「リフレッシュラウンジ」のみ。ドリンクもノンアルコールビールのほか、緑茶や烏龍茶、「DAKARA」や「デカビタC」、「デカラ」といったサウナ好きにおなじみのドリンクもある。

浴室内のサウナは「左右ナ」と表記され、左脳を刺激するオートロウリュのある「左室」、セルフロウリュができる、おしゃべりも飲み物の持ち込みもOKの「ナ室」、右脳を刺激するパーソナルベンチのあるオートロウリュ付きの「右室」の3部屋。どれも個性的で全く違う感覚でサウナを体験できる。

水風呂は13度前後に設定された水風呂と、約16度に設定された深さ160センチの潜りOKな深水風呂の2つ。水風呂も選べるのはうれしい。そしてラウンジはドリンクカウンターのある「リフレッシュラウンジ」、「浴室内ラウンジ」、「外気浴ラウンジ」があり、3つのサ室×2つの水風呂×3つのラウンジを組み合わせて18通りの「ととのい」が体験できるという。

これまでにない設備や試みも多い「TOTOPA」。目の前には「希望の広場」が広がり、公園内にはカフェなどもあって、サウナの前後もゆっくりできるのも魅力。女性フロアは着衣で過ごすエリアも充実しているので、まさにサウナ初心者向け。仕事終わりはもちろんだが、ぜひとも休日に公園やカフェも一緒に利用して、リフレッシュしに出かけてみよう。

取材・文=岡部礼子

都立明治公園内に誕生した「TOTOPA」はA棟にある