3月28日(木)開幕の「青山オペレッタ THE STAGE~メッザ・ルーナ/光と影~」に、日々野天音(ひびの・あまね)役で出演する石橋弘毅。俳優業と並行して、ダンスボーカルグループ・UNiFYのメンバーとしても活躍する石橋に、デビューのきっかけや出演作への思い、自身が思い描く将来のビジョンについて語ってもらった。

【写真】真っすぐにこちらを見つめる石橋弘毅

■演じるキャラクターについて「僕が一番詳しくありたい」

――石橋さんは声優オーディション番組をきっかけにデビューされましたが、もともとどんな思いで芸能界を目指したのでしょうか?

高校3年生のときに、将来は何をしようかと自分を見つめ直すタイミングがあったんです。地元の埼玉から東京に行ったときに、よく「モデルやりませんか?」と声をかけられていたのを思い出して、自分は勉強もできないし特技もないけど、もしかしたら芸能界だったら目指せるかもしれないと思ったのがきっかけです。本当におこがましいんですけど(笑)。アニメが好きだったということもあり、まず声優オーディションの番組に応募しました。

――芸能界に興味があったというよりも、消去法で考えたときに芸能界なら可能性があるかもと考えたんですね。

そうなんです。映画やドラマを見るのは好きでしたけど、出る側になるということは考えもしなかったですし、それこそ最初は俳優さんの名前を覚えたり、世の中にはどういう作品が存在しているのかというところから勉強を始めたぐらいでした。最初に所属した声優グループは、コロナ禍などのさまざまな事情があって解散してしまったんですけど、そのときにダンスや歌に挑戦できたことが自分の財産になっているなと感じています。

――俳優としては2.5次元作品を中心に活動をされていますが、仕事のやりがいはどこにあると感じていますか?

僕自身がオタク気質なこともあって、原作のあるキャラクターを演じるときは僕が一番そのキャラクターに詳しくありたいんです。そのキャラクターのファンの皆さんに負けたくないと思うくらい!(笑) だから、少しでも気になることがあれば、原作サイドのスタッフさんに細かいところまで質問して確認をしています。そこへのこだわりに気付いてもらえたときはすごくうれしいし、やりがいを感じますね。

■運命的なつながりを感じる“刀ミュ

――石橋さんは、ミュージカル刀剣乱舞」で演じている日向正宗に不思議な縁を感じているそうですね。

芸能界に入った年の頃、たまたま家族と見ていた「紅白歌合戦」に“刀ミュ”の皆さんが出演していたんです。たくさんの俳優さんたちが、会場の2階まで登場して盛り上げていたのがとても記憶に残っていて。数年後、そのカンパニーに自分も入ることになるとは夢にも思っていませんでした。

それに、デビューのきっかけとなった声優オーディション番組のMCを務めていた声優の梶裕貴さんが日向正宗くんの声を担当しているんです。もともとお世話になっていた梶さんが演じている役をやらせてもらえるということで、そこにも運命を感じました。

――当時、梶さんもSNSに「ご縁を感じている」と投稿していましたよね。

はい、それもすごくうれしかったです。梶さんともいつか声優の現場でお会いできたらと思っているので、実現できるように頑張っていきたいです。

■特技が演技の役を演じるプレッシャー

――それこそ、“青オペ”は、舞台だけではなくドラマCDやラジオなどのメディアミックス作品ということで、念願の声優の仕事だったのでは?

“青オペ”への出演が決まったときはすごくうれしかったですし、デビューから僕を応援してくださっているファンの方たちも一緒に喜んでくれました。当時、同じグループでデビューをした田淵累生とは、グループ解散後しばらく会っていなかったんですが、同じタイミングで同じチーム「メッザ」での出演が決まったのですごく驚きました。本当にすべてはつながっているんだなと実感した瞬間でしたね。

――3月28日からは、チーム「メッザ」がメインとなる「青山オペレッタ THE STAGE~メッザ・ルーナ/光と影~」が開幕します。

僕が演じる日々野天音くんは、劇中劇で女性の役を演じるキャラクターなんです。天音くんは普段はいわゆるコミュ障なんですけど、お芝居になると豹変する性格の子。そのギャップを舞台上でしっかりと表現するということを、本気で頑張らないといけないと思っています。

――どういうところを課題に感じているのでしょうか?

天音くんの特技は演技なんです。まず、演じることが特技ということの説得力がある芝居をしなければいけないことがすごくプレッシャーです。

それに、僕は自分自身と役が半々で一緒に舞台に立っているような感覚で演じているんですが、今回に限っては天音くんの比率を強くしないと僕自身が出すぎちゃうなと思っていて。だから、そこのバランスを見つけていかないと、と考えています。

今まで演じたことのない役柄ですし、初めての挑戦になると感じています。精いっぱい頑張るので楽しみにしていただけたらうれしいです。

■ファンと一緒にたくさんの景色を見に行きたい

――石橋さんは、ダンスボーカルグループ・UNiFYのメンバーとしても活躍されていますが、グループでの活動が俳優活動に生きていると感じることについて教えてください。

まず、メンバーの誰かが舞台をやるとメンバー全員で見に来てくれるんですよ! それがすごくうれしいです(笑)。あとは、芸能界の仕事は歌やダンス、芝居、取材も含めて、すべての経験がどちらの活動においても糧になっていると思っています。

僕たちは自分たちで会社を立ち上げて活動をしているので、毎週定例会議をしていますし、やらなくてはいけないすべての業務を自分たちでやっています。メンバーそれぞれが表現を磨くためにノルマを作って日々頑張っていますし、大変なこともあるけれど、みんなで立ち上げた会社だからしっかりやらないといけないと思っていて。

――普通の会社員のように定例会議をしているんですか?

そうだと思います。会議のときは全員がパソコンを持ち寄って作業していますし(笑)、話し合った内容はシートにもまとめます。でも、2023年からスタートしてまだ分からないことだらけなので勉強中です。

――最後に、将来のビジョンについても教えてください。

グループとしては、イベントでタイに行くことができたのが大きな出来事で。僕にとっても初の海外だったんですが、すごく楽しかったんです。またいつか、海外での出演などもしたいなと。uu(UNiFYのファンネーム)と一緒に、たくさんの景色を見に行きたいです。

――俳優業としてはいかがでしょうか?

舞台や映像のお仕事も好きですが、やっぱり声優をやりたいです! 会社を立ち上げて、イチから走り出すということを考えたときに、声優になりたくてこの世界に入ったという自分の原点を思い出したんです。なので、声優としての経験値ももっと積んでいきたいと思っています。

“青オペ”の収録現場でも、音響監督さんたちがいるブースで他の人の収録を見学をさせてもらって学ばせていただいていますし、声優としてのお仕事をたくさんできるように頑張っていきたいと思っています。

◆取材・文=榎本麻紀恵

撮影=小山志麻

スタイリスト=齋藤良介

ヘア&メーク=田中宏昌

石橋弘毅にインタビュー/撮影=小山志麻