川栄李奈が、3月27日に東京・帝国劇場にて主演舞台「千と千尋の神隠し」(3月11日より上演中)の初日を迎えた。圧倒的な世界観の再現と、細部にまで趣向を凝らした約3時間にわたる公演で、主人公・千尋役を熱演。

【写真】ススワタリを不思議そうに見つめる川栄李奈“千尋”

川栄李奈、10歳の少女・千尋役を熱演

同作は、10歳の少女・千尋が、神々の世界に迷い込み豚の姿に変えられてしまった両親を救うために懸命に働き、生きる力を呼びさます姿を描いた宮崎駿による大ヒットアニメーション映画を基に、2022年に東宝創立90周年記念公演として初めて舞台化された。

このたび、初演から主人公の千尋役を演じ続ける橋本環奈上白石萌音に、新たにオーディションで同役を射止めた川栄と福地桃子を加えた4人の千尋によって、2024年3月の帝国劇場公演を皮切りとした日本での全国ツアー、さらにはイギリスロンドンで初の海外公演が上演される。

全国ツアー・ロンドン公演(合計235回)は、帝国劇場での3月11日夜の部の橋本出演回で開幕を迎え、12日夜の部で上白石、13日夜の部で新キャスト・福地がそれぞれ初日を迎えた。そしてついに、川栄が27日夜の部にてスタートを切った。

ミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」オリジナル版の潤色・演出を担い、そのほか「ナイツ・テイル-騎士物語-」や「ダディ・ロング・レッグズ」など、演劇史に残る名作を生み出してきた英国ロイヤルシェイクスピアカンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアードが翻案・演出を手掛ける同舞台。

映画の世界から飛び出したようなキャラクターたちと、熱い息遣いまで感じられるライブならではの醍醐味が相まり、大衆演劇の優れた業績を表彰する「第47回菊田一夫演劇賞」で上演関係者一同が菊田一夫演劇大賞を受賞する快挙を成し遂げるなど、高い評価を得ている。

■日本とイギリス――海を越えた二つの国で同時上演

2023年の名古屋・御園座での再演を経て、2024年3月に帝国劇場からスタートし、4月に名古屋・御園座、4月から5月に福岡・博多座、5月から6月に大阪・梅田芸術劇場メインホール、6月に北海道・札幌文化芸術劇場hitaruでの上演が決定。

また、それらの全国ツアー公演と並行して、4月から8月にかけてロンドンでの初の海外公演も実現するとあって、今また大きな注目を集めている。

ロンドンの劇場は、約2300席の客席数を誇るウェストエンド最大級の劇場、ロンドン・コロシアム。日本人キャストによる日本語での海外上演としては演劇史上最大規模、また東宝株式会社主催公演としても史上初の試みとなる。

東宝演劇の海外上演はこれまでも多数あったが、主に現地のプロダクションへ上演権をライセンスする、現地キャスト・現地語上演の形で行っていた。

今回のように、日本上演時のプロダクションが海外において日本語による演劇を4カ月間にわたり上演することは、東宝としても初挑戦であり、日本の演劇界としてもほとんど類を見ない試み。

日英米のクリエイティブスタッフの陣営も続投し、日本生まれのカンパニーが再び日本全国、そして初の海外公演としてロンドン・ウェストエンドでの上演を果たす。

宮崎駿の崎は、正しくは「立つ崎」

舞台「千と千尋の神隠し」より、主人公・千尋役を務める川栄李奈