阿部新監督の采配能力は未知数でも――

球団史上初の連覇に挑む阪神。オープン戦は最下位に沈んだが、岡田監督の自信は揺るぎない。(C)産経新聞社

 3月29日にいよいよ幕が開けるプロ野球。昨シーズンもさまざまなドラマに彩られた名手たちの戦いは、今年も大いに世間を沸かせるだろう。

 果たして、今年はどのチームが栄冠を手にするのか。ここでは今シーズンのペナントレースの順位を予想していく。まずは、昨シーズンは阪神の18年ぶりとなる“セ界制覇”に沸いたセ・リーグからだ。

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【1位:阪神】

 オープン戦では球団ワーストの9連敗を喫するなど苦戦が続いて最下位に。不安に陥っているファンもいるだろうが、岡田監督が「そんなん全然関係ない」と言っている通り心配は無用だろう。昨年の得失点差は+175。2番目に多かったDeNA151もの大差をつけていて、簡単に埋められる数字ではない。

 オフの目立った補強は、クローザー候補に挙げられている新外国人のハビー・ゲラぐらい。それでも投手では岡留英貴、門別啓人、野手では前川右京らが急成長し、戦力層は厚みを増している。ライバル球団を見回しても脅威となりそうなのは巨人くらいとあって、球団史上初となる連覇に向け、優勝候補一番手の座に揺るぎはない。

【2位:巨人】

 昨年はチーム打率(.252)、本塁打数(164)ともリーグトップだったにもかかわらず、総得点523は3位、さらには投手陣も防御率(3.39)は5位と冴えなかった。それでも、個別に見れば能力の高い選手が多い。新人も投手では西舘勇陽、打者では佐々木俊輔オープン戦で即戦力になり得るポテンシャルを発揮。チーム力はアップしている。

 昨年の成績は選手よりも首脳陣の指揮に問題があったと思える節もあり、この推測が正しいとすれば、やはり阿部慎之助新監督の手腕が問われるだろう。現役時代に球界屈指の名捕手だった45歳の指揮官が選手たちの本来の実力を引き出せれば、十分に優勝争いに食い込める。采配能力は一軍では未知数でも、二軍で経験を積んでいるため問題にはならないはず。打倒・阪神の筆頭候補と見る。

【3位:ヤクルト

 3連覇を目指した昨年は、一転して最下位を免れるのがやっと。その原因が、防御率3.66でリーグ最下位に終わった投手陣にあったのは明らかだ。被本塁打143本は神宮を本拠としている以上仕方ないにしても、953奪三振リーグワーストと力不足は否めなかった。

 とはいえ、今春は高橋奎二が復調、さらにプロ2年目の吉村貢司郎もオープン戦防御率1位で終えるなど好材料もあって、右肘の大怪我からの完全復活を期する奥川恭伸が本格的に戻ってくれば見通しは明るくなる。

 打線も昨年は本来の出来ではなかったが、それでも534得点は2位。調整が順調に進んでいる山田哲人の今春の状態を見ても再上昇が見込め、Aクラス復帰の目はあるだろう。

DeNAはやはり否めない2枚看板の喪失

【4位:DeNA

 ドラフト1位の新人度・会隆輝は打率.434でオープン戦首位打者。さらに4位の石上泰輝も.327と好調。この2人が合わせて8盗塁と足も使え、タイラー・オースティンも復帰した打線は確実に昨年よりグレードアップしている。

 ここまでチームのムードも明るいが、それでも昨年の2位から下降するという厳しい予想になるのは、言うまでもなく今永昇太トレバー・バウアーの主力投手2人が抜けた穴が埋め難いからだ。

 2人合わせて17勝、投球回数は278.2回。Aクラスに留まるには新外国人のアンドレジャクソンがバウアーと同じくらいの成績を残した上で、小園健太、中川颯といった若手投手がどうにかして今永の損失をカバーするしかない。

【5位:広島】

 昨年はAクラスに滑り込んだとはいえ、493得点、508失点のいずれもリーグ5位。現時点で、より心配なのは西川龍馬が抜けた打撃陣のほうだ。オープン戦のチーム打率.211は12球団ワースト。有望株の田村俊介は好結果を出しているが、マット・レイノルズ、ジェイク・シャイナーの両新外国人がともに1割台、本塁打も1本のみとまったく当たりが出ていない。

 低打率とはいえ19本塁打を打っていたマット・デビッドソンを残しておけば……と嘆く声も聞かれる。投手でも、即戦力と見込まれていたドラフト1位の常廣羽也斗の調整が遅れているのも誤算。期待できる材料よりも不安要素のほうが多い。

【6位:中日】

 最下位予想ではあるものの、オープン戦の勝率.667は両リーグトップとあってダークホースに推す声も出ている。とりわけ投手陣は、高橋宏斗が二軍落ちする誤算もありながらチーム防御率1.97と安定感抜群だ。しかしながら、打線はあまり変わり映えしないのは正直なところ。

 中田翔の加入で長打力は改善が見込め、新外国人アレックス・ディカーソンも選球眼の良さを発揮しているが、なにしろ昨年の打撃成績は出塁率.285リーグ唯一の2割台)、71本塁打と惨憺たるもの。多少の上積みでは他球団との差は埋まらない。特に二遊間の打力が弱く、この点が解消されなければ最下位脱出は見えてこない。

[文/出野哲也]

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