山川ら補強のソフトバンク、覇権奪回のカギは?

中嶋監督の下で強固なチームを作り上げてきたオリックス。今季はエース山本が抜けたが、その強さは不変だ。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 3月29日にいよいよ幕が開けるプロ野球。昨シーズンもさまざまなドラマに彩られた名手たちの戦いは、今年も大いに世間を沸かせるだろう。

 果たして、今年はどのチームが栄冠を手にするのか。ここでは今シーズンのペナントレースの順位を予想していく。今回はオリックスの4連覇が注目されるパ・リーグだ。

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【1位:オリックス

 パ・リーグでの4連覇は1975~78年の阪急、85~88年と90~94年(5連覇)の西武しか例がない。それほどの難事業が、大エースである山本由伸を失ったチームに可能なのか? 昨年は2位ロッテに対し15.5ゲーム差。その差は確実に縮まる。

 だが、昨年のチーム防御率は2.95。山本を抜きにしても投手陣は充実している。東晃平がフルシーズン投げ、山岡泰輔が問題なく先発に再配置できれば、損失も最小限にとどめられるだろう。これに西川龍馬が加入した打線のカバーがあれば、リーグ史上4度目の快挙も容易となるはずだ

【2位:ソフトバンク

 昨年は千賀滉大の抜けた穴を埋めきれずに3年連続のV逸。小久保裕紀新監督の体制下での覇権奪回は、先発投手陣の柱ができるか否かにかかっている。だが、チーム最多の10勝を挙げた有原航平が打者を圧倒するタイプではなく、リリーフからの転身を図るリバン・モイネロも先発では未知数だ。

 一方で打線はただでさえ柳田悠岐近藤健介がいるだけでなく、山川穂高アダム・ウォーカーといったパワーヒッターが加わり、間違いなくリーグトップの破壊力を誇る。それだけに有原、モイネロ以外で、エース級の成績を残せる投手の出現が必至。そうでなければまたも失望のシーズンになる。

【3位:ロッテ

 昨年は2位だったが得失点差は-19。貧打のチームというイメージが強いが、実際にはリーグワースト2位の防御率3.40と投手陣のほうに問題があった。とはいえ、佐々木朗希種市篤暉小島和哉西野勇士C.C.メルセデスと計算できる先発要員は5人揃っていて、特大のポテンシャルを秘める佐々木が離脱せずフルシーズン投げられれば相当な陣容になる。

 そういう意味でも、やはり不安なのは打撃陣。ネフタリ・ソトの加入でパワーアップが期待された今季も、オープン戦では14試合で5本塁打止まりと成果が出ていない。山口航輝安田尚憲ら若手が打線の中軸を打つまでに成長しなければ、現時点で優勝候補として推すまでには至らない。

日本ハムはダークホース的存在になりそう。でも…

【4位:日本ハム

 2年連続で最下位に沈んでいたが、大幅な戦力補強を施しダークホース的存在になりそうだ。特に先発ローテーションは、新人王候補と見られていた金村尚真があぶれてセットアップに回るほどに充実。エース格だった上沢直之が退団した影響を感じさせない。

 もっとも不安要素も少なくない。課題だった二遊間のレギュラーは結局決まらないままで、期待の新外国人フランミル・レイエスも日本野球への適応に苦労している。オープン戦を見る限りでは走塁死やエラーなどのミスも多い。クライマックスシリーズ争いには加われても、さらにその上となると厳しいと思われる。

【5位:西武】

 投手陣の充実度はオリックスと肩を並べる。ルーキー武内夏暉が加わり、先発ローテーションがさらに厚みを増しただけでなく、FA人的補償甲斐野央も加入。新外国人のアルバート・アブレイユともども、衰えが危惧される増田達至に代わる抑え候補に浮上している。

 懸念材料はリーグ最下位の得点力だった打線に改善の兆しが見られない点。新外国人として2門の大砲を手に入れたが、ヘスス・アギラーはまずまずながら、フランチー・コルデロは2打席に1個の割合で三振している。山川とデビッド・マキノンが抜け、外国人が当てにできそうもないとなると、いくら投手が良くても上位進出は難しいと言わざるを得ない。

【6位:楽天】

 順位は4位だったものの、昨年の得失点差は-43でリーグワースト。そこから抑えの松井裕樹が抜けてしまい、戦力はさらに弱体化した。松井の後任として則本昂大を後ろに回したため、代わりの先発要員が必要。早川隆久荘司康誠の両若手が順調なのは朗報で、コディ・ポンセも加わっているが、昨年もリーグ最少の奪三振数だったように、全体的に迫力不足は否めない。

 打線も長打が見込めるのは浅村栄斗だけで、オープン戦では17試合でわずか3本塁打。新たに外国人打者を補強したわけでもなく現状維持とあっては、現有戦力の大幅なグレードアップがない限り苦戦は免れない。

[文/出野哲也]

オリックスの“難事業”を阻むのは? 山川穂高ら大型補強のソフトバンクの覇権奪回の成否は打線にあらずで――【プロ野球順位予想/パ・リーグ編】