2024年4月で30周年を迎える、日本テレビ系バラエティー番組「ぐるぐるナインティナイン」。4月4日に放送される「ぐるナイ30周年記念2時間スペシャル」の「ゴチになります!」では、22年ぶりに中居正広がゲスト出演し、節目の記念特番を大いに盛り上げる。今回、同特番における「ゴチ」収録直前のナインティナイン(矢部浩之岡村隆史)にインタビューを実施。「ぐるナイ」30周年を迎えた今の心境や、「ゴチ」誕生時のエピソード、さらに、今回の収録を迎えるにあたっての中居とのやり取りなどについて語ってもらった。

【写真】衣装が独特…矢部浩之&岡村隆史の30周年記念ツーショット

■ターニングポイントとなった「ゴチ」の誕生

――まずは「ぐるぐるナインティナイン」が30周年を迎えた今の心境をお聞かせください。

矢部:単純に「年を取ったな」と思います。特に覚えているのが、番組がゴールデンに昇格したばかりの頃。大御所の方がゲスト出演していただけるようになったのですが、自分に何の説得力もないので、常に違和感を抱えながらも、必死にもがいていましたね。

岡村:そもそも30年もできると思っていませんでした。「ぐるナイ」は「吉本印天然素材」の後番組としてスタートしたんですけど、天然素材メンバーからのバッシングがすごかったですし(笑)。

――かつては攻めた企画も多かった「ぐるナイ」ですが、30年も愛される、お茶の間で安心して観られる番組になったターニングポイントは何だと思いますか?

矢部:やっぱり「ゴチになります!」が大きかったですよ。「ゴチ」は当初、ほかの単発企画と同様のショートコーナーでした。お店はお寿司屋さんで、メンバーは僕らと出川(哲郎)さん、国分太一の4人。初回のゲストは野口五郎さんでしたね。当時、「ぐるナイ」で身体張った企画ばかりやっていた僕らにとって「ゴチ」は「楽な企画」という印象。とはいえ、やることといえば、ご飯を食べて値段を当てるだけですから、バラエティー番組として「これでいいのか?」と半信半疑でした。

岡村:当時の僕らは20代で若手ですし、特別、笑いのセンスがあるわけでもありません。それやったらということで「ぐるナイ」では身体を張ることに比重を置いていたんですけど、なかなか数字(視聴率)が上がらず、試行錯誤を繰り返していました。そんな中でスタートしたのが「ゴチ」でした。「ゴチ」に対して、僕も相方と同じで「これで本当にいいのか? 面白いのか?」「食べ物を食べるだけでいいのか?」と疑問に感じていたんですけど、色々な方から声をかけてもらえるようになった要因は「ゴチ」だったんですよね。今では間違いなく「ぐるぐるナインティナイン」といえば「ゴチ」となったと思います。

矢部:そうですね。僕も、お笑いが大好きな人だけが「ぐるナイ」を見ているわけではないということを「ゴチ」を通して知ることができました。「ゴチになります!」があるから、「ぐるナイ」がまだ続いているのは間違いないです。

■今のナイナイに「身体を張る企画」は求められていない?

岡村:もちろん、今でも身体張る系の企画を頼まれればやれるんですけど、世間から求められていない気もします。

矢部:たしかに。昨年6月に放送された特番『24時間ナイナイアップデート!!』(日本テレビ系)で2人で抱き合ってバンジージャンプをしたんです。でもオンエア終了後、何の反響もなかったんですよ(笑)。それよりも、「ゴチ」でクビになったほうが話題になるんですよね。

岡村:あのバンジージャンプを「面白かったね」って言ってた人、誰もいませんでした。SNSにバンジーの「バ」の字も出てなかった(笑)。

矢部: 50歳過ぎた芸人のバンジーって、やっぱり需要ないんですよね。自分らでは「懐かしいなぁ」という気持ちになったんですけど、「こんなん、いらんねや」と(笑)。

■中居からは「今日、現金いるの?」とショートメールが

――その「ゴチになります!」では今回、お二人と親交の深い中居正広さんが出演されるそうですが。

矢部:今日、中居から「現金いる?」ってショートメールがきて。まだショートメールなんですよ、あいつ(笑)。「いる」って答えたら、「ヤバい」と返ってきました(笑)。

岡村:元SMAPですから、お金なんて払ってこなかったんだと思います。「結局、日テレが払ってくれるんだろ?」と考えていたんじゃないですかね(笑)。だから僕のほうにも「今日、現金いるの?」ってショートメールが来ましたもん。「いるよ、負けたら払わなあかんから」と送ったら、「そうなの」と返ってきました。その後、バシっと「ゴチは違うよ」と伝えておきました。

■「おもしろ荘」は「有吉くんの出演が大きい」

――「ゴチになります!」と双璧を成す人気長寿企画といえば、2007年から始まった「おもしろ荘」ですが、同企画についての思いも聞かせていただければと思います。

岡村:「ぐるナイ」の前身番組「吉本印天然素材」の頃は出演者がネタ見せをし、スタッフさんが番組内でやれるか、やれないかを判断していました。場所は後楽園ホールのロビー。目の前の長机には4~5名のスタッフさんが座っていて、「よーい、はい!」でネタをやらされるんですけど、まぁ、くすりとも笑わない(笑)。そのネタ見せの空気がものすごい嫌で。そんなある時、関根(勤)さんがMCをされていたバラエティー番組「ヒューヒュー」(日本テレビ系)に呼ばれ、狭い会議室でネタをやる機会があったんです。「嫌やな、またどうせ笑ってくれへんねやろな…」と思っていたら、めちゃくちゃ笑ってくれて。僕は聞いていませんが、おそらく関根さんが若手のネタを笑わない空気を許さなかったのではないかと思うんですよ。そういうこともあって「おもしろ荘」で僕らは、面白いと思ったら普通に笑ってますし、いじわるなことはもちろんしないんですよね。

矢部:「おもしろ荘」は、後説込みのコーナーだと思っています。ネタよりも、その後のフリートークのほうが面白くなることがよくありますし、優勝していないのにテレビに出始めるコンビは、後説が面白い場合が多いですよね。だから僕は、後説で時間いっぱいまでプライベートの情報が書かれたカンペなど見つつ、何か引き出そうとう意識しています。

岡村:あと「おもしろ荘」は、僕らと一緒に若手のネタを見る側として毎年、有吉(弘行)くんが出演してくれることが大きいです。ある時、有吉君に「なんでこの番組出てくれるの?」って聞いたら、「いや、オファーがあるんで」とクールに言っていました(笑)。いずれにしても、出てくれるのは有り難いと思いますね。

■岡村「ぐるナイに“テレビ”を教えてもらった」

――最後にご自身にとって「ぐるナイ」とはどんな存在か、教えてください。

矢部:夕方の頃から考えると、22、23歳の頃からやらせてもらっているので、自分にとってあることが当たり前になっています。ネットニュースなどではよく「もう終わってもいい長寿番組」みたいな特集があるじゃないですか。ここまで来たら、そこに載らないことを目標にしつつ、「まだやってんの!? すごいなぁ」といつまでも言われ続ける番組にしていきたいですね。

岡村:本当のこと言うと、「めちゃイケ」よりも「ぐるナイ」のほうが先に終わると思っていたんですよ。そしたら「めちゃイケ」のほうが先に終わって。我々もう52歳、53歳になってきて、いわゆる「コア視聴率」(※コア層と呼ばれる13歳〜49歳までの視聴率のこと)と呼ばれているところから外れているオジサン芸人です。そういった中で、若い方たちと絡ませていただき、若い人たちの力も借りながら番組を続けられるのは有り難いことです。

僕はこの「ぐるナイ」でテレビというものを教えてもらいました。たとえば、ロケで「いくら面白いことを言ってても、みんなでガチャガチャしゃべっている中では残らないよ。まず一つ『あの~』と言ってカメラをこちらに向けさせるとか。自分のほうにテレビカメラが向く技術を一つ覚えなさい」と指導してもらったのは、この番組でした。そういったテレビのことを教えていただいたのはこの「ぐるぐるナインティナイン」だったなと思います。

「ぐるナイ」30周年を迎えるナインティナインの二人/(C)日テレ