新潟を拠点に活動するアイドルグループ・NGT48の1期生メンバーとして第一線で活躍、春にグループを卒業する本間日陽さん。2024年3月23日NGT48劇場にて卒業公演を行ったばかりで4月13日には卒業コンサートが開催される。1月17日には2nd写真集「NGT48 本間日陽2nd写真集 陽射し色」も発売、3刷重版されるなど話題になっている。そんな彼女に、これまでのNGT48での思い出や卒業を決めた理由、将来のことなど話を聞いた。

【写真】4月13日に卒業コンサートを開催する本間日陽(NGT48)が今の心境を語った

■「48グループに加入できたことは、今後の人生においてもすごい貴重な経験だなと思います」

――春の卒業が迫っておりますので、NGT48のメンバーとしては最後のメディアインタビューになりそうですね。これまでのNGT48の活動を振り返ってみて、楽しかったことやつらかったことなどいろいろあったと思いますが、印象的だったことを聞かせてください。

1期生として加入したのでNGT48での活動全部が印象的ですが、なかでもAKB48選抜総選挙(以降、総選挙)です。一番最初にランクインしたのが13位で次の年が16位、総選挙へ参加することで自分のアイドル人生が変わりました。

――上位で発表されたときの気持ちは今でも覚えていますか。

その年の目標が総選挙にランクインすることだったので、速報で5位で呼ばれたときは、ランクイン以上のことがすでに決まって自分でも何が起こったのかわからなくて、すごい戸惑ったのをはっきりと覚えてます。ランクイン圏内で呼ばれるのを目標にしていたのに、それ以上を急に目指さないといけなくなったというのは、あとにも先にもないすごい経験だと思います。本当に選抜常連の先輩方以上の順位をいただいた瞬間だったので、恐縮するのも恐縮なくらい大きな出来事でした。

振り返ってみてラッキーだったなと思うのは、同じ境遇だったメンバーが私だけではなかったということですね。速報で同期の(荻野)由佳ちゃんが呼ばれてNGT48が世間の皆さんに知ってもらうひとつのきっかけになったと思うんですけど、多分由佳ちゃんも同じような気持ちを少なからず抱えていたと思うし、共有できる仲間がいたというのはすごく心強かったです。

――NGT48メンバーとして初めてステージに上がったときはどんな気持ちでしたか。

高校1年生15歳のときにNGT48に加入したんですけど、誰かから声援をもらうということが本当に初めてだったので不思議な感覚でした。自分たちを見るためにわざわざ集まってくださったファンの皆さんの姿を見て、緊張はしましたけどすごい楽しくてあっという間だったなというのだけ覚えてますね。野外ステージで2曲だけの披露だったというのもあるんですけど、本当にあっという間にお披露目が終わってしまって村上に帰ったあと、今日あった出来事は夢だったんじゃないかなと思ったほど、すごい不思議な1日でした。

――加入したばかりのころは、振りや歌詞を覚えたりするのもきっと大変でしたよね。

初期メンバーだったというのもあって、丁寧に振りとかを最初から教えていただけたというのはラッキーな環境だったなと思います。ダンスも未経験の子が多かったので、本当にゆっくり同じ曲を練習する日が続きました。

――1期生としてみんなと一緒に覚えていくというのはすごく安心できたでしょうね。NGT48に入る前から尊敬している先輩はいましたか。

当時加入したときの憧れのメンバーさんは宮脇咲良さんと柏木由紀さんです。「希望的リフレイン」をテレビ番組で観たときに咲良さんを初めて知って、まず第一にかわいらしい方だなと思いました。咲良さんもHKT48に加入してAKB48選抜に選ばれるようになって、AKB48のセンターとして活躍されているのを見て、こういうアイドル人生を自分も歩めたらいいなと。この8年半の間にAKB48メンバーとして一緒に活動できた時間もありましたが、咲良さんへの憧れの気持ちは今も変わってなくて、そして世界で活躍されている姿を見てこれまでと同じように元気と勇気をもらってますし、すごく今も大好きで大尊敬している先輩です。

ゆきりんさんは、小学生のときからテレビ番組で観ていたイメージと、加入してからゆきりんさんに抱く気持ちが全然違いました。本当にいい意味で、直接会ったらアイドルとしての凄さをさらに実感しました。NGT48に兼任してくださったっていうのもあって、本当にアイドルとしての基本的な部分を全部ゆきりんさんから教えていただきました。

――尊敬している先輩と48グループで一緒に活動してきたということは貴重な経験になりましたね。

NGT48が2015年に発足して、48グループに加入できたことは、今後の人生においてもすごい貴重な経験だなと思います。全国に友達ができたという意味でも48グループに入ってよかったです。そうじゃなかったら、(豊永)阿紀ちゃん(HKT48)という福岡の友達ができてなかったです。

――本間さんはNGT48のメンバーとしてだけではなく、AKB48選抜としても活躍されましたね。

AKB48選抜に入って一番意識が変わったのは、自分のことよりNGT48のことを率先して考えるようになったということです。先輩の背中を見て、先輩がずっと作ってきた48グループの重みを選抜に入ったことによってより実感したので、自分もNGT48の一員としてグループをどうしたらもっと盛り上げられるのかというのをすごく考えるようになりました。

AKB48選抜では後列の端のポジションが多かったんですけど、NGT48だと1期生で加入して最初から正規メンバーとして選ばれてきたので、自分のアイドル人生を振り返ると、後列もやったことがあるし、はたまた2列目の真ん中のカメラに抜かれにくいところのポジションをいただいたこともあるし、前列だったり、センターでパフォーマンスする機会もあったので、どこのポジションにいても自分のパフォーマンスには自信を持てるように、鍛えられたんじゃないかなと思います。

――柏木さんから本間さんにそういうアドバイスがあったと前のインタビューで話されてましたよね。

はい、そうです。ゆきりんさんのアドバイスを今でも大切にして活動しています。アイドルとしてのステージでのあり方というのも加入した当時からゆきりんさんに教えていただきました。AKB48選抜に入ったことによって、須田亜香里さんをはじめ、先輩の話を聞く機会も増えて、自分もまだまだ今いるポジションで満足できない、もっともっと上を目指そうと思うようになりました。

初めて総選挙で13位にランクインして、次のAKB48のシングル「11月のアンクレット」で選抜落ちしたときに、自分がこれまで抱かなかった感情に初めて出会ったんです。総選挙で13位に入ったからこそ、次のAKB48のシングルで選抜に選んでいただけることを目標にしていましたが、選ばれませんでした。これまで「AKB48選抜に入りたい」なんていう目標すらなかったけど、そこで初めて「AKB48選抜に選ばれるようになりたい」っていう新しい気持ちが芽生えて、それは自分にとってすごく成長だったと思います。

でもその気持ちをどう消化していいかわからなかったときに、ゆきりんさんからいただいた言葉がすごく支えになって。「AKB48選抜で選ばれたメンバーがNGT48の活動にいないことが増えるけど、そのときは日陽にとって一番チャンスだよね。AKB48選抜で選ばれたメンバーがグループを空けたときにこそ、自分の存在価値が一番発揮されるときだと思うよ」という言葉をいただいて。自分はその選抜に選ばれたメンバーが劇場を空けているときに、劇場に来てくれるファンの人を全員自分のファンにしてやろうという気持ちで、腐らずに頑張れたから次に繋がっていった部分があったんじゃないかなと思います。

■「NGT48ができたことによって、自分が生まれ育った新潟を好きになりました」

――この8年半いろんな思いを抱きながら活動してきたと思いますが、NGT48は本間さんにとってどんな存在ですか。

本当に自分の人生を変えてくれた存在です。48グループが新潟にできなかったら、私はアイドルをやっていなかったと思いますし、エンタメの世界に入っていたかすらもちょっと危ういなと思います。

NGT48に加入できたからこそ、今アイドルとして8年半突っ走ってこられて、またここからさらにお芝居の道へと進もうとしているので、NGT48が自分を変えてくれました!地元新潟から本当に早く飛び出したいと思っていたのに、NGT48ができたことによって自分にとってすごく大切な場所に変わって、新潟という自分が生まれ育った土地を好きになりました。

――センターを務めた曲も含めて、NGT48の数々の名曲のパフォーマンスを行ってきたと思いますが、なかでも自分にとって一番大切な曲を教えてください。

初めてシングルでセンターを任せていただいた「春はどこから来るのか?」は本当に大切な楽曲です。「渡り鳥たちに空は見えない」ももちろん大好きですし、自分にとって大切な楽曲なんですけど、1曲に絞るとしたら「春どこ」かな。

「春どこ」のときはNGT48がきたりえさん(北原里英)が卒業するタイミングで、グループが変わっていくときに任せていただいたシングルセンターだったので、自分がセンターに立って引っ張っていくNGT48をファンの人に見てもらいたかったし、どうしたらきたりえさんがいないNGT48をこれからも楽しみだなと思ってもらえるかというプレッシャーがありました。

渡り鳥」はセンターに立ったときに、ここでアイドルをやりきったなっていう思いが生まれました。夢を追う背中を押してくれるような歌詞がすごく多くて、自分が夢に対して抱えていた葛藤だったり悩みからすごく救われた曲だなと思います。この曲からいっぱい力をもらいました。

地方で夢を持ってるけどその夢が漠然としすぎていて、私のようにどう行動に移したらいいかわかんないという人はすごく多いと思います。同じように夢を持っている人にも聴いてもらいたい曲です。

――そしてついに春に卒業ですね。寂しくなりますが、卒業を決めた理由を教えてください。

自然なタイミングです。自分がどういう道に進むかっていうのは10代のころから決めていたので、一歩ずつ自分の中での目標が達成されていって、ちょっとずつグループを卒業する準備ができていった。その中で卒業するのが今だったというだけだと思います。

――アイドルを卒業するのはまだ早いような気もします。

地元で夢の切符を手に入れたという感覚の方が強いので、ずっと電車に乗っている感じです。1回途中下車じゃないけど、また別の夢に向かって旅路を続けるっていうイメージです。

ファンの方からもよく卒業するのは寂しいというお言葉をありがたいことにいただくんですけど、芸能界を辞めるわけではないし、作品の中で表現することは一生やめないと思うので、また新しい形でファンの方に、今度はもっと生活に根付いた形でテレビやドラマで楽しんでもらえるような存在になりたいなと思ってます。アイドルはもうずっとちっちゃい頃から大好きなので、アイドルファンは続けていくと思います。

――卒業したあとは、どんな未来に向かって進んでいかれるのでしょうか。

卒業後はお芝居を中心に芸能活動を続けていこうと思っています。NGT48で活動してきて、地元新潟への愛がすごく深まっていて、自分が今ここに存在するのは地元の方の応援のおかげでもあるので、もっと新潟を盛り上げたいという思いもあります。なのでお芝居で全国で活躍できるように、同時に新潟をさらに盛り上げられるような人になりたいです。

――卒業後の女優としてのご活躍も楽しみにしています。では、最後にメッセージをお願いします。

NGT48に加入してから8年半の間で、アイドル本間日陽を見つけてくださった皆さん、本当にありがとうございます。アイドル人生はここで一回終了なんですけど、芸能人生はまだまだ続いていきますし、皆さんをもっとわくわくさせられるような活動していきたいなと思ってますので、これからもぜひ私の成長を温かく見守って応援してもらえたらうれしいです。これからもよろしくお願いします。

撮影・取材・文=野木原晃一

NGT48の1期生メンバーとして第一線で活躍した本間日陽が春に48グループを卒業する