織田作之助は、『夫婦善哉』の作者として有名で、太宰治坂口安吾の盟友、「無頼派」のひとりとして知られています。また、有栖川有栖さん、津村記久子さんなど、現代の人気作家に敬愛され、「文豪ストレイドッグス」「文豪とアルケミスト」のキャラクターとしても親しまれています。戦後に流行作家となり、当時は薬局で購入できた覚せい剤を使用し、過酷な執筆生活を続けていましたが、無理がたたり、33歳で亡くなりました。

その作品の魅力は豊かな物語性にあります。

本書は、織田文学の研究者で、『小説家、織田作之助』の著者、大阪大学大学院の斎藤理生教授が全作品から傑作をセレクトして編まれたものです。料理人順平の流浪の旅を描く「放浪」。別府へと逃れ落ちた男と女を描く「雪の夜」。商才に優れた男が家を再興する芥川賞候補作のドラマチックな物語「俗臭」。龍馬に慕われた寺田屋お登勢の半生「蛍」。そして、作者を思わせる流行作家を視点人物として、読者の心に深く残る名品「郷愁」。織田文学の研究者が厳選した11編を収録。波瀾万丈そして人情。大阪が生んだ唯一無二の作家がここにいます。

【収録作品】「放浪」「雪の夜」「馬地獄」「俗臭」「人情噺」「天衣無縫」「高野線」「蛍」「四月馬鹿」「神経」「郷愁」

■著者略歴

織田作之助 1913(大正2年)-1947(昭和22年

大阪市の仕出し屋の家に生れる。三高時代から文学に傾倒し、1937(昭和12)年に青山光二らと同人誌『海風』を創刊。自伝的小説「雨」を発表して注目される。1939年「俗臭」が芥川賞候補、翌年「夫婦善哉」が『文芸』推薦作となるが、次作「青春の逆説」は奔放さゆえに発禁処分となった。戦後は「それでも私は行く」をいち早く夕刊に連載、1946年には当時の世俗を活写した短編「世相」で売れっ子となった。12月ヒロポンを打ちつつ「土曜夫人」を執筆中喀血し、翌年1月死去。

■編者略歴

斎藤理生(さいとう・まさお)1975(昭和50)年、高松市生まれ。千葉、東京、名古屋などを転々とした後、大阪府豊中市で育つ。大阪大学を卒業後、同大学大学院で博士課程を修了。博士(文学)。群馬大学准教授等を経て、2021(令和3年)より大阪大学大学院教授。太宰治や織田作之助の小説を中心に日本近現代文学を研究している。著書に『太宰治の小説の〈笑い〉』『小説家、織田作之助』。共著に『太宰治 単行本にたどる検閲の影』などがある。

■書誌情報

書名 放浪・雪の夜 織田作之助傑作集(新潮文庫刊)

著者 織田作之助

発売日 2024年3月28日、電子書籍も同日配信開始

定価・電子書籍の希望小売価格 693円(税込)

ISBN 978-4-10-103703-5

配信元企業:株式会社新潮社

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