OSバージョンが更新されるにつれ、新機能は追加され、既存機能もより使いやすく洗練されていくものだ。2023年秋にリリースされたWindows 11の最新バージョンである「23H2」では、まさに多くの機能が洗練され、総合的に完成度が高まった印象をうける。

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 一方で、新OSにおける細かいアップデートは能動的にリサーチしなければ把握しづらいことも事実であり、Windowsユーザーでありながらもここ数世代で追加された便利機能を見逃してしまっていることは少なからずあるだろう。

 本稿では現行のWindows 11において、作業能率をアップさせるためにぜひ知っておきたいテクニックを10個ピックアップして紹介する。これまでに見落としていた機能や操作方法がないか、ぜひチェックしてみてほしい。

 なお、本稿で紹介する機能のなかには、Windows 11 23H2より前のOSバージョンで使えたものも含む。ただし、最新の「Windows 11 バージョン 23H2」にアップデートしている前提で話を進めていくため、OSバージョンが異なる場合には、手順解説通りの挙動にならないことがあることを、予めご了承いただきたい。また、機能検証時のOSビルドには「22631.3155」を用いている。

●1.ショートカットキーでWindows in Copilotを表示する

 23年10月31日にリリースされた「Windows 11 バージョン23H2」では、生成AIを活用したアシスタント機能の「Windows in Copilot(ウィンドウズ・イン・コパイロット)」が有効になっている。基本的に無料で利用でき、Windows上の設定項目を探すような操作にも使えるのが特徴だ。

 同機能は、タスクバー(画面下部のアイコンの並び)に表示される「Copilot」のアイコンをクリックすることで起動できるが、利用する度にポインタを移動してクリックしていたのでは億劫と感じることもあるだろう。

 そこで、[Windows]+[C]キーを同時に押下するショートカットキー操作でも、Windows in Copilotのサイドバーが起動できることを知っておきたい。

●2.ウィンドウのスナップを軽やかに使う

 Windowsにおいて、アプリウィンドウをきれいに配置する機能を「スナップ」と言い、あらかじめ決まった配置に複数のウィンドウを並べる機能を「スナップレイアウト」と呼ぶ。

 スナップレイアウト関連の操作は複数あるが、Windows 11で覚えておきたいのは2つのショートカットキー操作だ。1つ目は、[Win]+[Z]キーの同時押下。これにより数字が表示されたレイアウトの候補が表示されるので、キーボードで数字を指定すると、そのレイアウトでスナップが行える。

 2つ目は、[Alt]+[Tab]キーの押下だ。スナップレイアウトとして配置したアプリウィンドウは、タスクバーのライブサムネイルに「スナップグループ」として表示される。そのため、ほかのアプリウィンドウを並行して開いて扱う際にも、このショートカットキー操作をすることで表示を素早く切り替えられる。

●3.Edgeのタブをスナップレイアウトで使いやすくする

 ブラウザの「Edge」をスナップレイアウトで配置しようとした場合、複数のタブを開いている際には、スナップレイアウトの候補に表示されるタブの数は限られる。しかし、設定をカスタマイズすることで、この上限を増減することが可能だ。スナップレイアウトに慣れてきたら、こちらの設定を操作し、自身にとって使いやすい数を見極めておきたい。

 具体的な操作としては「設定」から「システム」を選択し、「マルチタスク」から「スナップまたはAlt+Tabを押したときにアプリのタブを表示する」をクリック。選択肢から「20個の最新のタブ」や「タブを表示しない」などを選ぼう。

●4.指定した領域の画面をキャプチャする

指定した領域のスクリーンショットなどを撮影する「Snipping Tool」も使いこなしたい。なお、Windows 11 22H2からは、選択範囲の動画をキャプチャすることもできるようになっている。

スクリーンショットの場合には、ショートカットキーでは[Win]+[Shift]+[S]キーの同時押下で素早く利用できる。表示されたキャプチャーバーから使用したいツールを選択し、撮影したい領域を指定しよう。

●5.画像内の個人情報を塗りつぶす

 先述したSnipping Toolでは、スクリーンショットの画像に含まれるテキストを抽出するOCR機能が備わっていることも知っておきたい。同機能を活用することで、必要な情報をクリップボードコピーできるほか、隠したい個人情報の塗り潰し処理などを素早く行えることもポイントだ。

 具体的には、まずSnipping Toolキャプチャーを行い、通知に表示される「スクリーンショットクリップボードコピーして保存しました。画像をマークアップして共有するには、ここを選択してください」という通知をクリックし、Snipping Toolのアプリ画面を起動する。

 そして、ツールバーにあるテキスト認識のアイコンをクリック。「クイック編集」を選択すると、電話番号やメールアドレスなどがマスキング処理される。

●6.クリップボードの履歴を活用する

 コピー操作をしたデータが、「クリップボード」と呼ばれる領域に保存されることは、皆さんご存知の通りだろう。Windows 11では、標準機能としてこのクリップボードの履歴を表示できる。

 必要な操作としては、まず「設定」の「システム」から「クリップボード」を選択し、「クリップボード履歴」がオンにしておこう。

 そして、ショートカットキーとして[Win]+[V]キーを同時に押す。これでクリップボード履歴のウィンドウが起動する。同ウィンドウ上で、履歴に表示されているURLや画像データなどを指定することで、ペースト操作がより効率的に行えるはずだ。

 なお、クリップボードの履歴に関して、「すべてクリア」「ピン留め」などの操作が行えることも重要だ。

●7.音声で長文を入力(文字起こし)する

 スマートフォンなどをはじめ、昨今のデバイスの大部分で音声入力が一般的に利用されるようになったが、Windowsももちろん音声入力をサポートしている。Windows 11では、日本語の音声入力精度向上が改善しているので、自宅などでキーボード操作に疲れたタイミングがあれば、積極的に音声入力を試してみよう。

 具体的な操作としては、ショートカットキーとして[Win]+[H]を同時に押す。これで音声入力のUIが起動するので、あとは口頭で入力したい文を読みあげていこう。音声入力を終了する際には、同様のショートカットキー操作をするか、「聞き取りを停止する」のように口頭で指示をすればよい。

 なお、デフォルトの状態では、「まる」などと話しても、「丸」と変換されて、句読点の入力ができない。必要な場合には、音声入力メニューの左側に表示される設定アイコンから「句読点の自動化」のスイッチをオンにしておこう。

●8.スタートメニュー画面を有効活用する

 Windows 11では、スタートメニューをカスタマイズすることで、より使いやすく整えられる。例えば、フォルダに対して副ボタン操作でメニューを表示し、「スタート画面にピン留めする」を選択すると、スタート画面に、そのフォルダのアイコンを配置できる。また、Edgeから開いたWebページもウィンドウ右上の「・・・」から「その他ツール」→「スタート画面にピン留めする」を選ぶことで、ピン留めできる。

 また、スマートフォンやタブレットのような感覚で、スタートメニューに配置されたアイコンドラッグして重ねると、フォルダとしてまとめることも可能。スタートメニューにアイコンが増えてきた際には、この手順で整理していみょう。

●9.集中したいときに通知をオフにする

 Windows 11では「応答不可」(旧「集中モード」)機能を有効にすることで、煩わしい通知を表示させず、集中力をキープできる。

 操作としては、画面右下の日付と時間が表示されている部分をクリックして通知センターを開き、右上にある「応答不可」のアイコン(ベルにzZが重なったもの)をクリックすればよい。

 なお、続けて「通知設定」をクリックすると、設定画面が起動し、詳細なカスタマイズが可能だ。「応答不可を自動的にオンにする」や「優先通知を設定する」の欄から、自動で「応答不可」をオンにする条件を指定したり、「応答不可」が有効になっている状態でも通知を許可する例外を指定したりできる。

 また、通知センターに表示される「カレンダー」にある「フォーカス」機能を使うことで、操作から指定した時間が経過するまで「応答不可」を有効にできるようになっている。

 補足しておくと、同機能は元々「クロックアプリ」内の「フォーカスセッション」機能として提供されていたものだが、Windows 11 22H2でOS標準のカレンダーのUIに統合された形だ。

●10.スマートフォンと連携する

 Windows 11では、「スマートフォン連携」機能を使うことで、Windows PCとスマートフォンとの連携が可能だ。スマートフォン側では「Windowsにリンク」アプリを用いる。

 自力で情報検索をする際に混乱するといけないので変遷を補足しておくと、同機能に関するモバイルアプリは、元々Android向けに「スマホ同期」(米国では「Your Phone」)の名称で展開されていた。これが22年4月には「Windowsにリンク」(米国では「Phone Link」)の名称へ変わった。そして、翌23年4月にApp Storeでも同名の「Windowsにリンク」アプリが提供開始された。

 必要な操作手順としては、「設定」から「Bluetoothとデバイス」を選び、「スマートフォン連携」を選択。同機能をオンにしよう。あとは画面指示に従って操作を行えばよい。大まかな流れとしては、スマートフォン側で、「Windowsにリンク」アプリをインストール・起動し、Windows PC側に表示されたQRコードを読み込むことでペアリングが実行される。

 ペアリングが完了し、スマートフォン側でいくつかの項目へのアクセスを許可すると、Windowsの画面から、スマートフォンの着信やメッセージの履歴などを確認できるようになる。

 本稿で紹介した全ての機能を活用する必要はないが、気になるものがあったのならば、ぜひ記事を読み返しながらお手元のWindows 11搭載PCにて試してみてほしい。