カンテレでは、ドキュメンタリー番組『ザ・ドキュメント The indigo BUAISOUのつくるいろ』を29日(25:25~※関西ローカル)に放送する。

○■伝統工芸の概念変える藍染集団・BUAISOUに密着

NIKE、JIMMY CHOO、スタジオジブリら名だたる企業と次々にコラボレーションを果たし、伝統工芸の概念を変える徳島県上板町の藍染め集団・BUAISOU。伝統工芸である藍染めを生業にする彼らは、シンガーソングライターのリアーナらが工房を訪れるなど、世界中から注目を集めている。伝統的な藍染め産業と彼らが大きく異なるのは、“染料づくり”と“染め”を一貫して行っていること。土を耕し、藍を育て、染料(すくも)をつくり、染める。そうして“自分たちの藍色”をつくることにこだわる彼らの姿勢こそ、世界に評価されている理由のひとつだ。

本番組では、藍染めを使った表現と自由な発想で、ファッションやアート業界の関係者から高く評価されるBUAISOU代表の楮覚郎(かじかくお)氏に密着取材。「伝統にこだわると落ちていく」と断言する彼の真意はどこにあるのか。一方で、伝統を守り続けてきた人は伝統と距離を置き“自分たちの藍色”を追求するBUAISOUをどう見ているのか。約2年に及ぶ取材から、独自のものづくりの姿勢を貫く“伝統の異端児”BUAISOUの輝かしい歩みとその裏側の苦闘を映し出す。最も信頼していたメンバーの離脱。職人と会社代表、2つの立場に揺れる姿。その先で葛藤しながらつくり上げた、楮氏の夢ともいえる製品とは。

○■徳島県出身・赤穂雄大氏がディレクター手掛ける

ディレクターを務める赤穂雄大氏は、徳島県出身。生家の近隣に突如現れたBUAISOUに衝撃を受け、約2年にわたる密着取材を行った赤穂は、その過程を振り返って「NIKE、JIMMY CHOO、スタジオジブリ、名だたる企業とコラボをする藍染め集団・BUAISOUが徳島県上板町にいます。存在を知った時は心底驚きました。私は徳島県で育ちましたが“藍染め”に現代的なイメージを持ったことがなかったからです。取材初日、工房に足を踏み入れるとすぐにBUAISOUの皆さんに魅了されました。世界を相手に藍染めで勝負を挑みながらも、流れる空気は柔らかくユーモアがあり、心地よい。そして、中心には代表・楮覚郎さんの藍染めに対する圧倒的な熱量がありました。一方で取材をした2年間はBUAISOUにとって試練の連続。“ものづくりをして生きていく”苦しさと美しさ、BUAISOUに流れる素敵な空気を視聴者のみなさんと共有できればと願っています」と熱く語った。

○■ベネチアテレビ賞金賞などの経歴持つ樋口耕平氏が撮影担当

撮影を担当するのは、国際エミー賞にノミネートされ、ベネチアテレビ賞金賞など世界の賞を総なめにした『希容の形』(21年8月放送)をはじめ、数々の受賞歴をもつ世界的カメラマン・樋口耕平氏。本作のこだわりについて樋口氏は「初めてBUAISOUにお邪魔した時、最初に目についたのは彼らの“青く染まった手”でした。後に私も経験させてもらいましたが、一度染まると少なくとも1週間は色が落ちません。そのまま食べ物屋さんに行くと“お兄ちゃん藍染やるの?”と声をかけられたりして、彼らがあの手を誇りに思う気持ちが少しだけ理解できた気がしました。今作の撮影では、その“青い手”をメンバーの成長や矜持の象徴として映像に織り込んでいます。ナレーションなし、というのは民放のドキュメント番組ではあまりやらない手法ですが、私自身はこの作品を含め、撮影した直近4本の報道ドキュメンタリーのうち3本がノーナレ。映像で物語ることの奥深さと難しさを今回も感じながら、BUAISOUの皆さんの言葉にできない魅力が伝わることを願っています」と呼びかけた。

【編集部MEMO】
『ザ・ドキュメント』は、カンテレで不定期放送されているドキュメンタリー番組。2023年は、9月に放送した『猛火の先に ~京アニ事件と火を放たれた女性の29年~』がギャラクシー賞 奨励賞、7月に放送した『引き裂かれる家族~検証・揺さぶられっ子症候群~』がギャラクシー賞 入賞、貧困ジャーナリズム賞、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル 入賞、3月に放送した『難病の僕と出かけませんか? ~最高の旅のつくり方~』がギャラクシー賞 奨励賞、2月に放送した『ウクライナ、9×9の歌 明日をつくる子どもたちへ』が日本民間放送連盟賞 特別表彰部門(青少年向け番組)最優秀賞を受賞している。

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