反響の大きかった2023年の記事から選ばれたジャンル別トップ10。今回は集計の締切後に、実は大反響だった11月12月公開記事に注目。惜しくもトップ10入りを逃した記事を順不同で紹介!(集計期間は2023年11月~2024年1月。初公開2023年11月7日 記事は取材時の状況)
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 外観や店内の様子など料理と同じくらい見た目が重要なのが飲食店。もちろん、味一本で勝負する店もあり、そっちのほうが敷居が低くて通いやすいが、そうした店が好みに合わない者もいるようだ。

 証券会社に勤める佐竹淳紀さん(仮名・28歳)は、夕食は基本的に外食。自宅最寄り駅周辺に行きつけの店があり、平日は食事を済ませてから帰宅という流れだ。なかでもコロナ禍の期間を除き、就職当時から通い続けているのは町中華のお店。ラーメンや餃子をはじめ、レバニラ炒めなどの定食類も全体的にレベルが高く、しかもボリュームもあるので月2~3回の頻度で通っているそうだ。

◆お気に入りの町中華で女性客が不満を連発

「実家の近所にも町中華の店があり、子供のころから家族でよく食べに行ってました。高校時代も通学路にそういう店があって部活が終わった後、友達とよく寄ってたんです。だから、町中華にはすごく愛着がありました。しかも、今通ってるその店はレビューサイトの評価はイマイチですが本当に美味いんですよ。だから、その店を侮辱したあの女性客のことを思い出すと今も腹が立ちます」

 問題の女性客は20代半ばくらいで、夜8時半過ぎに同年代と思われるスーツ姿の男性と入店。テーブル席に座っていたが女性は最初からこの店のことが納得いかない様子だったという。

「すでに別の店で飲んできたような感じでしたね。女性は周りの客にも聞こえるほどの声で『ねぇ、他に店はなかったの?』『店の中もなんか汚らいし……』と彼氏らしい相手の男性に不満をぶつけてました。どうも力関係は男のほうが下らしく、必死になだめようとしていましたが彼女はそれを無視して文句を言い続けてました」

◆常連客と女性が口論しはじめて…

 2人が頼んだのはビールをはじめ、餃子と春巻き、野菜炒めの計4品。だが、料理が運ばれても女性は「なんかマズそう」、「インスタにアップする気も起きない」などまだ不満タラタラ。すると、カウンターで食事をしていたアラフィフ男性が突然「嫌ならさっさと出てけばいいだろ! アンタのくだらねぇグチを聞かされながら食事する身にもなってみろ!」と店内に響く声で一喝したのだ。

 ただし、女性も負けじとアンタに関係ないでしょ! ジジイはすっこんでろ!」と反撃。思った以上の気の強さと口の悪さに佐竹さんも驚いたそうだが、さらに2人の言い争いに「あの、ちょっといいですか?」と割って入ったのが同じくカウンター席に座っていたスーツ姿のアラサー男性だ。

◆別のお客も参戦するカオスな状況に…

 てっきり仲裁するのかと思ったが「ほかのお客さんが聞き取れるボリュームで、お店や料理の不満を口することが本当に正しいと思っているのですか?」と口調は冷静ながら彼も女性を批判。この状況に女性の彼氏は何もできずにただオロオロしていたとか。

 女性はこの状況でも「部外者は口を挟まないで!」と吠えていたが、ここで店の大将が「お客さん、お金はいらないから出て行ってくれないかな」と一言。これにアラフィフ男性が「そうだ!」と同調し、女性は歯を食いしばった様子で店を出て行ってしまう。彼氏はテーブルの上に本来の料金より多めの1000円3枚を置いて、「すみません、すみません!」と何度も頭を下げて女性の非礼を詫びていたそうだ。

◆トラブルを機に店の大将とは世間話をする仲に

「常連客としては『よくぞ言ってくれた!』とスカッとした気持ちになったことは否定しません。でも、あの時はちょうど夕食時のピークを過ぎていたこともあり、店内にいた客は私を含めて5人。自分は絶対に首を突っ込まないようにしようと傍観を決め込んだことは間違ってないと思いますが、私以外に店にいた人全員が口論の当事者ですからね。カップルが店を出た後、女性を非難した2人のお客さんも大将も3人して私に謝ってくるんですよ。さすがにあれは気まずかったですね(苦笑)」

 しかし、この件をきっかけに店長との距離が縮まり、今ではちょっとした世間話をする関係に。ほかの2人のお客も常連だったらしく、会話こそないがお互い会釈程度は交わすようになったという。

「そもそも町中華には町中華の良さがあるし、カフェやイタリアンなどのオシャレな店と比べるのが間違い。今は恋人がいませんが、少なくとも町中華に文句を言うような女性とは付き合いたくないですね」

 飲食店の中には衛生管理が行き届いても内装や雰囲気によって誤った印象を与えることもある。本当に不衛生な場合はともかく、雰囲気などのイメージだけで「汚そう」と文句を言うのは控えたほうがよさそうだ。

<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。