注目の対戦を前に岡田監督が一発かました(C)産経新聞社

 前哨戦は阪神・岡田彰布監督の”圧勝”だった。3月29日プロ野球一斉開幕を控えた28日、セ・リーグの対戦カードごとの各指揮官が共同記者会見に臨んだ。東京ドームでいきなり伝統の一戦を迎える巨人・阿部慎之助監督と並んだ岡田監督は、いきなりあの事件について切り込んだ。

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 共同会見の模様は『阪神タイガース公式チャンネル』などでも公開されている。対戦相手の印象や、警戒すべき点を聞かれた時だった。岡田監督はここぞとばかりに爆弾を放り込んだ。

「2月のキャンプから当然、一番今年のライバルは巨人になると思っていたんですけど。一番注意してたんは新外国人だったんですけどね。ちょっとなんかね、ちょっとねえ、拍子抜けして」

 メジャー通算178発の実績を誇り、まだ30歳と若く、このオフの最大の注目新外国人とされていた巨人のルーグネッド・オドーアが開幕3日前に電撃退団したばかり。オープン戦で打率.176と低迷し、首脳陣はファーム調整を提案したが、これを不服として拒否して帰国を申し出た。球団も本人の意向を尊重する形で、90周年の節目を迎えたチームで初めて、加入1年目の助っ人が開幕前に退団していた。

 そこを早速いじったわけだが、これには会見場内も爆笑に包まれ、絶妙なタイミング、間で投下されたネタに、隣の阿部監督まで苦笑いを浮かべるしかなかった。その後も笑いをこらえるのに必死の様子だった。

 昨年は阪神が対巨人戦球団最多となる18勝6敗1分けと大きく勝ち越して、その直接対決の結果がリーグ順位にも大きく影響した。6つの開幕カードでも最も注目度が高い一つだが、そこで岡田監督らしい名調子が決戦ムードを引き立てた。

 阿部監督も就任来、岡田阪神をライバル視してきた。昨年10月6日の就任会見では、昨年の流行語大賞にも選ばれた岡田監督が優勝を指す隠語の「アレ(A.R.E.)」を意識。「本年度『アレ』で盛り上がっています。来年度は『アレ』ではなく『アベ』でいきたいと思います」と覇権奪回への強い思いを口にしてみせた。

 常に阪神には因縁がついてまわった。プロデビュー戦は2001年の阪神との開幕戦。父の東司さんは、習志野高時代に「ミスタータイガース」こと掛布雅之氏と同級生でともにクリーンアップを打っていた。その掛布氏と、阪神が前回日本一に輝いた1985年クリーンアップを組んでいたのが岡田監督。どうしても意識してしまう相手に、思わぬ形で機先を制された。

「岡田監督もおっしゃった通り、今年を占うんじゃないか、そういう大事なゲームになると思います。選手もわくわくしているし、自分自身もわくわくしているところがあります」 

 初陣を前に、初々しく意気込んだ阿部監督。前哨戦では優等生発言に終始したが、グラウンド上ではどんなタクトが冴え渡るのか。指揮官同士の攻防からも目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

前哨戦は阪神・岡田監督が”圧勝”!? さまざまな因縁渦巻く巨人・阿部監督 グラウンドでどんな采配を見せるか