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盲目の超少年は かなたのぞみ よろよろ進む

東大阪を縦走する鉄道線の駅名である「俊徳道」。この駅名が《俊徳丸伝説》に由来することをご存じでしょうか?

本展では、鉄道玩具のプラスチックレールをつなげ、青いラインが空間中を占拠してゆくインスタレーションで注目される現代アーティスト・中野裕介/パラモデルが、自身の出身地である東大阪に伝わる《俊徳丸伝説》をモチーフに制作した作品を展示します。

中野は、ユニット活動以前から欠如と創造の関係に興味をもち、地元の《俊徳丸伝説》に出会ってから十数年にわたり、リサーチや作品制作を続けてきました。

中野が壁や床に這わせる青いレールに完成はなく、《俊徳丸伝説》にまつわる芸能や文学をもとに制作した巨大なドローイングや複数の映像を連結させながら、東大阪を縦横に走る「道」となり、河内平野を蛇行する「川」となって、東大阪市民美術センターを架空の巨大なまちへと変貌させてゆくことでしょう。

過去と現在、現実と想像が交錯する作品空間の中で、目が見えない俊徳丸がよろよろと、しかし健気に「俊徳道」を歩く姿を想像しながら、欠如や障害が創造の源泉となりうることを感じていただければ幸いです。

※「よろぼう」とは、「よろよろ歩く」という意味の古語です。

《俊徳丸伝説》とは

河内国高安(現在の八尾市高安)の長者の息子・俊徳丸はあるとき、失明し、病に侵され、天王寺に逃れます。よろめきながら歩き、ひん死ですごす中、観音に祈ることにより病が癒えるという物話で、この伝説をもとに能楽『弱法師』、説経節『しんとく丸』、人形浄瑠璃歌舞伎の『摂州合邦辻』といったさまざまな古典芸能や、三島由紀夫の戯曲集『近代能楽集』、寺山修司の舞台作品『身毒丸』などが生まれました。盲目の俊徳丸が高安から四天王寺へ行き来したが「俊徳街道」と言われています。

個展「かなたをよむ:海と空のあいだのP」2022 展示風景 不知火美術館・図書館  photo:高野友実

【会期】2024年4月25日(木)~5月12日(日)

【時間】10:00-17:00 5月2日(木)は20:00まで開催(入場は閉館時間の30分前まで)

【休館日】4月30日(火)、5月7日(火)

【会場】東大阪市民美術センター 第1・2・3展示室、1階常設スペース、茶室

【主催】東大阪市民美術センター(指定管理者 東大阪花園活性化マネジメント共同体 HOS株式会社)

【協力】MORI YU GALLERY、株式会社WEST、大阪石材工業株式会社、京都精華大学、大阪電気通信大学高松市美術館、小川晃、障がい者生活介護事業「アトリエライプハウス」、倉地宏幸(大阪電気通信大学)、高野友実、中市和磨、今井健太郎(山/完全版)

【観覧料】無料

【問い合わせ】東大阪市民美術センター 電話072-964-1313
【公式HP】https://hos-higashiosaka-art.com/
※この事業は、「東大阪市第3次文化政策ビジョン:2.文化施設の公共的役割の徹底(東大阪市文化振興条例第8 条)」に基づき実施しています。

右:俊徳丸の模型(よろぼう少年)2015  左:かしこい犬の模型(よろぼう犬) 2015  photo:表恒匡

【プロフィール】

中野裕介/パラモデル

1976年 東大阪生まれ。2002年 京都市立芸術大学大学院 絵画専攻(日本画) 修了。03年 同大学の林泰彦とアートユニット「パラモデル」結成、メタフィジカルな「模型遊び」をテーマに多様な形式の作品を発表。11~17年の図書館勤務を経た現在の個人活動では、描画やテキスト・空間表現を軸に、文学・哲学・マンガ・建築・郷土文化・古典芸能など、古今の書物を横断し題材とする創作を続ける。単著に『かなたをよむ:海と空のあいだのP』(P出版 24年)『まちがeる読み、iかれた挿し絵 中野裕介/パラモデル 2010-2020』(青幻舎 21年)。京都精華大学芸術学部教授。

近年の個展に、22年「かなたをよむ:海と空のあいだのP」(不知火美術館図書館/熊本)、21年「まTiGerる読み、いかReた挿し絵」(高松市美術館/香川)、18年「まちがeる読み、iかれた挿し絵」(MORI YU GALLERY/京都)、常設展示に、23年「わすれたかなたの わすれへん回路の話」(石切回廊/大阪)。ユニット名義の個展に、13年「パラの模型/ぼくらの空中楼閣」(銀座メゾンエルメス フォーラム)、グループ展に、14年「MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり」(東京都現代美術館)、11年「世界制作の方法」(国立国際美術館/大阪)など多数。

巨大な少年の建造計画〔頭部〕2013 (C)Nacasa & Partners Inc. /Courtesy of Fondation d’entreprise Hermes

【関連イベント】

1.アーティストトーク
 4月28日(日)14:00~15:00

 ◇参加無料/申込不要

2.ワークショップ「青くてあおく、長いながい、ふしぎな《しゅんとく道》をひろげよう」
 玩具のレールを「幻の俊徳道」や「幻の河内鉄道」に見立ててつなぎ、町をつくります。

 4月27日(土)10:00-12:00

 会場:東大阪市民美術センター2階ロビー

 定員:15人

 対象:小学生以上(小学生は保護者と一緒にご参加ください)

 参加費:500円

 ◇事前申込制:専用フォーム(参加者全員の氏名、年齢(学年)、住所、電話番号記載)にて申し込み。

 お問い合わせは市民美術センターまで。申し込み1件につき1組まで。応募多数の場合は抽選。

 4月14日(日)締切

3.ライヴ+トーク「《俊徳道・俊徳丸》をきく ▷ かたる」

 琵琶による新曲『俊徳丸』の演奏と「俊徳丸伝説」に関するトークイベント。

 5月3日(金・祝)14:00~16:00

 出演:荻山泊水(錦心流薩摩琵琶奏者)、足代健二郎・坂上弘子・杉山三記雄(郷土史研究家)、
 中野裕介/パラモデル

 会場:東大阪市民美術センター 第1・2展示室、特別室

テナシイヌ Para-dog 2001 パラパラマンガ

 定員:80人(特別室)

 ◇参加無料/申込不要

4.学芸員によるギャラリートーク

 5月4日(土・祝)14:00~15:00

 ◇参加無料/申込不要

5.常設ワークショップ「青くてあおく、長いながい、ふしぎな《しゅんとく道をもっとひろげよう」

 4月28日(日)~5月12日(日)の土・日・祝

 ワークショップ「青くてあおく、長いながい、ふしぎな《しゅ   んとく道》をひろげよう」の成果物に、

 参加者が玩具のレールを好きな箇所につなげて広げていきます。

6.謎解きゲーム「しゅんとく丸の七つ道具を探せ!」

 作品の中に隠されたしゅんとく丸のアイテムを探そう。

 会期中の土・日・祝

 ◇参加無料/申込不要、先着150人

コラボレーション展示

 東大阪市内の障がい者生活介護事業「アトリエライプハウス」と中野裕介/パラモデルによる

 コラボレーション展示。

 4月28日(日)~5月12日(日)

 会場:東大阪市民美術センター 1階常設スペース

忘れた忘れたはずの昔のはなし 2022  高松市美術館・ブランチギャラリー photo:表恒匡
よろめく少年のダイアグラムー「俊徳丸伝説」を題材にした能楽『弱法師』にもとづく[部分] 2012
わすれたかなたの わすれへん回路のはなし 2023  壁面にプラレール、ミニカー、PPシート 石切回廊 photo:高野友実
チラシ裏面

配信元企業:東大阪市民美術センター

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