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いすゞがBEV発表

タイの大型自動車イベントのひとつである、バンコクインターナショナルモーターショー(一般公開2024年3月27日4月7日、於:IMPACTエキジビションセンター)でEVのピックアップトラックに注目が集まった。

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いすゞは、同社の1トンピックアップトラックとして初めて「D-MAX」BEV(バッテリーEV)を世界初公開した。ここでいう1トンとは最大積載量を指す。

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バンコクインターナショナルモーターショー2024

公開された仕様は、駆動方式がフルタイム四輪駆動、モーター最高出力はフロントが最高40kW/リアが90kWで合計130kW。最大トルクはフロントが11.01kg-m/リアが22.13kg-mとなり合計33.14kg-mだ。

駆動用バッテリーリチウムイオン二次電池で、電池容量は66.9kWhでトラックとしては比較的小さい印象がある。

最高速度は時速130kmとし、満充電の航続距離は非公開。最大牽引能力は3.5トンだ。ショーのプレスデーの1週間前、3月19日にはプレスリリースが出されていた。

トヨタは実証開始

プレスリリースにもあったように、最初に発売されるのはタイではなく、欧州のノルウェー2026年からを計画しており、その後、英国、オーストラリア、そしてタイでの販売を目指すという。

いすゞ2050年カーボンニュートラルを目指し、小型トラックのELFのEVや、バスでのEVや燃料電池車の開発を推進する中長期の電動化戦略を示した。

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バンコクインターナショナルモーターショー2024

一方、タイはグローバルに向けたピックアップトラックの製造拠点であり、タイ市場に対しては排気ガス規制強化の流れがある中で内燃機関での量産を引き続き進めるとした。

ただし、D-MAXは現在、日本へ未導入のモデルであり、EV化戦略の中でも日本に関する記載がないことから、日本ユーザーにとっては当面遠い存在になりそうだ。

一方、ハイラックスのEVモデルである「REVO e」はタイでの2025年後半からの市場導入を目指して、同国内で実証実験を始めることが分かった。

場所は、日本からの観光客にも馴染の深いリゾート地、パタヤだ。ハイラックス REVO eは、すでにコンセプトモデルというステージではなく、今回のショーでは量産車のひとつという位置付けで展示されていた。

市場に変化

トヨタは今回のプレゼンテーションの最初に「モビリティ・フォー・オール」また「マルチパスウェイ」という、ジャパンモビリティショーなどで使ってきたメッセージを、タイを含めた共通言語として強調した。

またトヨタによると、昨年11月に発表したハイラックスチャンプ(日本でのIMV O「アイエムブイ・ゼロ」)を含めて、ハイラックスブランドが24年1~2月期のタイ・ピックアップ市場シェアの47%を占めるという。

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バンコクインターナショナルモーターショー2024

こちらは、ガソリン車とディーゼル車であり、実需を考えるとこれらが一気にEV化に進むとは考えにくい。充電インフラバンコク都市部などを除いて未整備な地域が少なくないことや、ピックアップトラックのユーザーは主に小規模な自営業者であり、ピックアップトラックの価格設定に対して敏感だからだ。

そのため、トヨタとしては企業方針の一環として、ハイラックスの生産国であり、国としてもEVシフトに積極的なタイでハイラックス「REVE e」を段階的に普及させようとしている。

日本市場向けとしては現時点で発表はない。そして、日本のユーザーが気になるのが三菱「トライトン」についてではないだろうか。

タイでも高評価のトライトン

12年ぶりに日本再上陸となるトライトンについては、3月上旬に富士山麓で実施された報道陣向け試乗会の模様がネットや雑誌で取り上げられ、走破性/ハンドリングの軽快さ/乗り心地が高水準でバランスしているとして高い評価を得ているところだ。

タイでも、今回のショー開催前に路面状況が厳しいオフロードコースで試乗会が行われて高評価だという。

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バンコクインターナショナルモーターショー2024

電動化の可能性について、日本仕様を含めて生産を行うタイの三菱現地法人関係者に聞いたが、現時点では電動化の計画はないという。

将来については未知数だが、パートナーである日産の次期ナバラを含めて、将来的な可能性はゼロではないはずだ。

そうした中、足元で三菱としては、FFのハイブリッド車「エクスパンダーHEV」をタイで電動車の筆頭とした電動化戦略を進める。

この領域では、EVまたはHEVというカテゴリーの垣根を超えた、価格競争が熾烈さを増している状況。特に、直近では販売を急激に伸ばしている中国EVブランドの影響が大きい。

その上で三菱としては、エクスパンダーHEVの商品性の高さと販売店でのサービスの質の高さをユーザーにアピールしていく見込みである。


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