大谷と水谷氏の関係崩壊には関係者たちからも驚きの声が広まり、エンゼルス監督時代にふたりと仕事をこなしてきたマッドン氏も意見した。(C)Getty Images

 大谷翔平ドジャース)と水原一平氏。単なる選手と通訳という枠を越え、盟友とも呼べるだけの関係性を構築していただけに、後者の“裏切り”は球界に衝撃を与えた。

 驚きを隠せなかったのは二人を良く知る関係者たちも同様だ。2020年からエンゼルスで約3年の監督歴を誇るジョー・マッドン氏にとっても、水原氏の違法賭博関与に端を発した一大スキャンダルは寝耳に水だった。

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 水原氏はMLB通算1382勝の名将から見ても稀有な通訳者だった。それは今年1月にMLBの公式ネットワーク局『MLB Network』に出演した際に「通訳としての彼の功績があまり認められることはないが、イッペイは本当に素晴らしい仕事をしてくれていた」と絶賛したことからも明確だった。

 すでに複数メディアの報道にある通り、水原氏が違法ブックメーカーに対して巨額の負債を抱え始めたのは、マッドン氏がエンゼルスに就任していた21年とされている。それだけに百戦錬磨の名将にとってもドジャースを解雇され、二人が袂を分かつ形となった一連の顛末にはショックを隠せずにいる。

 現地時間3月29日に米フロリダ州の日刊紙『Tampa Bay Times』の取材に応じたマッドン氏は「全てのことに本当に仰天した」と率直な想いを吐露。「まさかだ」と水原氏の行為に対する考えを口にした。

「私たちのように彼らと一時期を共にした人からすれば、こんなことが起こるなんて誰も到底予想できなかったし、両者の言い分どちらも信じられないよ。私もそうだ。ショウヘイが賭け事をするなんて信じられないし、イッペイがショウの信頼を破るなんて信じられない」

 今もなお、騒動を信じ切れずにいるというマッドン氏は、「彼らとは毎日一緒にいて、毎日コミュニケーションを取っていた。そうやって(大谷は)二刀流選手になったんだ」と強調。そして、「彼らは誰もが指摘する通り、本当に切っても切れない仲だったんだ」とし、名コンビの関係崩壊にやりきれない胸の内を打ち明けている。

「私がエンゼルスにいた時も彼らはいつだって仲良くに見えた。そして彼らの間で口論や意見の不一致が起きたところも見たことがなかった。私たちは皆、同じ価値観を持ちたいものだし、彼(大谷)はイッペイの友人だった。

 だからショウヘイが正しい男を選んだと信用するものだ。そして、イッペイと話してみたら、『ああ、なるほど』と思わされた。なぜ彼らがあれだけ親密で、ショウヘイほどの選手が、イッペイを信頼しているのか分かったよ。食い違いがあると考える理由すら一度もなかった」

 球界の酸いも甘いも熟知しているつもりだった。そんなマッドン氏を驚かせた今回の一件に対する余波は、まだ続きそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「切れない仲だった」大谷翔平と水原一平氏の“関係崩壊”に元エ軍監督マッドンも嘆き「賭け事をするなんて信じられない」