オープン戦の勝敗は関係ないとはいえ、阪神は開幕前に少し負けすぎた。岡田監督は泰然自若という感じやけど、内心あせっているかもしれん。投手、野手ともにピリッとしない選手が少なくなかったから。でも、僕の予想では、優勝候補の一番手に変わりない。指折り数えても、開幕の先発ローテ投手に疑問符が付くチームがいる中で、先発、リリーフとも1軍戦力を数多く抱えている。143試合の長丁場の戦いでは、やはり有利となる。他球団のマークも厳しくなるので、昨年みたいに独走は無理でも、最後は投手力の差で逃げ切れると見ている。

 というわけで、セ・リーグの今年の順位予想は、①阪神②巨人③広島④ヤクルト⑤DeNA⑥中日の並びとしたい。2位以下は、はっきり言ってどのチームも決め手に欠ける。どこが2位になってもおかしくない。

 その中で、阪神を逆転する可能性を最も秘めているのが巨人。2年連続Bクラスに終わり、チーム全体が相当な危機感を持っているはず。阪神とのオープン戦では2戦2勝やった。調整より、勝利を優先しているように見えた。昨季の対戦成績は6勝18敗1分。阪神の連覇を阻止するには直接対決で叩かないといけない。捕手出身らしく、阿部監督が足を絡めた相手の嫌がる野球をすれば、阪神の投手陣を攻略する活路が見つかると思う。

 ただ、巨人の場合はフタを開けてみないとわからないというか、計算できない面が多い。いい方向に出ればいいけど、さっぱりなら阪神を脅かすどころではない。例えば、メジャー通算178本塁打の新外国人のオドーア。右翼のレギュラーとして期待されているけど、ほんまに予測できない。だけど、オープン戦では目立たなかったが、本番ではいきなり変わってもおかしくない。30発ぐらい打てるなら、打線の破壊力は全然変わってくる。ショートのレギュラーが確約されている門脇もまだ1年やっただけ。2年目のジンクスに苦しむ可能性もあるし、想像の上を行く成長を見せるかもしれない。1番打者としてシーズンを通して機能すれば、得点力は格段に上がることになる。

 パ・リーグは、オリックスの4連覇の可能性が高いと見ている。理由は阪神と同じで、他のチームより投手力が優れている。エースの山本由伸と昨季11勝の山﨑福也が抜けても、宮城、山下舜平大らを擁する先発陣は強力。打線では広島からFAで西川が加わった。今年も阪神と日本シリーズ対決となるかもしれん。

 順位予想は、①オリックスソフトバンク日本ハムロッテ⑤楽天⑥西武。本命オリックスの対抗馬はソフトバンク先発投手は駒不足やけど、それをカバーする打線の力がある。西武から加わった山川はホームランの出やすいペイペイドームが本拠地となり、50本ぐらい打ってもおかしくない。台風の目となる可能性があるのが日本ハム。新庄監督の3年目は戦力も整ってきて、勢いに乗れば怖い存在となる。

 順位予想はキャンプオープン戦でチェックした結果のもの。とはいえ、野球の面白いところ、怖いところは何が起こるかわからないこと。主力選手がケガで抜ければ、まったく違うチームになることがある。いつも言うように、アウト1回ケガ一生。ケガなく、いいプレーでファンを楽しませてほしい。

福本豊(ふくもと・ゆたか):1968年に阪急に入団し、通算2543安打、1065盗塁。引退後はオリックスと阪神で打撃コチ、2軍監督などを歴任。2002年、野球殿堂入り。現在はサンテレビABCラジオスポーツ報知で解説。

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