反響の大きかった記事を厳選して届けてきた大反響トップ10。今回は2023年の大反響270本を再集計、その上位に輝いたトップ10を発表してきたが再び大反響。そこで惜しくもトップ10入りを逃した記事も順不同で続けて紹介!(集計期間は2023年1月~11月まで。元記事の初公開2021年4月21日 記事は取材時の状況)
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 突然の失職や休職を余儀なくされるリスクが顕在化。いきなり無一文になってしまったら、一体どうやって生き延びればいいのか――。極限まで支出を減らし、車中泊生活する30代男性を取材。お金がなくても生き抜くすべを聞いた。

◆月の生活費3万5000円。バイト先を拠点に定住しカーライフを満喫

「車=移動する家」ととらえ、全国を旅する欧米発のライフスタイル「バンライフ」。リモートワークで悠々自適、キラキラとした面が目立つ一方で、ひっそりと俗世間を離れ生活する者もいる。それが「ただの車上生活者」さん(32歳)だ。

「新卒で入った会社を4年半ほどで辞めて、そこからアルバイトで生計を立てつつ実家暮らし。軽自動車車中泊生活を始めたのは昨年、31歳になってからです。今稼ぎになっているのは週4回の銭湯のアルバイトだけ。まだYouTubeは登録者が1000人未満(※)なので収益化できなくて」(※取材時。現時点では1500人を超えている)

 平均月収7万円、支出5万円。しかも支出のうち1万5000円が奨学金返済。つまり、家賃がないから成立しているのだ。

◆バイト先や道の駅車中泊

「人並みにPCやスマホを利用しますが、電気はソーラーパネルだけで十分に賄えますし、シャワーや洗濯はバイト先でやってしまうことが多いですね。

 僕の場合、カーライフといっても遠出するわけではありません。バイト先や道の駅で宿泊しながら移動するので、ガソリン代や駐車場代もさほどかからないんです。食費が支出の大半を占めています」

 Amazonで手に入れたというソーラーパネルは、車中泊生活の必須アイテム。道の駅では盗難被害もあり、普段は車内にしまうという。

◆ストレスフリーな毎日

 一日の流れとしては、朝9時30分から15時ごろまでバイト。その後はゆっくりしたり散歩したりYouTubeを撮影したりと、会社員では味わえないストレスフリーな毎日を送っている。

「外で寝泊まりしているので、近くで若者が喧嘩しだしたり、危険な日もあります。それに夏は暑すぎるし、冬は寒すぎる。冬は特にひどくて、夜中の3時ごろに寒さで目を覚ましたことも。

 まあでも、それを補って余るぐらい自由度が高いのが僕はうれしいですね。Amazonもコンビニで受け取ることができるので、ものに困ったこともありません。もちろん向き不向きはあると思いますが」

 車中泊生活を始めて1年。夏の暑さは過酷だが、標高の高いところで寝泊まりをするなど工夫を重ねている。軽自動車の小さな空間には彼のすべてが詰まっていた。カビが繁殖しやすいため、こまめに掃除するようになったという。

 暑さや寒さ、そして長時間の孤独に耐えられるなら、ご隠居カーライフも一考の価値あり?

◆<俺流生存戦略

・むやみに移動せず、拠点を中心に定住カーライフ

【プロフィール】ただの車上生活者さん
車中泊生活中。’89年生まれで年収は100万円ほど。土地を購入し自給自足するのが夢



<取材・文/週刊SPA!編集部>

※厚生労働省のホームページでは生活困窮者自立支援制度を紹介、市区町村の相談窓口を案内している

「ただの車上生活者」さん(32歳)