これでも大阪・関西万博を、どうしても強行するというのか。万博協賛企業、パートナー企業の不祥事に終わりが見えないからだ。

 最初にケチがついたのは、大阪万博の目玉「空飛ぶ自動車」を出展するトヨタ自動車の100%子会社ダイハツ工業。昨年12月に新車の安全性能を確認する認証試験など25の試験項目で174個の不正行為が判明し、国土交通省から出荷停止の行政処分が出された。

 「よしもと waraii myraii館」を出展する吉本興業も、大阪・関西万博アンバサダーを担ったダウンタウン・松本人志が、女性に性行為を強要したと告発された。松本は名誉を毀損されたとして、発行元の文芸春秋と「週刊文春」編集長に5億5000万円の慰謝料などを求める訴訟を起こし、3月28日に第1回口頭弁論が東京地裁で行われたばかり。大阪府吉村洋文知事は松本を降板させず、アンバサダー活動は当面休止になると表明したが、万博開催までに裁判が終わる見通しは立っていない。

 万博パートナー企業、協賛企業のメッキは次々と剥がれていく。

 人材サービス大手のパソナは昨年、大阪と兵庫の3市から請け負っていた新型コロナウイルスワクチン接種予約の電話受け付け業務で、計約10.8億円を過大請求していたことが発覚。さらに12月に新型コロナ関連補助金の対象事業者の個人情報が、不正に持ち出された疑惑まで発覚した。

 阪急阪神ホールディングス3月28日、グループ傘下の宝塚歌劇団の劇団員女性(当時25歳)が2023年9月に死亡した問題で、当初の全面否定を翻し、宙組の上級生らによる14件のイジメパワーハラスメント行為を認めた。

 同ホールディングスの角和夫会長のほか、劇団員を転落死するまで追い詰めた上級生ら6人は、遺族に謝罪する意向を示した。それでも宙組劇団員とファンの一部は、この問題を最初に報じた「週刊文春の廃刊運動」署名活動を続けているという「生き恥っぷり」を晒している。

 大阪市ヘルスケアパビリオン総合プロデュ―サーが在籍する大阪大学医学部の附属病院(竹原徹郎病院長)でも、昨年11月に30代女性患者と50代男性の検体を取り違え、健康な50代男性患者の胃の一部を切除していた医療ミスが3月27日に発覚。30代女性患者の方も検体採取が不十分だった結果、十二指腸を切断することになった。

 同ヘルスケアパビリオンのプレミアムパートナー企業の小林製薬はご存知の通り、紅麹サプリメントを服用した4人が死亡、100人以上が腎不全で入院する薬害事件の真っ只中。株価は暴落し、3月28日株主総会は紛糾した。創業者一族の小林章浩社長は、総会の最中に号泣したとも報じられている。

 もはや万博協賛企業、パートナー企業から「真っ白な企業」を探す方が難しいほどにズタボロ。しかも複数の海外パビリオンの建設工事が、開幕までに終わらない可能性も浮上している。全国紙経済部デスクが言う。

「住宅メーカーは結婚や転勤、子供の入学を機に新築を考えている顧客に『大阪万博に建設資材と人員を取られているので、工期が大幅に遅れます』と説明しているそうです。能登半島地震の被災地を心配する声のほか『大阪万博のせいでローン返済計画や人生設計が狂う』との恨み節が、全国の住宅展示場で聞かれるとか。あまりに杜撰な突貫工事で、悪名高いリングの屋根崩壊といった大惨事が起きなければいいのですが」

 大阪・関西万博不祥事は続くよ、どこまでも。

(那須優子/医療ジャーナリスト)

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