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ある日突然、七転八倒の激痛に見舞われる尿路結石ーー。想像するだけで冷や汗が出そうだが、X上でその尿路結石の”要因”に注目が集まっている。

Xで話題になっているのは、ほうれん草を”下茹でせずに味噌汁として煮込んで食べる”という行為。ほうれん草を下茹でして絞らないと、ほうれん草に多く含まれるシュウ酸によって結石ができるのではないかというものだ。

Xでは連日《ほうれん草》《尿路結石》《シュウ酸》がトレンド入りし、世間の尿路結石への恐怖心が窺える。

ほうれん草は、日本のみならず世界中で食べられている食材だ。栄養価も高く、手に入りやすいため食卓には欠かせない。そこで、ほうれん草をどのような方法で食べるのがいいのか、管理栄養士の森下久美子さんに話を聞いた。

「まずお伝えしたいのが、”ほうれん草を食べる=尿路結石になる”というわけではありません。

確かに、ほうれん草には他の野菜よりも多くのシュウ酸が含まれています。シュウ酸はカルシウムと結合しやすく、シュウ酸を過剰に摂取することは尿路結石の一因になります。

しかし尿路結石を起こす要因には、それ以外にも水分不足や動物性タンパク質や脂質のとりすぎ、シュウ酸を分解する細菌が少ない腸内環境などさまざまなものがあります。遺伝的な要因や、食生活を含む生活習慣などさまざまな要因が重なることも考えられるので、一概にほうれん草をどれくらい食べるといけないかということはいえません。

むしろ、ほうれん草はにいい栄養がたくさん含まれているので、食べ控えることの方がリスクがあると思います。どんな食材でもそうですが、偏りなくバランスよく食べることが重要です」

健康な人が、ほうれん草を下茹でせずに煮込んだほうれん草味噌汁をたまに飲んだとしても、それが結石に直接結びつくわけではないようだ。

そもそもシュウ酸はほうれん草以外にも、たけのこ、キャベツ、ブロッコリーカリフラワーなどの野菜や、コーヒーや玉露、ナッツ類などさまざまな食品に含まれる。偏った食生活をしないこと、水分をたくさんとることなどが結石の予防には重要だ。

また、食べ方の工夫によってシュウ酸の摂取量を減らすことができるという。

シュウ酸は水に溶けやすいので、下茹でして水に晒すことで減らすことで減らすことができます。また、シュウ酸はカルシウムと一緒に摂取すると、体内への吸収が減って結石のリスクを下げるので、例えば、ホワイトシチュークリーム煮にしたり、豆腐やちりめんじゃこなどカルシウムを含む食品と一緒に食べるというのもいいと思います」

森下さんは最後に次のように強調する。

「基本的には色々な条件が重なって結石になるので、健康な人が適切に食べていればそこまで気にするほどではありません。ほうれん草の食べ控えはもったいないので、ぜひバランスよく食べてほしいなと思います」