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GRAPEVINE3月28日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて東名阪ツアー「Almost There Tour extra show」の最終公演を行なった。

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ツアー本編とは趣を異にする“extra show”

「Almost There Tour extra show」はそのタイトル通り、2023年9月にリリースされたアルバム「Almost There」レコ発ツアーの追加公演。GRAPEVINEは金戸覚(B)、高野勲(Key)とともに、最新アルバムの収録曲を軸にしつつ、ツアー本編とは異なる曲順でセットリストを組み、新鮮な形で新旧の楽曲を届けた。

沸々と静かな熱気がフロアから立ち上る中、田中和将(Vo, G)が「こんばんはー!」と笑みを浮かべながら登場。「よし」とひとつ頷くと、ドープな音像を描き出す「雀の子」でライブの幕開けを告げた。そのまま5人は、熟れたアンサンブルで酩酊感を誘うミディアムチューン「Neo Burlesque」や、小気味いいギターリフと亀井亨(Dr)の刻むタイトビートが印象的な「Ub (You bet on it)」を披露し、オーディエンスを心地よいグルーヴで包み込む。

ほどよく会場の空気が解けたところで、田中が親指と人さし指で凶眼のサインを作ったことを合図にメジャーコード全開のロックチューン「EVIL EYE」へ。ここからグッとアクセルを踏み込んだメンバーは、骨太なバンドサウンドを全開にする「マダカレークッテナイデショー」や、涼やかなギターと透明感のあるボーカルの妙が耳をくすぐる「それは永遠」といった“陽のGRAPEVINE”を感じさせる楽曲を連投した。

5人が見せた手練れロックバンドとしての真髄

しかし、亀井のドラムロールを導入に始まった「ねずみ浄土」で、空気は着実に張り詰めていく。今やすっかりライブの定番曲として親しまれているこの曲だが、田中のファルセットボイスを軸にした歌声の連なり、5人が奏でる鋭利なアンサンブルが醸す緊迫感は発表から約3年が経過した今も変わらない。手練れのロックバンドとしての真髄を見せつけたあとは、「Almost There」の収録曲や最新曲「Loss (Angels)」が連なるブロックへ。オーディエンスは、今のGRAPEVINEを煮詰めた楽曲の数々を思い思いの形で楽しんだ。

「寂しいですな、もうすぐ終わりますよ……そんな感じで700億曲やるぜ!」と田中が叫んだことを口火に、「Goodbye, Annie」でライブは後半戦に突入。このブロックではGRAPEVINEシティポップ「実はもう熟れ」がパステルカラーのライティングとともにパフォーマンスされたり、「Glare」「Scare」の2曲がタイトルで韻を踏むかのように連続でプレイされたり、バインの遊び心がさまざまな形でさく裂する。フロアのご機嫌なムードを極限まで高めたロックチューン「Ready to get started?」でライブはひと区切り。と思いきや、観客の耳に滑り込んできたのは、重層的なコーラスと16ビートリズムで始まるディープなソウルチューン「SEX」。最後の1音が鳴り、夢から覚めるようにステージが明るくなったあとも、しばらくの間ほのかな毒気を孕んだ甘い余韻がフロアを支配していた。

アンコールでは金戸のアシストを受けながら田中が、今後のライブ情報を粛々と告知。中には真夏の野外ライブ「The Decade Show」という新規公演も含まれ、観客が色めき立つ場面も。そんな高揚した会場の空気をさらに高めるように、5人は「阿」を皮切りに「God only knows」「Shame」をパフォーマンス。最後に祝祭感あふれる「Arma」をスケール感たっぷりに響かせた。

セットリスト

GRAPEVINE「Almost There Tour extra show」2024年3月28日 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. 雀の子
02. Neo Burlesque
03. Ub (You bet on it)
04. EVIL EYE
05. マダカレークッテナイデショー
06. それは永遠
07. TOKAKU
08. ねずみ浄土
09. 停電の夜
10. アマテラス
11. Ophelia
12. The Long Bright Dark
13. Loss (Angels)
14. Goodbye, Annie
15. 実はもう熟れ
16. Glare
17. Scare
18. 超える
19. Ready to get started?
20. SEX
アンコール
21. 阿
22. God only knows
23. Shame
24. Arma

「Almost There Tour extra show」Zepp DiverCity(TOKYO)公演の様子。(Photo by Fujii Taku)