2023年10月にアルコ&ピースのボケ担当・平子祐希の個人YouTubeチャンネル『平子お買い物クラブ』が大幅にリニューアルした。それに伴い名前も変更。新チャンネル名は『平子っちといっしょ』だ。

参考:【写真】「お笑い芸人になりたいです」という高校生男子の相談に答える平子

 旧『平子お買い物クラブ』は、平子が憧れのひとつだった大型バイクを購入するまでの過程を追ったある種の「ドキュメンタリーチャンネル」だった。しかし、2022年7月に投稿された動画『【謝罪】平子から視聴者にご報告』内にて「バイクが買えなくなりました。家を買うことになりまして」と、家族のための大決断により、事実上のチャンネル終了が告げられた。

 それから3か月後に投稿された動画「アルピー平子から今後のチャンネルについて大切なお知らせ」にて、番組リニューアルが発表された。どんなチャンネルにするか、という問いに対し「わかんないです……気が乗らなかったら閉鎖します……。」と気怠げな雰囲気を纏わせつつも、ダイレクトメッセージに届いた悩み相談に答えるスタイルでのチャンネル継続を宣言。自分の悩みを平子に直接ぶつけることができる、アルコ&ピースのファンにとってはこれ以上ないありがたいチャンネルが始まった。

 リニューアル後、記念すべき1本目の動画は「自分には彼女がいるのに昔好きだった学生時代の巨乳美女マネージャーが忘れられないんです」と悩む、社会人2年目23歳の男性からの相談だ。

 相手を部活のキャプテンとしてこき使うこともあり「自分の女」のように思っていた、という危うい思考回路をした相談者に対し、平子は「無理でしょ」「学生時代モテちゃったからそういう目線ではモテるのかもしれないけどここから先、大人の女性はそこを見向きもしなくなると思うけどね」と一刀両断。

 しかし、相談者はこの先どう変わっていけばいいか? という問いには、「ちゃんと人間は言葉を用いて、色んな本能めいた部分も綺麗な言葉に置き換えて、人間同士コミュニケーションを取ったときに相手が嫌な思いしないよう、色んな創意工夫を凝らしてきたわけじゃん。先人たちが作ってきた恋愛の言葉、綺麗な言葉、美しい言葉、相手を思いやる言葉ってたくさんあるなかで、それを用いるべきなんだけど(相談者は)本能的な言葉で言っちゃってるから。大人になるって、そういう部分でもあるからね」

 「相手に対しての思いやりのアプローチを変えていくっていう部分でもあるから、まずそれができるようになること。だって、せっかく運動できるキャプテンでチームを取りまとめる能力のある男の子なんだから、そこにその要素を足したら、もう最強スペック男子じゃん」と、本質的な欠点は直すべきだと説きつつも、相談者の魅力的な部分はしっかりと持ち上げ、決して相手を傷つけることはしない。この清濁を併せ呑む姿こそ平子祐希の魅力だろう。

 「彼氏とまったく違う、遊び好きな男性が気になっています。そんな彼から告白までされてしまった」という相談に対しては「火遊び的な感性を持つ男の子に惹かれるのは若い女子あるある」だとしつつ、

 「夜の雰囲気、トゲトゲしい要素、刺激的な日常っていうものに憧れるんだけども、そのなかで失敗して失敗したらそうじゃないんだな、もっと丸みを帯びた本当に朗らかな優しさ、日だまりの縁側のような恋愛ってこんなに心地いいんだなって必ずそこに行き着くまでに1回刺激を求めるんだよな……」と、深い理解を示す。

 さらに、「誰しもがダウンタウンに憧れて芸人になるが、自分は松本人志じゃないということに早く気づいた奴から売れてる。(中略)だから、早いうちにそれを知って止められるきっかけでもあるから、ああこれって違うんだなって早めに知っといたほうが幸せには近づきます」と、この状況を自分の仕事に例えながら恐ろしいまでに的確な答えを導き出していた。

 2020年に発行された著書『今日も嫁を口説こうか』を読んでいても感じたことだが、「愛」について語る平子の言葉には「妻を地球上の誰よりも愛している」という事実からくる圧倒的な説得力がある。

 また、「お笑い芸人になりたいです、平子さん的にはお笑い芸人の仕事はおすすめできますか?」という夢を持つ高校生男子からの相談には「オススメします! やりましょう一緒に! (お笑い)には色んな考え、テクニックがあってそれを駆使してやってるから遊びじゃないんだという意見を目にすることがあると思いますけど、遊びでいいと思いますけどね。全然そんなのは後からついてくるもんで、遊んでそうだな、楽しそうだな、やりたいなで全然それで始めていいと思うんですよね」と真正面から背中を押す。

 普通こういう職業相談は「やめとけ」と否定から入りがちだが、平子は違う。「お笑い芸人」という仕事の素晴らしさを20分にわたり語っていた。

 凄いのは、アルコ&ピースは決して順風満帆な芸能生活を送ってきた芸人ではないということだ。お笑いの仕事1本では食べていけず、33歳まではアルバイトをして生計を立てていた。『THE MANZAI 2012』で準優勝の結果を出すまでは芸人を辞める決意をしていたという話すら聞く。そんな酸いも甘いも味わった上での「オススメです」の言葉は、とてつもなく大きな意味がある。

 海よりも広い懐で我々の悩みを包みこんでくれるアルコ&ピース平子祐希。彼の言葉はきっと人生という荒波を超えていくうえでの指針になることだろう。

(文=かんそう)

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