『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が劇場公開か動員は243万人、興行収入は41億円を超えるヒットとなっている。ネットでの反響を見ると、幾度と映画館に足を運ぶファンが大勢いるのが伝わってくる。約20年ぶりに届けられた「SEEDシリーズ」の最新作。キラ・ヤマトとラクス・クラインの絆の物語といって過言でない熱いエピソードだったが、この映画を一番喜んでいるのはもしかしたらアスラン・ザラのファンではないだろうか。満を持して登場したアスランはそれだけ格好良く、観客の目をさらっていくものだった。公開から1か月に差し掛かるということで、ファンの反応を紹介しながら劇場を沸かした彼の勇姿を振り返っていきたい。(本記事にはネタバレが含まれます)
■ちょ、アスラン、お前なんてモノに乗ってんの!?
アスランは「迷いがなければ最強」というのはファンからよく言われていることだ。迷いが躊躇いとなり、相手を捩じ伏せるような戦いができない。しかし、キラ・ヤマトのストライクガンダムと激闘を繰り広げイージスガンダムを自爆させることで撃墜し、シン・アスカのデスティニーガンダムを“フルボッコ”にしたときのように、迷いを捨てさえすれば負けはない。
そんなアスラン、今回の劇場版の相手ブラックナイトスコードには無双だった。しかもズゴックで。アスランがサプライズの赤いズゴックで参戦したのはすでにネットで賑わっている通りだが、前情報として劇場版新機体のライジングフリーダムガンダムとイモータルジャスティスガンダムが発表されていたため、てっきりアスランはイモータルでの参戦かと思いきや、それに乗ったのはシンだった。「ジャスティス、お前が乗るのかよ!?」と、よもやよもやの機体シャッフルに驚かなかった人はいないだろう。
追い詰められるキラの窮地に駆け付け、あまつさえ赤い彗星の名シーンまで再現してくれたアスラン。このとき流れていたBGMも、名曲「颯爽たるシャア」のオマージュに聴こえたのは気のせいではなかったはずだ。序盤からクラマイックスの勢いで盛り上げてくれたこのサプライズにはファンの反響も大きく、「ズゴック登場のインパクトで完全に記憶が塗りつぶされている」「朝っぱらからズゴック一色のフォロワーのみんな好きだよ」「オマージュ機体は予想したけど、まさかコレw」など、歓喜の声が鳴りやまない状況に。ホビーショップでは公開直後からライジングフリーダムガンダム、イモータルジャスティスガンダムの横にシャア専用ズゴックのキットが並べられているという、「店長さん、もう観てきたね!」という光景にもなっていた。
ちなみにアスランは後半戦の最終決戦もズゴックで出撃し、「こいつ、宇宙用なのか!?」とも話題に。中身はインフィニットジャスティスガンダム弐式という脱皮システムなので当然と言えば当然なのだが、キャバリアー付きで宇宙を飛ぶズッゴクはさらに衝撃。こちらにも「まさか最終決戦までズゴックで飛ぶとは思わないじゃんw」「あえてインジャで出ないアスランにズゴックへの愛着を感じる」「公式サイト見たらちゃんとZGMFになってた」(※ZGMFは「Zero - Gravity Maneuver Fighter」の略。宇宙空間対応機に付くザフト製MSの型式番号)といったコメントや、「逆にあのズゴックは水中で戦えるのだろうか?」というツッコミも飛び交っていた。
■7回リピーターは友情鉄拳シーンで毎回号泣
続いてのアスランの株爆上げシーンは、ラクスに裏切られたと思い、マインドダウンしてしまった親友キラを友情の鉄拳制裁で立ち直らせた場面だ。キラがいくら歯を食いしばって向かっていっても全く歯が立たない。そもそもアスランはザフトの士官学校で格闘術の訓練を受けているし、ナイフ格闘の名手でもある。
物語冒頭、ブラックナイトスコード隊長のシュラ・サーペンタインが言った、「やはり最強はアスラン・ザラか」の言葉を反芻させられるような強さを見せつけ、キラにぶつけた「なぜ頼らない!」という一連の台詞は超胸熱で、SNSでは「リピート(7回目)のたびに愛の鉄拳修正シーンで号泣。やっぱアスキラ最高よ」「折れて立ち直りながらきたアスランだからこその鉄拳。キラは苦しみつつ勝利してきたからある意味成長できていなかったのかもね」「無意識とはいえ、自分しかアテにならないと思い上がったキラを鉄拳制裁で立て直すアスラン、修正の仕方はアレだけど、ちゃんと見てくれている友達がいてよかったな、キラ」など、2人の関係に想いを馳せるコメントが殺到。
また、「殴るどころか回し蹴りまで出してるアスラン」「アスラン『鉄拳』シリーズに出れそうなくらい白兵戦最強説」「キレッキレの動きと流麗極まる連撃を劇場で確かめて下され」というように、アスランの華麗なアクションも見どころのシーンになっている。
■アスカガファン喝采の読心能力対策
そんな熱い男アスランだが、最終決戦では前段で触れたようにズゴックで宇宙戦に出撃。ブラックナイトスコードの攻撃からキラをかばい爆散したかと思った次の瞬間、インフィニットジャスティスガンダム弐式が中から現れるという驚きの展開を見せる。シュラと一騎打ちになったが、このとき、シュラの読心能力にカガリ・ユラ・アスハの裸妄想で対抗したため、ファンから勢いよくツッコミが入ることに。「妄想戦士が戦場最強」「カガリはあの男で良いのかという気持ちはもちつつ、これからもアスカガとディアミリ(ディアッカとミリアリア)は応援します」などのほか、シュラの台詞をもじった「やはり最強はエロ妄想で武装したアスラン・ザラか」「やはり最強は迷いを捨てた破廉恥なアスラン・ザラか」といった絶好の大喜利ネタにもされている状態だ。
ここはアスラン妄想のインパクトの大きさからネタ的に騒がれているシーンだが、アコードへの読心能力対策のもう1つとして、機体コントロールをカガリに任せるというアスランの策士ぶりも光ったところだ。あの最終決戦の重要な局面で文字通りカガリに命を預け、そこに一切の迷いや不安がなかったことからもアスランとカガリはやはり特別な信頼関係があることが伝わるシーンでもあった。
ちなみにファンの間で何かと取り上げられるアスランの本命はカガリなのか、メイリンなのかの議論だが、今回の物語で明確に答えが描かれることはなかった。とは言え、とっさに妄想したのがカガリの裸であったことから、やはり指輪を渡した彼女の方に心はあるのではないかと察せられる。おそらくアスランの性格からして、メイリンには自分の問題に巻き込んでしまった責任感の方が強いのではないだろうか。
物語序盤、登場の気配が全くなかったためヤキモキした方もいたとは思うが、終わってみればキラと並ぶ活躍を見せてくれたアスラン。ファンにとっては約20年越しの特大プレゼントとなり、やはり劇場のスクリーンで観るのは感動の大きさが桁違いと言えるものだ。今後のレポートではキラ、シンなどの視点でもファンの反応を伝えていきたい。
文:鈴木康道
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