『EIGHT BALL FESTIVAL 2024』Hakubi

3月13日(水)にミニアルバム『throw』をリリースし、現在ワンマンツアー真っ最中のHakubi。この日のライブ前には、SNSに「ツアー中ライブハウスどさ回りかなーり仕上がっているHakubiを目撃してください」と記されていた。その言葉通り、サウンドチェックでも「楽しんでください」と、ご機嫌な音を鳴らし観客の心を引き込んでいく。

Hakubi

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たくさんの拍手に迎えられるなか、片桐(Vo.Gt)は気合一発、足を蹴り上げ「元気残ってますか! 京都、Hakubiです。最高の時間を!」と1曲目に選んだのは、しなやかに強さを増して立ち上がっていく「ハジマリ」。「最高の1日を作ろうぜ!」、シンプルでエネルギッシュなマツイユウキ(Dr)のビートが気持ちを後押ししていく。

Hakubi

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キーボードの音色が凛とした印象を与える「Eye」。矢継ぎ早な片桐の歌唱からはリリックに込めた感情を早く届けたいという気持ちがひしと伝わってくる。「良い景色です!」、そう叫ぶ彼女の表情もとても晴れやかだ。「Decadance」、じわりと浸透していく世界の中を気持ちよく泳ぐようにベースラインを鳴らすヤスカワアル(Ba)。片桐のボーイッシュだけどしなやかさを併せ持つ歌声も、バンドの世界観をよりくっきりと印象付けている。

Hakubi

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Hakubiの出演は昨年の『EIGHT BALL FESTIVAL』終了直後に決まっていたという。片桐は「期待してもらってました。その期待に応えたい。あなたの期待に応えたい、そう思います」と叫ぶ。その想いと「辿る」の詞世界がリンクしていて、より真摯に観客の心に染み渡っていく。

Hakubi

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「大人になりきらないのに時間だけが過ぎ、自分だけが取り残されているようで怖い。時間は戻ってこないし、どんどん進んでいる。この一瞬を大切にしなきゃと、大切な人を失って気づいた。今は目の前のあなたに。後悔がないように歌いたい」と「拝啓」へと繋ぐ。悲しく、切なく、心が軋みそうな詞世界。思わず目を背けたくなるけれど、最終曲「mirror」で心の曇りは拭われ、全6曲で紡がれた、かけがえのない時間はあっという間に幕を閉じた。もっと濃く、長く、Hakubiの世界観に浸りたいこの願いは、またどこかのライブハウスで実現させたい。

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取材・文=黒田奈保子 撮影=藤井拓

Hakubi 撮影=藤井拓