香港メディアの鳳凰網は31日付で、台湾の馬英九前総統が4月1日から11日まで大陸を訪問すると報じた。日程はかなり詳細に発表されたが、だれと会うかは明らかでない。

馬前総統は、自らの私塾の意味合いがある大九学堂に参加する若者20人を率いて大陸に行く。馬英九基金会の蕭旭岑執行長はメディアの取材に応えて、訪問団は4月1日に中国南方航空の旅客機を利用して、同日午後に深セン宝安国際空港に到着すると説明した。広東省には3日間滞在して、中山大学の教員や学生と交流し、辛亥革命の前触れとなった黄花崗起義の犠牲者を祭る黄花崗72烈士陵園を訪問し、さらに孫文の生家記念館や黄埔軍学校跡地記念館を見学する。

また、広東省滞在中にはドローン製造企業のDJI、IT企業のテンセント電気自動車を製造するBYDなどの企業や港珠澳大橋を見学する。

4月3日夜には陝西省に到着し、4日午前には「清明公祭軒轅黃帝典礼」に参列する。軒轅黃帝は中華民族の始祖として仰がれる存在で、同典礼は先祖を祭る習慣がある清明節に行われる儀式だ。馬前総統一行の陝西省滞在は4日間で、秦始皇帝陵博物院、法門寺、大慈恩寺(大雁塔)、陝西歴史博物館、さらに古い文献を補完する西安国家版本館を見学する。また、産業関連では楊凌スマート農業モデル園、太陽光パネルの製造で世界最大手のロンジソーラーを訪問する。

馬前総統らは陝西省で馬援祠および馬援墓も訪問する。馬援(紀元前14-西暦49年)は漢代の著名な将軍で、その子孫にも三国時代の馬騰・馬超父子など著名な武人がいる。族譜(家系記録)によると馬前総統も馬援の子孫であり、その祠や墓を訪ねることはルーツを確認する意味があるという。

一行は4月7日午後に北京に到着する。北京では北京大学を訪問して交流するほか、八達嶺長城、故宮博物院、中国宇宙技術研究院および盧溝橋、中国人民抗日戦争記念館、さらに五輪関連施設を見学する。ほか、11日午前に北京首都国際空港で中国国際航空機に搭乗して台湾に戻る。

馬英九基金会の蕭執行長は、「今回の訪問で最も重要なのは、昨年に始まった(台湾海峡)両岸の若い学生の交流を継続し、両岸の民間の敵意を和らげ、将来的に衝突に向かわないようにすることだ」と述べた。台湾のジャーナリストの趙少康氏は、「台湾と大陸の関係は非常に密接だが、現在は台湾当局と大陸の交流はほとんどない。双方に意思疎通も対面なく、踏み込んだ意見交換もない。これは異常な現象だ。したがって馬総統の大陸訪問はよいことだ」と述べた。

国民党所属の王育敏立法委員(代議士)は取材に対して、「民進党はこれ以上、両岸の平和の破壊者になってはならない。馬英九氏の大陸訪問を肯定あるいは支持すべきだ。緊張状態を効果的に緩和することができるからだ」「民進党が考え方を変えることができず、(馬前総統の大陸訪問の)足を引っ張り、『赤い帽子』をかぶせたり(中国共産党の仲間)と批判したり、指図をしたりして馬前総統の大陸訪問の困難が増すかもしれないが、たいしたことではない」と述べた。

馬前総統は在任中の2015年11月に、シンガポールで中国の習近平国家主席と会談した。中国国民党が台湾に逃れて以来、国民党の指導者と共産党の指導者が面会するのは初めてだった。馬前総統は23年3月にも大陸を訪問した。台湾側の総統経験者が中国大陸を訪問するのは初めてだった。国民党が大陸に逃れて以来、台湾側の現役総統が台湾を訪れたことはない。今回の大陸訪問で馬前総統と会う大陸側の人物については明らかにされていない。蕭執行長は質問に対して「ホスト次第だ」と答えた。(翻訳・編集/如月隼人)

台湾の馬英九前総統(写真)が4月1日から11日まで大陸を訪問する。日程はかなり詳細に発表されが、だれと会うかは明らかでない。