米Amazonは3月27日、AI(人工知能)スタートアップのAnthropicへと27.5億ドル(約4100億円)の出資を実施したと発表した。

参考:イーロン・マスクが設立したxAI、自社モデル「Grok」をオープンソース化 OpenAIへの牽制が目的か

 サンフランシスコを拠点とするAnthropicは、元OpenAIの研究幹部と従業員によって設立された企業だ。最新の評価額は184億ドル(約2兆8000億円)で、Amazonは2023年9月にも、Anthropicへと12億5000万ドル(約1900億円)の初期投資を行っている。

 AmazonはAnthropicへの出資の目的として、AIサービスをAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)経由で利用できるクラウドサービス「Amazon Bedrock」と、その大規模言語モデル「Claude」を強化するためとしている。また、AnthropicもAmazonの「AWS」を主要なクラウドプロバイダーとして使用する。

 Amazonによれば、今月発表された最新の生成(ジェネレーティブ)AIモデル「Claude 3 Opus」は、推論、数学、コーディングの分野で、OpenAIの「GPT-4」やGoogleの「Gemini」を上回るスコアを記録したという。

 生成AIの分野では、MicrosoftがOpenAIへと130億ドル(約2兆円)を投資し、クラウドサービス「Azure」やAIチャットボット「Copilot」でOpenAIの「ChatGPT」が活用されている。一方でGoogleは、Amazon同様にAnthropicへ最大20億ドル(約3000億円)を出資するとしている。

 これまでAI開発に関して大々的な発表をしてこなかったAppleだが、同社もAI関連の研究自体は進めており、先日も研究結果が発表されている。海外メディアでは年内のリリースが期待される「iOS 18」では生成AIモデルとしてGeminiやChatGPTを採用するのではないか、という予想もされている。

 昨今の状況を振り返ってみれば、気が付けばGAFAM5社を中心にAI開発競争、実装と“潜在ユーザーの奪い合い”が始まっている。今年は生成AIの分野で、さらに活発な開発や投資、そして自社製品への実装が進みそうだ。

Source
https://www.aboutamazon.com/news/company-news/amazon-anthropic-ai-investment
https://www.cnbc.com/2024/03/27/amazon-spends-2point7b-on-startup-anthropic-in-largest-venture-investment.html
https://www.theverge.com/2024/3/4/24090087/anthropic-claude-3-opus-ai-chatbot-multimodal
https://www.macrumors.com/2024/03/26/ios-18-reportedly-wont-have-apple-chatbot/

(文=塚本直樹)

プレスリリースより