妻の浮気相手がわからず困っている──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

妻は浮気の事実を認めており、すでに証拠もあるようです。相談者としては浮気相手に謝罪と慰謝料請求をしたいそうです。

「妻を訴えてでも相手を特定したい」と怒りが収まらない相談者ですが、どのような手段が考えられるのでしょうか。木下貴子弁護士に聞きました。

●電話番号や自動車ナンバーから「弁護士を通じて照会が可能」

──妻を提訴すれば浮気相手が判明するのでしょうか。

妻だけを不貞で訴えたとしても、それだけで浮気相手が裁判手続きで判明することはありません。

私が関わった案件では、裁判後も交際していたため、そのやりとりから相手が判明したというものはありました。

──浮気相手を特定するための方法としてはどのような手段がありますか。

相手の電話番号や自動車のナンバーが分かれば、弁護士に依頼し、弁護士会照会制度を使って特定することが考えられます。

探偵の調査やカーナビやGPSの記録から相手の住所や氏名を特定するケースもあります。すでに不貞関係が終了している場合は難しいと思いますが、ご自身や友人、親族が直接尾行をして、特定することもあります。

また、不貞した配偶者(今回のケースでは妻)が離婚したくないと思っている場合には、反省して関係を修復する前提として浮気相手を白状するように伝えて教えてもらうケースも割と多いです。

●メールやメッセージなどの証拠保全は大切

──身近な調査方法としてはどのような手段が考えられますか。

妻のメールやLINEなどでのメッセージのやりとり、電話の通話などの内容から相手が特定できることがあります。

スマホ内の写真や領収証、交通ICカードの記録、ETCカードの記録、クレジットカードの利用記録、日記や手帳なども、相手の特定につながることがあります。

フェイスブックやインスタグラムなどSNSでの投稿もヒントになることがあります。どんな人と会っているのか、どこに行っているのかなどの情報が分かり、そのつながりや行動履歴をチェックすることで浮気相手が特定できる場合もあります。

最近はマッチングアプリを利用して浮気していることもあるので、アプリでのメッセージのやりとりを確認する、という方法もあるでしょう。

ただし、メールやメッセージなどのやりとりを確認しようと、無断でパスワードを入力してアクセスすることは、民事・刑事両面で責任を問われる可能性があるので注意が必要です。

慰謝料を請求するための「浮気」には、原則として性交渉(肉体関係)があったことが必要になります。妻が性交渉を認めていれば、一つの証拠になりますが、妻が認めていても、浮気相手が否定するケースもあるので、客観的にも性交渉があったことが分かるようなメッセージなどの証拠も保全することが大切でしょう。

【取材協力弁護士】
木下 貴子(きのした・たかこ)弁護士
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに2万人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。
事務所名:多治見ききょう法律事務所
事務所URL:https://tajimi-law.com

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