~第1弾として「中古車市場価格指数」を発表~

■「リユース流通価格指数」開発の背景
 日本国内における2021年のリユース市場規模は推計約2兆7千億円※1で、2030年には4兆円規模になると 予測されており、今後も市場は継続して拡大する見込みです。
 また、米国の経済動向を把握するための代表的な指標であるCPI消費者物価指数)では、二次流通の要素で   ある不動産中古物件や中古車も指標の要素として取り入れられており、さらに米国自動車オークション会社マンハイムが発表する中古車価格指数※2も、経済動向を把握する指標として注目を集めています。
 一方で、これまで日本国内で提供されてきた「物価指数」は、直線的にモノが流れるリニアエコノミーを前提に算出されていますが、今後サーキュラエコノミーに経済視点が拡大していく中、オークネットではリユース  市場における豊富な蓄積データを活かし、特にBtoB流通の価格トレンド・需要を‟指数として可視化”することで、業界並びに社会全体の経済動向理解の一助とすべく「リユース流通価格指数」の開発に至りました。

■第1弾として「中古車市場価格指数」を発表
 日本では、中古車市場の値動きを把握するための指標として「平均取引価格」がしばしば引用されていますが、「平均取引価格」のみでは取引される中古車の質の変化を反映できておらず、物価変動を適確に把握することが  できません。
 「リユース流通価格指数」の第1弾として、440万件を超えるオークネットの会員流通データを元に、UTEconの価格指数構築ノウハウを活用し、さまざまな中古車の属性を統計モデルに組み込むことで、日本市場での中古車価格が実際にどのくらい上下しているのかを客観的に把握可能な「中古車市場価格指数」システムを構築いたしました。
URL: https://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/index/automobile202312_01/

 なお、月毎の「中古車市場価格指数」は、オークネットが設立した企業内ラボ「オークネット循環型流通ラボ」(https://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/)にて定期的に更新のうえ公開いたします。

■複雑な中古車市場実態に即した物価動向を可視化する新たな指標「中古車市場価格指数」
 2008年以降、取引される中古車の走行距離と経過年数が長くなるなど、中古車の品質低下が顕著に見られます。2008年7月を1として「中古車市場価格指数」と「平均取引価格」を比較した場合、品質を統計的に揃えた「中古車市場価格指数」は2013年~2020年頃までは1.1~1.4前後で推移してきたものの2020年を境に高騰し、2022年9月には2.2に達している一方で、「平均取引価格」は最大でも1.4倍程度の上昇幅に留まり、取引される中古車の品質を統計的に揃えた「中古車市場価格指数」と大きな差があることがわかります。
 このように「中古車市場価格指数」の変化を比較することによって、単純に「平均取引価格」を見るだけでは   見えてこない、適確な「物価の変動」を把握することが可能となります。

オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

図:「中古車市場価格指数」と「平均取引価格」の比較


オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

図:平均走行距離の推移 

オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

図:平均経過年数の推移

■ボディタイプ別「中古車市場価格指数」も提示
「中古車市場価格指数」では下記を公開いたします。
➀全ボディタイプを総合した「中古車市場価格指数」
②ボディタイプ別「中古車市場価格指数」
ボディタイプ別「中古車市場価格指数」は、車種タイプ毎の変化が比較可能であり、トラックやバンなどの商用車やハイクラスのカテゴリーなど個々のボディタイプの「中古車市場価格指数」を分析することで、中古車市場の実態経済動向を把握するための興味深いデータとして期待できます。
なお、②については、ボディタイプ別「中古車市場価格指数」の前年同月との増減比詳細も公開いたします。


オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

図:全ボディタイプを総合した「中古車市場価格指数」

オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

図:ボディタイプ別「中古車市場価格指数」


オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

図:ボディタイプ別「中古車市場価格指数」前年同月比

■共同開発者UTEconコメント
 昨今、さまざまな商品の値上げが相次ぎ、物価の上昇をどのように察知し対策するかということが、多くの人にとって身近な問題になっています。今回取り扱った中古車市場においても、価格が大きく動いていることは長らく取り沙汰されてきましたが、「平均取引価格」が動く際には取引される中古車の品質も変化することが通常であり、「同じ品質」に揃えた形で適切に価格の変化を捉えるために計量経済学的な工夫を加える必要がありました。今回の取り組みでは、オークネットが保有する潤沢なデータを活用することでそのような「工夫」が可能となり、リユース市場における動向をより的確に映し出す、社会的に大変意義深い取り組みになっていると考えております。このような挑戦的な取り組みにご一緒できたことを大変光栄に思います。

オークネット循環型流通ラボ 理事長 有村祐二 コメント
 オークネットは1985年リアルタイム中古車オークションを開始、中古デジタル機器、中古バイク、ブランド品など、多種多様な領域へと拡張し、リユースを中心とした二次流通の専門ノウハウや流通ネットワークづくりを推進してまいりました。このたび、オークネットが所有する多くのデータとUTEconの計量経済学的なノウハウを組み合わせることで、BtoB市場における価格動向を的確に表す仕組みをご提供することが可能となり、今回発表した「中古車市場価格指数」をはじめ、今後もさまざまな商材のB2Bリユース市場の価格トレンドを表す「リユース流通価格指数」をUTEconと共同研究し、社会に貢献していきたいと考えております。

※1:リサイクル通信「リユース業界の市場規模推計2023(2022年版)」
https://www.recycle-tsushin.com/news/detail_8811.php
※2:Manheim, Inc. Used Vehicle Value Index
https://site.manheim.com/en/services/consulting/used-vehicle-value-index.html

【UTEcon会社概要】


オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

2020年8月に東京大学大学院経済学研究科との深い連携のもと、指定国立大学法人の特定研究成果活用事業制度に基づき東京大学により設立。
経済学会計学、マーケティング等に関する専門知識を有する東京大学の教員をはじめとする国内外のエキスパートが信頼性の高い分析を行い、需要予測、価格戦略、  政策評価、機械学習に基づいた倒産や不正会計予測、マーケットデザイン、ナウキャスティング、独占禁止法等の法規制、計量・行動マーケティングなど幅広い分野で  研究成果を活用したコンサルティングを行っている。

オークネット循環型流通ラボ概要】


オークネット UTEconと「リユース流通価格指数」を開発

所 在 地:東京都港区北青山二丁目5番8号 青山OMスクエア(〒107‐8349)
理 事 長:有村 祐二
設  立:2022年6月
活動内容:環境に貢献する“循環型流通”を世の中に根付かせるための、さまざまな
調査、研究、検証を行うオークネット企業内ラボ
U R L:https://www.aucnet.co.jp/aucnet-reseach/

オークネット会社概要】
社名:株式会社オークネット
本社:東京都港区北青山二丁目5番8号 青山OMスクエア (〒107‐8349)
代表者:代表取締役社長CEO 藤崎 慎一郎
創業年月日:1985年6月29日
資本金:1,807百万円 (2023年12月31日現在)
連結売上高:43,303百万円(2023年12月期)
連結従業員数:878名(2023年12月31日現在)
事業内容:循環型マーケットデザインカンパニー。中古車、中古デジタル機器、ブランド品、花き、中古バイク、中古医療機器などのオンラインオークション、および流通に付随するサービスを提供。
株式:東証プライム(証券コード:3964)
URL:https://www.aucnet.co.jp/

■本件に関する報道関係者様からのお問い合わせ
株式会社オークネット 総合企画室 新井、伊藤、新
TEL:03-6440-2530
MAIL:request@ns.aucnet.co.jp

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