千葉県松戸市出身の17歳。高校2年生ながら、付いた名前は“伝説の系譜”ーー那須川龍心の躍進が、止まらない。

参考:【写真】最終日、ゆうかに本音を伝えるりゅうじん「本当にありがとう」

 5歳から格闘技を始め、2022年4月にプロファイターとしてデビュー。現在の戦績は8勝2敗。キックボクシングに軸足を置きつつ、2023年12月末開催の『RIZIN45』では、MMAルール(打撃のほか、投げ、固め、絞め、寝技も使用できる総合格闘技)初挑戦ながらも、見事に勝利を飾る。その勢いのままに迎えた、つい先日、3月17日の『ABEMA presents RISE ELDORADO 2024』。今年最初の対戦相手には、RISE フライ級(51.5kg)にて自身の4位に対し、3つ上の1位を持つ松本天志が選ばれた。

 「明日は相手のキックボクサーとしての価値を全て奪いに行く。引きずり落とす絶対に勝つ」。那須川は試合前日、自身のSNSに奮起の言葉を綴っていた。とはいえ、前述の順位付けを踏まえた下馬評では、松本の方が優勢との声が多数。那須川自身、そうしたコメントに「ムカついていた」らしいが、闘いの世界は結果がすべてである。3ラウンド終了後、3-0の判定で文句なしの勝利をもぎ取った。勝負の行方は判定にこそもつれこんだものの、主導権を終始握り、間違いない実力差を見せつける形となった。

 試合後にマイクを渡された際には、2023年2月の『RISE166』にて敗戦を喫した塚本望夢に向けて「やり返したい気持ちが強い」と、再戦をアピール。なんとも勢いある言葉と頼もしい姿だが、そんな那須川の背中に客席から熱い視線を送っていたのが、彼のファン、そして恋愛番組『今日、好きになりました。卒業編2024 in セブ島』(ABEMA/以下:今日好き)参加メンバーらである。

りゅうじんの強さは、“動じないこと” きさきを巡る三角関係にも殴り込み

 現役高校生たちが3泊4日の修学旅行に飛び出し、運命の恋を見つける同番組。“一体、なんの繋がりが?”と思われそうだが、那須川龍心もまた『今日好き』メンバー。那須川龍心というよりむしろ、ひらがな書きの“りゅうじん”として、運命の恋を探している最中なのだ。これまでも『今日好き』には、じょう(平本丈)、たかや(鈴木崇矢)といったファイターが殴り込みをかけ、そのたびに新たな面白さを発見させてくれてきたが、今回はその役目をりゅうじんに頼んでみたい。

 りゅうじんについて第一に語るべきは、どんな場面でも動じないこと。少年のような顔つきがそのまま性格に反映されたかのように、のほほんとした雰囲気が伝わってくる彼。ただ、ふとした行動に力強い男らしさを感じさせるほか、時にはマイペースに思えるほど、とにかく周囲に振り回されないのである。モテる男は、いつの時代も動じないもの。たとえば、自身が気になった女子・きさき(寺島季咲)が、前回シーズン『卒業編2024 in プーケット』から引き続き、ほかの男子と複雑な三角関係にあったとしても、気にせずに2ショットに誘い、積極的に話しかけにいったシーンがよき例となるだろうか。

 15年間にわたる努力と、格闘技に対するひたむきさ。それらに基づくたしかな自信があらゆる場面で見受けられる。“もしかすると、なにも考えていないだけ?”などと思えてくるかもしれないが、よい意味で相手に気を遣わないことで、逆に自身に対しても親しみやすさを抱いてもらいやすくなる。りゅうじんは、そういったタイプの男子なのかもしれない。

・最後に選ぶのは、まう、それともゆうか?ーー追う、追われる両方の立場

 とはいえ、やはり成長途中な17歳であることに変わりはない。『卒業編2024 in セブ島』5話終了時点で、りゅうじんの恋は思うようにはいかず。現状は、第一印象から気になっていた年下のまう(小國舞羽)を追いかけると同時に、ダンサーとして活躍する年上のゆうか(赤木優香)から追われる展開に。

 初日夜に楽しんだホームパーティの買い出し時、りゅうじんはスーパーで購入したスナック菓子でぱんぱんの袋に加えて、全員分のケーキが入った箱を持ち、ゆうかには重い荷物を渡さずに「だいじょぶです~」と照れ隠しをしていた。面白くて、男らしい人がタイプだというゆうかには、間違いなく好印象に映ったはずである。が、3日目夜のBBQでは、わざわざ隣に近寄ってきてくれたゆうかと、網の上で焼き掛けの肉を放置し、一人でふらっと席に座りジュースに夢中な場面も。こうした自由奔放さも、周囲に流されない実力者たる証と読み替えるのは、さすがにポジティブが過ぎるか。

 一方、気になるまうと2日目夜に2ショットとなった際には、2023年末の『RIZIN45』での試合を経て、まだ鼻の骨が折れていること、触ると骨が当たる音がするという裏話を明かす。自身の向き合う格闘技に対して「怪我は多いけど、それ以上に楽しい」と総括したが、まうの苦笑いにはわかりやすくこう書いてあった。想像しただけで痛い、と。

 自身にも闘う場所があるゆうかにとっては、こうした顔をしかめてしまうエピソードも、尊敬を育む材料となったと思われる。が、まうの“好きな人遍歴”は、『男子高生ミスターコン2023』グランプリのはなみち(植野花道)に、この旅で出会ったバオ(Bao)。りゅうじんとは対極にいる、いわゆる“王子さま系男子”たちである。ここまで来ると、格闘家の肩書きが恋愛において足を引っ張るとまでは書かないし、もはや相性頼みの話になってしまうが、自身の得意分野でのトークが、相手に刺さるのか、刺さらないのか。“痛み”関連の話は聞く人を選ぶだけに、そのあたりを見極める力も、今後は養っていきたいところである。

 本稿の総括として、揺るがぬ自信と優しい人柄があれば、まだまだ伸び代のある恋愛偏差値だって、力技でどうにかできてしまうのか? このあたりが、りゅうじんの恋を追いかける上での注目ポイントだとまとめておきたい。

りゅうじんの恋の結果は?

 先日の『RISE ELDORADO 2024』でのことに話を戻そう。試合後にリングを降りると、兄である那須川天心から祝福のハグを喰らった後(“誰々の弟”という見方をしてほしくないため、兄・天心のことはあえてここまで記してこなかった)、この日に集まった『今日好き』メンバー全員ともグローブ越しに勝利のグータッチを。

 その後のバックショットについては、『今日好き』公式Instagramで公開されているものをご覧いただければと思うが、残念ながら現地でりゅうじんの勇姿を見守ることができなかったもねる(川尻杜音)から祝福のメッセージが届いたり、“虚無ってる”と書いて“バオってる”と読まれるくらい、いつもは心ここに在らずなバオから「素晴らしかった」と太鼓判を押されたりしている。

 この試合で負けていたら、『今日好き』での恋愛にうつつを抜かしていたのが敗因だと、未来の対戦相手や一部のヘイターたちから後ろ指を刺されていたに決まっている。りゅうじんもそのあたりのリスクを背負う覚悟で『今日好き』に参加していたはず。なにはともあれ、絶対に負けられない一戦を制したのだ。

 最終日、ゆうかが待つ告白の場に姿を現したりゅうじん。しかし、「俺の中でゆうかちゃんのことを100%好きになれなかったっていうのが自分の本当の気持ちで……。」と、辛い胸中を吐露。「今回は告白はできない。本当にありがとう」と、本音を語りながら、感謝の気持ちをきちんと伝えた。今回の旅では成立できなかったが、精神的に大きな成長をみせてくれた。今後も恋愛と格闘技の両軸で、納得と満足の両方に足る結果を残してほしい。

(文=一条皓太)

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