ジェームズ・クラベルの傑作小説をドラマ化したオリジナルシリーズ「SHOGUN 将軍」が、ディズニープラスの「スター」で独占配信中。物語の舞台は戦国時代、「関ヶ原の戦い」前夜の日本。絶大な権力を誇る地位“将軍”の座をめぐって、武将や戦国の世を生き抜く女性たち、ヨーロッパ諸国の勢力による攻防が描かれていく。エグゼクティブ・プロデューサーを務めるのは『トップガン マーヴェリック』(22)の原案を手掛けたジャスティンマークス。さらに、真田広之がプロデュースを手掛け、徳川家康インスパイアされた主人公の吉井虎永も演じる。

【写真を見る】カリスマ性が滾る…!徳川家康にインスパイアされた吉井虎永を演じる真田広之

ハリウッド発の本格歴史大作ということで、その圧倒的な映像クオリティは日本のみならずワールドワイドに高い評価が寄せられており、初回配信から6日間で、スクリプテッドゼネラル・エンタテインメント・シリーズ作品としてはディズニープラスの中で歴代No.1の再生数を突破。そんな本作は、歴史作家・和田竜や、世界的ゲームクリエイターの小島秀夫、『のぼうの城』(12)の犬童一心監督、歴史大作の新作映画も控える入江悠監督、『カメラを止めるな!(17)の上田慎一郎監督ら、日本を代表するクリエイターたちからも注目を浴びている。そんな彼らから作品に寄せられた感想コメントを紹介しながら、トップクリエイターたちをも魅了する「SHOGUN 将軍」の魅力を改めて探ってみたい。

■歴史作品を手掛けてきた映画監督、作家も認める見事な時代考証

本作でまず目を見張るのは、緻密に再現された戦国時代の世界観。長年にわたり「日本の文化を海外に正しく伝えたい」と語ってきた真田の要望で、製作にあたって日本から時代劇に精通したクルーを招聘。衣装や小道具、美粧、セットはもちろん、登場人物たちの所作に至るまで日本の意匠が細部まで再現されている。

日本映画界を牽引するエンタテインメントの旗手として、次々と話題作を発表し、大泉洋主演の歴史大作『室町無頼』(2025年1月7日公開)が待機している映画監督の入江悠も、「丁寧な時代劇所作と考証に支えられた俳優たちの演技合戦も見ごたえ十分」と時代劇としてのクオリティを称賛。「この連続時代劇の幕がどこで引かれるか最後まで見届けたい」と今後の展開にも期待を寄せる。

映画化もされた「のぼうの城」や「忍びの国」、数々の文学賞に輝いた「村上海賊の娘」などの時代小説で知られる作家・脚本家の和田竜は、「外連(けれん)に富んで、娯楽に徹していたかつての歴史時代物が、驚異の映像と共に蘇った」とこだわり抜かれた映像に触れ、かつてない視点で捉えた戦国絵巻にも魅せられたと語る。「戦国末期の権謀術数、戦国武士の残虐さ、清らかさ。プロテスタントとカソリックの対立と、その渦に巻き込まれる武士たち。そして複雑怪奇な戦国女性の数々。どの視点に立とうが引き込まれる」。

二転三転する展開で観客を翻弄した『カメラを止めるな!』で一大旋風を巻き起こし、その後も長編、短編、アニメーションなどジャンルを跨いでエンタメ作を手掛けている上田慎一郎監督。大の映画マニアでもある上田は、これまでの時代劇の常識をひっくり返されたと驚きを隠さない。「いままで自分が持っていた“日本の時代劇”のイメージを見事に覆された。内から見た日本、外から見た日本。それらが圧倒的なリアリティをもって描かれる」。

■重厚なストーリー、スケールはまさに日本版「ゲーム・オブ・スローンズ」!

群雄割拠の戦国時代は、敵はもちろん味方の間でも策略や欺き合いが繰り返された。策士、虎永は敵対する石堂和成(平岳大)によって窮地に立たされるが、イギリス人航海士、ジョン・ブラックソーン(コズモ・ジャーヴィス)が虎永の家臣、樫木藪重(浅野忠信)の領地に漂着したことから潮目が変わり始める。

ブラックソーンを按針(あんじん)と呼び、自身の家臣に取り立てる虎永をはじめ、有力な大名を味方につけようと画策する石堂、亡き日本の権力者、太閤の側室でその世継ぎの母である落葉の方(二階堂ふみ)と…。虎視眈々と日の本の覇権をねらう強者たちが織りなす濃厚な人間模様も本作の魅力だ。

メタルギア ソリッド」シリーズなど革新的なゲームを次々と発表し、ゲームという枠を超えたクリエイターとして、ハリウッドほか世界の映像シーンに影響を与えている小島秀夫は「スケール、ディテール、キャスト、衣装、セット、小道具、VFX、どれをとっても超弩級」とトータルなクオリティを高く評価。繰り広げられるドラマチックな展開をあの名作ドラマになぞらえ、「17世紀日本を舞台にした『ゲーム・オブ・スローンズ』と評しても過言ではない」と語っている。

インディーズ出身で、監督・脚本のほか編集や時には撮影まで自らこなす上田も「これはすごい。演技、映像、美術、音楽、すべてが圧巻」と作品の総合力に舌を巻く。

自主映画からCM、ドラマ、そして映画とメディアを超えて活躍し、ヒューマンドラマからエンタメ大作までジャンルを超えて活躍。『のぼうの城』(12)『引っ越し大名!』(19)と時代劇でも高い評価を得ている映画監督の犬童一心は、戦国を生きる人々の姿が胸に響いたという。「真田演じる虎永の大義。欲望にまみれ、愛に堕ち、神に問うて生きる日本人の群像。たどり着いた新天地を切り開こうとあがく異邦人パッション。戦国の時代、死を隣に置いてこその生の輝きが果てしないスケールで描かれる」。

■日本を代表するクリエイターたちからプロデューサー、真田広之への称賛の声

虎永を演じる真田は、2003年公開の『ラスト サムライ』出演を機にハリウッドを拠点に活躍してきた。凛とした佇まいや身のこなし、迫真のアクションなど作品を体現する主演俳優としてだけでなく、プロデューサーとしても作品づくりを指揮。並々ならぬ想いで挑んだ真田の想いや熱気を感じられるのも本作の魅力だ。

真田と同じ1960年生まれの犬童は「同時代を生きた者として、我らが真田広之のたどり着いた地平に、感動と同時に祝福の気持ちが溢れた」と言い、クリエイターとして大きな一歩を記した戦友にエールを送る。

これまでも日本を題材としたハリウッド映画は数多く製作されてきたが、ハリウッドならではのスケールとクオリティで日本文化を再構築した作品は本作が初めてと言っていいだろう。上田は「長年ハリウッドで活動してきた真田広之さんがいたからこそ創ることができた唯一無二の時代劇」と、真田抜きではこの偉業は成し得なかったと断言する。

入江もまた、若手時代から多くの時代劇を経験してきた真田によって、日本映画を支えた匠の技がハリウッド作品に生かされた意義は大きいと続く。「いまは時代劇の技術伝承が加速度的に失われつつある。重厚でスケールの大きな時代劇を作るのは今後さらに大変になるだろう。そんななか、真田広之さんが主演とプロデュースを兼ねた本作のような本格時代劇の登場はとてもうれしい」。

ドラマ作品におけるアカデミー賞と言われるエミー賞では最有力作品の一つと目されており、米「Variety」誌などでも大きく取り上げられている「SHOGUN 将軍」。クライマックスに向けてさらなるヒートアップを見せる本作から引き続き目が離せない!

■クリエイターたちのコメント全文

●犬童一心(映画監督)

「真田演じる虎永の大義、欲望にまみれ、愛に堕ち、神に問うて生きる日本人の群像。たどり着いた新天地を切り開こうとあがく異邦人パッション。戦国の時代、死を隣に置いてこその生の輝きが果てしないスケールで描かれる。同時代を生きた者として、我らが真田広之のたどり着いた地平に、感動と同時に祝福の気持ちが溢れた」

●入江悠(映画監督)

「日本の時代劇全盛期は遠くなりにけり。いまは時代劇の技術伝承が加速度的に失われつつある。重厚でスケールの大きな時代劇を作るのは今後さらに大変になるだろう。そんななか、真田広之さんが主演とプロデュースを兼ねた本作のような本格時代劇の登場はとてもうれしい。丁寧な時代劇所作と考証に支えられた俳優たちの演技合戦も見ごたえ十分。この連続時代劇の幕がどこで引かれるか最後まで見届けたい」

●上田慎一郎(映画監督)

これはすごい。演技、映像、美術、音楽、すべてが圧巻。いままで自分が持っていた“日本の時代劇”のイメージを見事に覆された。内から見た日本、外から見た日本。それらが圧倒的なリアリティをもって描かれる。長年ハリウッドで活動してきた真田広之さんがいたからこそ創ることができた唯一無二の時代劇だ」

小島秀夫(ゲームクリエイター)

「42年前、ボクらが熱中したあの『将軍(Shōgun)』が、“按針さん”が帰ってきた。スケール、ディテー ル、キャスト、衣装、セット、小道具、VFX、どれをとっても超弩級。17世紀日本を舞台にした『ゲーム・オブ・スローンズ』と評しても過言ではない。史実より、原作に忠実だが、原作(オリジナ ル)を知らない人も、その魅力の虜になるだろう。三船敏郎に代わる虎永役の真田広之の存在も一役買っている。怪しげな“舶来品”ではない。このドラマは、ハリウッドが“和”を積んだ、日本映画界の未来を写す“黒船”となる」

●和田竜(作家)

「戦国末期の権謀術数の真っただ中に突進していくジョン・ブラックソーン(三浦按針)。彼の眼を通して描かれる戦国武者どもは残虐非道である。当時の外国人にはこんな風に見えたに違いない。その対極にあるのが虎永(=徳川家康)。通常、認識されるのとは真逆の人物像だが、実はこんな人だったのかもしれない。家康が織田信長のごとく海外の見聞を積極的に仕入れようとしていたのは案外知られていないが、『徳川実記』にあることである。外連に富んで、娯楽に徹していたかつての歴史時代物が、驚異の映像とともに蘇った。戦国末期の権謀術数、戦国武士の残虐さ、清らかさ。プロテスタントとカソリックの対立と、その渦に巻き込まれる武士たち。そして複雑怪奇な戦国女性の数々。どの視点に立とうが引き込まれる」

構成・文/神武団四郎

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