阿部サダヲ主演の金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系)の第10話「アップデートしなきゃダメですか?」が3月29日に放送された。同作は、昭和のおじさんがコンプライアンスで縛られた令和の人々に考えるきっかけを与えていく、完全オリジナルの意識低い系タイムスリップコメディー。最終回(第10話)となる今回は、市郎(阿部サダヲ)が令和での身辺整理を行い、昭和に戻ることに。(以下、ネタバレを含みます)

【写真】2054年から来た井上(小野武彦)が開けたタイムトンネルは、市郎の希望のトンネルに

宮藤官九郎の脚本によるオリジナル・コメディー作品

脚本を宮藤官九郎が務め、プロデュースを磯山晶氏が担当。「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)、「木更津キャッツアイ」(2002年)、「タイガー&ドラゴン」(2005年、全てTBS系)でタッグを組んできた2人が、令和で新たな作品を生み出す。

同作には、突如1986年から2024年へタイムスリップし、令和では考えられない“不適切”な言動を繰り返す小川市郎役で阿部、バラエティー番組のアシスタントプロデューサーとして働くシングルマザー・犬島渚役で仲里依紗が出演。

また、とあるアイドルに心酔するあまり、その身なり言動すべてを完コピする男“ムッチ先輩”こと秋津睦実と、令和に生きるその息子・秋津真彦を磯村勇斗が一人二役で、2024年から1986年に息子と共にタイムスリップする社会学者の向坂サカエを吉田羊、そして、市郎の一人娘・小川純子を河合優実、サカエの息子・向坂キヨシを坂元愛登が演じる他、袴田吉彦、山本耕史ら個性豊かな面々がストーリーを盛り上げる。

■市郎、令和での身辺整理をして最後のタイムスリップで昭和へ

昭和に帰る決心をした市郎。「やれること大体やったし、どんな未来か大体わかったし、大人になった孫や、ひ孫にも会えた。こんな未来ならおじいちゃん、楽しみだ」と、渚(仲)にも令和に未練がないことを伝えた。

最後のタイムスリップは孫である渚と一緒に。家に帰ると純子(河合)がお出迎え。渚の訪問に順子もうれしそう。

渚は純子に自身が“娘”であることは明かさないが、2人の会話の中で純子が自然と「渚」と呼ぶシーンがあり、それは本能で感じたのか、母性なのか、渚も視聴者も胸が熱くなる瞬間だった。ナポリタンケチャップが口元についたのを純子が拭いてあげるというやり取りにも。

母・純子とまた話が出来て、大満足で令和へ帰っていった渚。キヨシ(坂元)も渚と一緒に令和に戻っていった。

■令和の世界“未来”を知って、市郎も純子も変わった

令和の世界での敬遠で、“地獄の小川”は変わった。野球部の練習でケツバットを「アホくさ」と言ってやらなくなり、「俺は今日から“仏の小川”だ」と指導方針を修正。

純子も令和の世界を知って変わった。悪態をつきながらも父親に弁当を作ってあげるなど、市郎への態度にも変化があった。勉強も頑張り、大学受験も現役合格が狙えるほどに。

市郎はうれしい気持ちがありながらも、純子の未来を知っているだけに「バカのままで良かったのになぁ」と複雑な思いを吐露する。

市郎は純子に本当のこと、つまりこれから起こることを話すべきか考えるが断念。未来を変えてしまうと渚が生まれてこないし、「あいつ、今、めっちゃくちゃ幸せそうなんだ」と、純子のことを一番に考えると、真実は話さないほうがいいと思ったようだ。

市郎が考えたのは、将来、タイムマシンを作ることになる井上に、タイムマシンを作った後、未来から1995年にタイムスリップして日本に大きな地震が起こることを伝えてもらうということだった。

2054年から井上が市郎に会いにやってきた

スポンサーの撤退でバスでのタイムスリップは出来なくなったはずだったが、キヨシのおかげで研究が続けられることになった井上。

昭和の市郎の前に、老人の姿の井上(小野武彦)が現れ、「2054年から来ました。タイムトンネルを発見したんです。バスと違って好きな時代に行けるんです」と説明。それで以前、喫茶店のトイレの中にタイムスリップする穴があった理由が明らかになった。

「さぁ、好きな時代に行きましょう!」と井上に言われ、恐る恐る穴の中に入っていく市郎。そこから先は描かれていないが、もしかしたら市郎自身と純子が地震の被害に遭わずに済む未来を築けたのかもしれない。

これまでの放送でもいろんな注釈テロップが映し出されていたが、最後の最後に「この作品は不適切な台詞が多く含まれますが時代による言語表現や文化・風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み2024年当時の表現をあえて使用して放送しました」という注釈テロップが。

令和の視点から“昭和と令和”の違いや変化が描かれているドラマだと思っていたが、実はもっと先の未来から“昭和と令和”のおかしな部分を描いていたという仕掛けに思わずニヤリとさせられた。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

ついに最終回、昭和に戻った市郎(阿部サダヲ)は、純子(河合優実)とのこれからのことを考える/(C)TBS