三浦大輔が作・演出を務める舞台『ハザカイキ』が2024年3月31日(日) から東京・東急歌舞伎町タワー内にあるTHEATER MILANO-Zaで開幕した。初日に同劇場で初日前会見とプレスコールが行われた。

芸能記者である菅原裕一役を演じるのは丸山隆平。丸山は、芸能記者という役柄について「人によってスタイルは違うと思うんですけど、途方もない時間をスキャンダルをとるために費やすし、それだけでなく社会的なことも取り上げたりするので、時間も労力も精神的なものも削られるんだろうなと。イメージが変わりましたね。(もともとは)怖いイメージがあったんですけど、記者の方も自分の生活があって、家族がいて。そういう背景を感じた」と話す。

丸山隆平

その上で、「ひとつの週刊誌の記事によって、いろんな人たちがそれぞれの生活の中で変化していったり、何かを受け入れたり、許したり、許されたり……。今の時代にフィットしたような作品になっていて、すごくいろんな見方ができる。観に来られる方はじっくり味わって帰っていただければなと思います」と語った。

菅原の親友である今井伸二役を演じる勝地涼は「初めて三浦さんの書いた本を読んだときに、これだよ!マジこれだよ!すっきりしたわ!と思ったんです」と脚本の感想を話す。芸能記者について問われると、「僕もいろいろありました。憶測で書かれた記事があって苦しむ時間もありましたけど、一方で舞台などを宣伝してもらったりして、マスコミの方たちとは持ちつ持たれつです」と話す。

また、会見では勝地自身の体験談として「つけ麺屋から格好をつけて出てくる写真を撮られた」ことを明かす場面も。「(記者は)他の人を追っていたんだけど、空振りに終わって、飯でも食おうと思ったら、勝地がつけ麺食べていたと(笑)。誰が読んで面白いんだろうと思うんですけど、それは“有名になっている”ことでもある。撮られる=嬉しいことだから……複雑ですよね」。それに対して丸山は「注目されていなかったら撮られない。撮られなくなったら終わりやろうし、でも撮られても終わりやし」と笑いながら返した。

国民的人気タレント・橋本香役の恒松祐里は「菅原に追われている側の役です。スクープをされてしまう中でどんどん香の人生が変わっていって、自分自身と向き合うきっかけにもなって、最後に大きな見せ場がある役どころです。お楽しみに」と意気込んでいた。

恒松祐里

芸能界、マスコミという特殊な世界を舞台に、時代に振り回されながら葛藤し続ける人間たちを描く本作。作・演出の三浦大輔は本作の構想に6年以上を費やしたという。着想のきっかけを尋ねると「ネタバレになってしまうのですが、とあるシーンをやりたくてこの構想が始まった」とだけ語り、「7年経って、ここまで時代とフィットするとは僕も予想外。なので本当にこの時期に見るべき作品になったと強く思います」。

この日行われたプレスコールでは2場面(転換を含めて20分程度)が公開された。上手と下手にそれぞれ菅原の家や芸能事務所、スナックなどの回転式の具象舞台があり、舞台奥には歩道橋のセットが組まれている。菅原裕一(丸山隆平)と今井伸二(勝地涼)が居酒屋で飲んでいるシーンから始まり、橋本香(恒松祐里)に関するスキャンダルのタレコミ(情報提供)に基づいて、菅原が今井とともに橋本の張り込みをするという場面。そして、香のマネージャーの田村修(米村亮太朗)からスキャンダルを聞かされた香の父・橋本浩二(風間杜夫)が激昂するシーン、菅原の家で菅原と、恋人の鈴木里美(さとうほなみ)がテレビを見ているシーン、情報をリークした香の友人である野口裕子(横山由依)が菅原に電話をかけるシーン、香の母である智子(大空ゆうひ)が自身の経験を娘に話すシーンと、場面がテンポよく切り替わる演出が印象的。リアルな会話が紡がれた先に、どんな結末が待っているのか。早く全貌が見てみたい。

東京公演は4月22日(月) まで。大阪公演は4月27日(土)〜5月6日(月・休) まで、森ノ宮ピロティホールにて。

取材・文・撮影:五月女菜穂

<公演情報>
Bunkamura Production 2024『ハザカイキ』

作・演出:三浦大輔
出演:丸山隆平 勝地涼 恒松祐里 さとうほなみ 九条ジョー 米村亮太朗 横山由依 大空ゆうひ 風間杜夫 日高ボブ美 松澤匠 青山美郷 川綱治加来

【東京公演】
2024年3月31日(日)〜4月22日(月)
会場:THEATER MILANO-Za

【大阪公演】
2024年4月27日(土)~5月6日(月・休)
会場:森ノ宮ピロティホール

公式サイト
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/24_hazakaiki/

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/hazakaiki/

舞台『ハザカイキ』初日前会見より