アニメ『バーテンダー 神のグラス』(テレビ東京系4月3日24時より放送開始)に出演するバーテンダー・佐々倉溜役の寺島拓篤と、ホテルに勤める来島美和役の南條愛乃のオフィシャルインタビューが公開された。東京・銀座のBARにて2ショットで作品の魅力を語った。

【写真】銀座のBARで一杯…寺島拓篤が南條愛乃へカクテル作る様子

 同作は、「神のグラス」と称されるほどの若き天才バーテンダー、佐々倉溜が、パリより帰国し、銀座のバーで働き始めた彼のもとに、多種多様な事情や生き様を抱えた客が訪れて繰り広げられる人間ドラマを描いた物語。彼らに差し出される一杯のグラスが、あるときは彼らの人生を変え、あるときは彼らの心を少しだけ慰める。酒と人とがドラマを紡ぐ、大人のためのスタイリッシュ・BARストーリー。

 原作・城アラキ、作画・長友健篩による2004年から2012年にわたり、「スーパージャンプ」と「グランドジャンプ」にて連載された、発行部数360万部(2023年4月時点)を誇る漫画が原作となっている。

 2006年にテレビアニメ化、2011年にテレビドラマ化されており、バーやお酒の知識欲を刺激するだけにとどまらず、バーで繰り広げられる人間ドラマが胸を打つ名作が今回、18年ぶりの完全新作アニメとして世に送り出す。

――作品の印象をお聞かせください。
【寺島】 タイトルからしてお酒の話なのだろうなというのが分かる通り、原作を拝見して想像以上にお酒の情報量だったり、それにまつわる人間ドラマだったりというところが本当に面白いと思いました。アニメ化にあたってシリーズ構成が違っていて味わいが変わってくるので、原作を読んでいる方もまた違った視点でお楽しみいただけるのが良いところかなと思います。

【南條】 原作を読んで佐々倉さんや他のバーテンダーさんのお酒で疲れたり悩んだりちょっと弱っている人が癒やされたり、気持ちがほどかれていったりする過程や会話を読んで、これがアニメ化されて美和として出演できることになって私も癒やされそうです(笑)

――演じるキャラクターの印象は?
【寺島】 変な人だなと思いました(笑)。バーにいる時と外にいる時の雰囲気が真逆な感じで、外にいるとオープンな雰囲気に見えるんですけど実は凄くクローズドな人で、バーにいる時は逆にクローズドに見えてオープンという謎の懐を持っている人です。そういった二つの味(人物像)が楽しめたり、読み進めて物語が進んでいくと深いところまで人間性が見えてくるので、最初は掴めなかった雰囲気の人がだんだん味わい深くなっていくところが作品のテーマであるお酒と通じるところがあって、主人公としてぴったりな面白い人だと思いました。

【南條】 原作の最初、美和は一人で奮闘していくのですが、アニメでは最初から由香利ちゃんがいてくれるので、アクティブではつらつとしているところは由香利ちゃんに譲って、先輩的なところもありホテルマンとしてビシッとしたところを多めに見せられるかなと思います。とは言え、良い意味で子供っぽい面や真っ直ぐな面を持っている人だと思っていたので、おじいちゃんといる時や佐々倉さんと仲良くなっていった先に本来持っている元気な部分や子供っぽい一面が滲んで見えたら良いなという気持ちで演じていました。

――演じる際に意識した点、ディレクションなどありましたか?
【寺島】 バーにいる時の落ち着き具合を凄く落ち着かせるようディレクションがあったのですが、正直最初は不安でした。今までやったことがないくらい落としていたので「これ大丈夫かな?話してる相手や視聴者に届いているかな?」と。今後登場する金城ユリ役の白石涼子さんにも「寺島くん喋ってた?」って言われて「喋ってましたよ(笑)」という冗談半分なやりとりがあったぐらいなので結構ドキドキしたのですが、マイクの力でちゃんと拾ってくれていて完成したアニメを観て安心しました。

 そういったディレクションの中でお客様にお酒の知識とお客様の状況に合わせた語りをどうやったらちゃんと届けられるか、毎回四苦八苦しながら家で練習していて、個人的な感覚としては「いらっしゃいませ」とかももっと声を張りたかったのですが、自分の方からお客様へグイッと踏み込んで行かないというのがバーテンダー・佐々倉溜としてのあり方なんだなというのを理解するのに最初は戸惑いました。

 バーの外で会う人とバーの中で会う人の差は佐々倉の中ではしっかりあると思うんですよね。来島さんに関してはどっちでも会うようになってしまったので、自然と壁が崩れていっているのだろうなと思っています。カーディナルの面々、そして他のお客様とは対応が違っているなと僕の中でも少し感じながら演じていました。

【南條】 最初に持っていた美和のイメージは、はつらつとしていて何事にも真っすぐで「絶対にうちに来てください!」とか、腹が立つことがあったらズバッと感情がストレートに出る女の子のイメージがあったのですが、(美和の後輩の)由香利ちゃんが最初からいてくれることによって、ストレートに感情を出す担当は由香利ちゃんで、美和はしっかりした感じかなと思いました。1話のアフレコに臨んだ時に「もっと落ち着いて」というディレクションだったので、私が最初に思っていた美和さんのイメージよりちょっとお姉さん目に演じた方が良いのかなと思いました。

【寺島】 最初は原作寄りの来島さんを演じていた感じだよね。イメージとしては。

【南條】 そうそう、そこをもっと抑えてとか落ち着いてということで、由香利との差をつけるためにどうしていこうかな?と考えました。佐々倉さんも最初の登場シーンではもうちょっと元気というかもっとアニメっぽいアプローチをされていたのでそっちの方向で行くんだと思って、それに乗っかっていった部分もあったのですが、その後のディレクションで一掃されましたよね。

【寺島】 全体的にぐっと落とされて、由香利ちゃんだけ上げてみたいな。

【南條】 あの中で上げるのは晴ちゃん(白石晴香さん)も大変だったと思う(笑)。

【寺島】 そうだと思う「ってことは、私が引っ張るのか?」みたいな感覚だよね(笑)

――アニメの映像をご覧になっての感想をお聞かせください。
【寺島】 よくこんなにちゃんと液体を描いたなと(笑)。びっくりしたところですね。アニメで液体に注視して拘ることってあまり多くないと思うんですけど、注ぐくだりだったり混ぜるくだりだったり、これってどうやって表現するんだろう?って描いている方々も新鮮だろうなと思いながら観ていました。

【南條】 バーにいる時の描写でシェイカーからグラスに注いでシェイカーをシュッと切るところがリアルで見ているかのような錯覚を覚えて、アニメなのかリアルなのか脳が混乱するぐらい表現が丁寧でびっくりしました。

【寺島】 お店によって違うと思うのですがバーという独特な暗さの照明とか、その中でいかに鮮やかにカクテルを見せるかというのはこの作品のポイントの一つで、実際に我々が足を運ぶことができるバーというものが舞台になっているので、より興味を持ってもらえるきっかけになるのかなと思います。

――アフレコ現場の様子はどうでしたか?
【南條】 分散収録でバラバラだったのですが、大体コミュニケーションの取っ掛かりとして「お酒飲まれますか?」から始まりますね。

【寺島】 毎回ゲストが来るからね。

【南條】 飲めない人が多かったですよね?

【寺島】 ほとんど飲めないです。メインはお酒に精通していないというか。

【南條】 神嶋役の山本格さんの話が面白くて、格さんはカクテルを作るのが大好きらしいのですが「僕は一滴も飲めないんです」って。

【寺島】下戸のバーテンダー(笑)。

【南條】 「でもレシピ通りには作れるのでたぶん美味しいと思います」って(笑)。好きで作るのに飲めないっていうのが面白すぎてそれしか覚えてない(笑)

【寺島】 現場エピソードとしてはそれが一番強いよね。

【南條】 バーというよりは居酒屋ですよね(笑)

【寺島】 ノリとしてはね。

――印象に残っているキャラクターはいますか?

【寺島】 どこまで言って良いんですかね?まだ言えないのですが最後かな(笑)

【南條】 私はやっぱり”かやのん”(茅野愛衣さん)が…。普段から一緒に飲む人なので友達が一緒のバーに来て居合わせちゃったみたいな感じにもなり(笑)、しかも普段の本人の雰囲気とは違う大人の女性役だったから「かやのん、良い女だな」って後ろから見ていてワクワクしていました(笑)。

【寺島】 あの話数は凄くドラマしていて、ちょっとアフレコしながらもテレビを見ている感覚でした。

【南條】 わかる。その二人がまた登場してきて「(約束していたのに)行かなかったんかい、ご飯!」って視聴者みたいに突っ込んじゃった(笑)。毎回ゲストさんがどんなお芝居をするのかが楽しみでしたね。

【寺島】 本当にカクテルみたいで原作とアニメの絵と音楽と役者の声が混ざり合ったことで新しい味わいになるというのは構成が変わっているというのもあって、原作をご存知の方もまったく違った味わいになるので観てもらいたいところですよね。

【南條】 毎回美味しそうなお酒が出てくるから、これが夜の収録だったら「今日登場したお酒飲みに行くぞ」って絶対になると思う。

【寺島】 確かめに行こうぜってなるんだよね。

【南條】 だから敢えて収録を昼間に入れられていた可能性がありますよね。

【寺島】 そんなことあるかい(笑)、むしろ盛り上げるために夜の方が良かった説もあるけど。珍しい聞いたことのないカクテルもありましたね。

【南條】 私はブル・ショットを初めて知りました。

【寺島】 ビーフブイヨンとウォッカのね。

【南條】 それを飲んでみたくてバーに行った時に「ありますか?」って聞いたんです。そしたら「作れるけどちゃんとスープを売りにしているホテルさんとか、スープを美味しく作っているバーで飲んだ方が良いです。」って言われました。

【寺島】 佐々倉も上のレストランから貰って来てましたからね。

――作品を楽しみにしている皆様へメッセージをお願いいたします。

【寺島】 この作品を観ている時間が皆さんの特別な時間になれば良いなと思いますし、そういった時間を提供できるほど素敵な空間を描いていて、まるでご覧になっている場所がバーになるような体験ができるのではないかと思います。お酒が飲める方も飲めない方もアニメでバーの雰囲気に酔っていただけたら嬉しいなと思います。

【南條】 私もこの作品がきっかけで実際にバーへ行ってみたいと思うようになったので、まだ行ったことのない方、敷居が高いんじゃないかと思っている方も、こういう雰囲気なんだと作品を通して予習していただいて、バーへ行くきかっけになったら自分としても凄く嬉しく思います。私も実際にバーへ行ってみて居心地も良く世界が広がった感じがしたので、そういったきっかけになる作品に自分も関われているんだと思うと嬉しいので、作品を観ながら楽しみつつ癒やされつつ、自分のフィールドを広げていただけたらと思います。

寺島拓篤&南條愛乃(C)城アラキ・長友健篩/集英社・Bar hoppers