メジャー志向が高い佐々木。それだけにドジャース移籍報道は世間を大いに沸かせた。(C)Getty Images

 実現すれば、エポックメーキングな契約となる。

 現地時間3月31日に米紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者が、ロッテ佐々木朗希が、来シーズンにドジャース入団する可能性を伝えた。同記者は「世界で最高の投手の1人であるロウキ・ササキに対して、複数のGMはシーズン終了後にドジャースと契約すると予想している」と指摘。某球団のGMによる情報として「全チームが彼を獲得したい。でも、ドジャース以外選択肢はあり得ない。私たち全員が知っていることだ」というコメントも紹介している。

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 佐々木のメジャー志向は高い。

 昨年オフには越年交渉をし、契約更改後の会見では「色んなことを球団とじっくり話してやらせてもらって、お互い納得して契約できたと思う」と語ったうえで「将来的にメジャーリーグプレーしたい」と自らの意思を示していた。さらに契約更改後には日本プロ野球選手会を脱退。加入に強制力はなく、任意であるものの、入団5年目の若手が脱退は極めて異例の事態であった。

 そうした状況に加えて、ナイチンゲール記者の取材に応じたMLB複数球団GMの「ドジャース以外選択肢はあり得ない」という証言だ。佐々木がいち早くメジャーリーグ羽ばたきたいという意欲があるのは間違いない。

 しかしながら、佐々木の前には“巨大な障壁”がある。それはメジャーで定められている労使協定だ。

 2016年に施行された同協定において、海外選手を獲得する際に生じる契約金制限の適用年齢は25歳からと決まっている。そのため、来年に23歳となる佐々木が移籍をする場合には、年間500万ドル(約7億2500万円)程度に抑えられたマイナー契約からのスタートとなる。

 たしかに佐々木の特大のポテンシャルを考えれば、メジャーで即戦力となれる可能性は十二分にある。100マイル(約160.9キロ)を超える速球に加え、鋭く落ちるフォークを織り交ぜた支配的な投球は魅力に溢れており、米スカウト陣の垂涎の的となっている現状を見ても、その才能は異質だ。

 しかし、逆に言えば、それだけのポテンシャルを持った選手であれば、メジャー契約が可能となる3年後に莫大な譲渡金が見込めるのも事実だ。2019年のプロ契約以来、手塩にかけて育ててきたロッテにとっても、現行ルールがある以上は、正直なところ来オフでの放出に旨味はない。

 実際、アメリカでも佐々木の早期移籍に厳しい論調もある。アメリカの老舗野球専門誌『Baseball America』のJJ・クーパー編集長は、昨年12月に自身のX(旧ツイッター)で「これはロッテにとっても、ササキ自身にとっても意味がない」と現実的な意見を論じた。

 昨年12月に大谷翔平と10年総額7億ドル(約1015億円)、そして山本由伸と12年総額3億2500万ドル(約491億円)という超巨額契約を締結したドジャースには、日本でも日増しに関心が強まっている。そこに佐々木が加わるとなれば、話題沸騰となるのは必至だ。しかしながら、現時点で米国内に電撃契約の可能性への疑義があるのも事実と言えそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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