乗り心地の「かたい/やわらかい」を左右するものとは? サスペンションの「バネレート」は「線径・巻径・巻数」で決まります

数値が高ければ乗り心地が固い

足まわりのチューニングで、必ず登場するのがバネレートです。これは、サスペンションスプリングの硬さを表すもので、「●kg/mm」と表記されています。ここでは、バネレートの単位の意味や車高との関係性について解説をしていきます。

バネレートは線径、巻径、巻数で変わる

サスペンションチューニングの話をするとき、必ず登場するのがスプリングのバネレート。簡単にいえば、この数字が高いほど乗り心地は固く=スポーティな味付けになり、反対にバネレートが低ければ、乗り心地はソフトで、スポーティさは乏しくなる。このバネレート、通常「kg/mm」(kgf/mm)という単位で表記されているが、これはどういう意味なのだろうか。

これはスプリングの反発力の強さを数値化したもので、スプリングを1mm縮ませるのに必要な力(荷重kg)を表している。具体的には、5kg/mmのバネレートのスプリングは、5kgの重さをのせると1mm縮むと思えばいい。

呼び方としては、一般的に「バネレート」が主流だが、英語ではspring-rate(スプリングレート)、日本語では「ばね定数(じょうすう)」ともいう。

最近では厄介なことに、今は国際単位系(SI)を使うことになっており、「N/mm」を使うのが正式(N=ニュートン)だ。エンジンのトルク値と同じ流れだが、ニュートンを9.8で割るとkgに変換できる。

このバネレート、乗り心地だけではなく車高にも大きくかかわっており、同じ長さのスプリングなら、バネレートが高ければ車高が上がり、バネレートが低くなれば車高が下がる。

こう聞くと、ローダウンスプリングは、純正よりもバネレートが低いスプリングと思うかもしれないが、バネレートを低くして車高を下げると、サスペンションストロークが減った分、底突きしやすくなってしまうので、使いづらいサスになる。そこで、ローダウン化するときは、バネレートを上げて、スプリングの長さを短くするのがセオリー

車高調整式のサスペンションキットなら、同じ長さでバネレートの違うスプリングを選ぶと、狙った車高をキープできるメリットがある。その車高、バネレートによってどれだけ変わるかだが、サスペンションレバー比、軸重によっても変わるので一概には言えないが、550kgぐらいの軸重(前もしくは後)のクルマで、同じ長さのスプリングという条件のもと、バネレートを5kg/mmから10kg/mmに変えると、約30mmは車高がアップすると思えばいい。ちなみにレバー比は、ストラットサスがおよそ1.0。ダブルウィッシュボーンだと1.2〜1.7。マルチリンクは1.0〜1.1ぐらい。したがって、ダブルウイッシュボーンサスペンションなら、数字上はストラットの2倍ぐらいのバネレートを入れても、両車の乗り心地は実質ほとんど変わらない。

サスペンションチューンで聞く「バネレート」とは

ではそのバネレートは、何で変わるのか? 同じ鋼材だとすれば、線径、巻径、巻数で変わる。たとえばスプリングの線の太さ(線径)が太ければ固いバネになり、スプリングの直径(巻径)が大きくなるとソフトになる。そして巻き方が細かく、巻数が多ければ柔らかくなる。

いずれにせよ、スプリングの役割は、路面からの入力を緩和させる振動吸収と接地性の確保(ロール量、ピッチング量もスプリングできまる)にあるので、固ければいいというものではなく、柔らかすぎるのもNG。ダンパーと組み合わせ、目的に合わせて美味しいところへ上手に落とし込むのが肝要だ。

余談だが、いわゆる減衰力調整式ダンパー(1WAY)は、調整ダイヤルを回しても変化するのはリバンプ側(伸び側)がメインで、バンプ側はほとんど硬さが変わらず、乗り心地は変化しない! コンフォート性を重視するなら、バネレートの低いサスペンションキットを購入する方が間違いない。

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スプリングの役割は、路面からの入力を緩和させる振動吸収と接地性の確保(ロール量、ピッチング量もスプリングできまる)にあるので、固ければいいというものではない