サントリーは、昨年に開業60周年の節目を迎えた「サントリー天然水のビール工場〉東京・武蔵野」の見学ツアー『「ザ・プレミアム・モルツ」おいしさ発見ツアー』をリニューアル。これまで20分だった試飲体験の時間を、10分延長して30分とするなど、より付加価値の高いビール工場体験を実現して有料化する。

4月10日から始まる一般公開に先駆けて開催された、リニューアル後の見学ツアーを先行体験できる取材会に参加。新たに導入されたコンテンツを体験してきた。

○■「つくり手の思いが届く見学コースに」

『「ザ・プレミアム・モルツ」おいしさ発見ツアー』は、サントリービールの美味追求・品質向上につとめるつくり手の情熱の結晶である「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドのおいしさを体感できるツアー。

案内係と工場内や天然水にまでこだわるサントリービールの製造工程を見学し、ゲストホールで「ザ・プレミアム・モルツ」「同 〈ジャパニーズエール〉香るエール」「同 マスタードリーム」を合計3杯まで楽しめる(20歳未満にはソフトドリンクを提供)。

本取材会のプレゼンにはサントリー東京・武蔵野工場長の梅澤祐輔氏が登壇。サントリーのこれまでの市場創造への挑戦の歴史を振り返った。

サントリービールは今でこそヒット商品にも恵まれるようになりましたが、この60年の歴史は失敗と挑戦の連続でもありました。その歴史において、サントリーのものづくりの根底にある『やってみなはれ』の精神の象徴とも言える重要な生産研究施設が、この東京武蔵野で1989年に開設されたビール工場『ミニブルワリー』です」

この通常設備の約20分の1サイズという小さなビール工場での多くの失敗と試行錯誤が、「ザ・プレミアム・モルツ」誕生の礎となっているという。

サントリーのビールは、自然の恵みと生産研究設備を掛け合わせることで出来上がります。中でも天然水へのこだわりはサントリービールの品質を支える核となる部分です。厳選した採水地に生産拠点を構えていることは、サントリービールの大きな特徴となっています。また、製造設備や機械のデータ任せではなく一人ひとりの作り手が、現場・現物で感性と五感を駆使してものづくりに取り組んでいることも特徴です。とくに香味をチェックする官能検査では、原料や製造工程ごとの中間サンプル、最終製品までつくり手が自らの五感を研ぎ澄ませ、ビールの状態を日々細かくチェックしています」(梅澤氏)

今回のリニューアルで製造工程の見学から飲用体験の会場となるゲストホールへ向かう通路には、「サントリー天然水のビール工場〉東京・武蔵野」のつくり手たちのパネルを新たに展示した。

「東京・武蔵野の地はサントリービールの開発生産拠点であることはもちろん、開設当時よりサントリーのものづくりの魅力をお客様にお届けする発信拠点でもあります。今回のリニューアルでは、こうしたつくり手の思いが届くような見学コースをコンセプトとしました」(梅澤氏)

○■官能検査の雰囲気をVRで擬似体験

「昨年は『サントリー生ビール』などのヒット商品に恵まれましたが、中でも規模も大きく伸長させているのが、昨年2023年に大きなリニューアルを行った『ザ・プレミアム・モルツ』です」とは、サントリーのプレミアム戦略部課長・中村昌平氏。

“プレモル”は1989年に開発が武蔵野工場でスタート。2003年に発売から今年22年目を迎え、発売当初から嗜好や社会環境の変化などに応じ、リニューアルと進化を重ねてきたと語る。

続けて、ビールカテゴリが対前年131%と大きく市場をけん引した同社の昨年度実績を紹介。見学ツアーのリニューアル背景について、次のように説明した。

「お客様アンケートで、これまでのサントリービール工場の見学ツアーの印象に残ったことについて聞くと、やはり一番には『天然水へのこだわり』が挙がっており、その次に『つくり手の情熱』『プレモルの美味しさ』と続きます。これらの結果から『プレモルの美味しさ』の相関値を紐解くと、天然水へのこだわりだけでなく、つくり手の情熱が伝わるほどにプレモルのおいしさを感じていただけていることがわかりました。これまでのツアーでは天然水へのこだわりを一番の核にしておりましたが、このコアの価値である天然水にかけ合わせるかたちで、つくり手の情熱や思いをツアーの中で新たに盛り込む。そうすることでより多くの方々にプレモルのファンになっていただきたいと思っています」(中村氏)

試飲時間と合わせて、今回のリニューアルでは見学時間も10分延長されて60分に。サントリービールのものづくりの挑戦と歴史について伝える「つくり手の挑戦ムービー」として、見学ツアーのオープニングプログラムを刷新した。

また、普段は入ることができない官能検査室にVRスコープを使用して潜入するコンテンツを新設。つくり手たちが美味追求・品質向上につとめる現場を疑似体験できる時間を設けた。

さらに、ゲストホールでの試飲では、飲用時品質にこだわった「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドの味わいはもちろん、神泡のアート体験、セルフサーブ体験を楽しめる。

「ツアーに来られるお客様が一番頼みにしているのが、やはり試飲です。ビールはいろんな人と乾杯するほうが美味しいということで、サントリー流の乾杯である『スコール!』の掛け声で一緒に乾杯するという要素を新たに加えています。これまでの試飲会場は全員が同じ方向を向くようなレイアウトを変更し、カウンターテーブルでお客様同士が談笑しやすい空間づくりを行いました」(中村氏)

『「ザ・プレミアム・モルツ」おいしさ発見ツアー』は参加費税込1,000円(20歳未満は無料)。所要時間は計90分となっている。
サントリー天然水のビール工場〉 東京・武蔵野

所在地:〒183-8533 東京都府中市矢崎町3-1
営業時間:9:30 ~ 17:00
ショップ営業時間:11:00 ~ 16:50
休業日:年末年始・工場休業日(臨時休業あり)

伊藤綾 いとうりょう 1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催 @tsuitachiii この著者の記事一覧はこちら
(伊藤綾)

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