使い方の正解は?



SNSで話題になっている「解凍プレート」。ネットで購入するのが難しい状況になっています。でも実際は本当に便利なのでしょうか?



 食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、食トレンド、スーパーマーケットスタバ、ダイエットフード、食育などの情報を“食の専門家”として日々発信しています。


 最近SNSやテレビでも大注目されているキッチングッズがあります。それは、「解凍プレート」。


 黒い薄っぺらい板で、冷凍した食材を上に置いておくだけで時短解凍が可能なのだとか。えっなぜ? 本当に? と疑問だらけの方は少なくないでしょう。


 このプレート、とにかく大人気で、3COINSでは入荷直後にほぼ完売。ネット上でも使いやすい中サイズ以上の商品は売り切れ続出になっています。


 ここで大切なのは、売れているからといって衝動買いをしてしまうのではなく、自分に合った便利グッズなのかを見極めること。


 そこで今回は、楽天市場で約1800円で購入した解凍プレートを使いながら、仕組みをわかりやすくご紹介。使ってみて本当に便利だと実感できるポイントや購入する前に検討すべき留意点について正直にレポートしてみたいと思います。


◆解凍プレートは、特殊な素材ではない



薄っぺらくて黒い金属のプレート



 解凍プレートとして販売されている製品の多くは、アルミニウム合金によって作られています。


 アルミニウムが優れた熱伝導性を持つ特性を利用したもので、食材の冷たさを早く放出させることで、通常の常温放置に比べて短時間(半分以下の時間)で解凍させることが可能になります。つまり、特殊な素材を使っているわけではありません。



冷凍状態の豚バラ肉を上に乗せた状態



 解凍プレートを使うメリットは、解凍ムラがなく、急速解凍するときに心配されるドリップ(食材に含まれる旨味や栄養成分が液体として出てしまう)をおさえられる点にあり。



解凍前のシーフードミックス



 例えばシーフードミックスのような水分量が多く解凍に失敗しやすい食材にはオススメです。



30分後の状態。ドリップがほとんど出ることなく解凍ができる



◆買う前に知っておくとよいこととは?
 解凍プレートが特別なものではないことを確認した上で、購入したいと考えている人にオススメのポイントとしては次の2点を重視すると良いでしょう。いずれもスピーディーな熱放出のために必要な条件になります。それは、なるべく厚く面積の広いタイプを選ぶこと。


 プレート裏側(底部分)がギザギザなど工夫が施されているものを選ぶことです。また、ステーキ肉など早く解凍したい場合には、2枚を使って食材を挟むとさらに解凍時間を短縮させることもできます。


 そして最後にもう一つ重要なことを。実はフッ素樹脂加工のフライパンでも同様の効果を期待することができます。最近主流のフライパンは、軽くて熱回りがよいものが多く、ほとんどがアルミ合金によって作られています。


 解凍プレートをわざわざ2000円前後で購入するか、同程度の金額で調理もできるフライパンを選ぶかは慎重に考えても良いでしょう。底部分がギザギザに加工されている解凍プレートは手で洗いにくい形状ですから、食洗機の有無も購入する上での大事なチェックポイントになるでしょう。


 ちなみに解凍プレートはあつあつ食材の熱を素早く取るメリットもありますから、炊いたご飯や加熱した食材を早く冷ましたい時にも活用できます。


 ということで、衝動買いをしてしまう前に、本当に必要かを冷静にシミュレーションしてみても良いかもしれません(買うなと警告しているわけではありません)。


<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>


【スギアカツキ】食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12