こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。

 筆者はLINE公式サービスにて、年間約1000件のペースでチャット恋愛相談を受けています。また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがってきました。

 さて、「不倫」の類語として近年使われる「婚外恋愛」という言葉をご存知でしょうか。

 主に既婚者同士が恋人になることを指す言葉である「婚外恋愛」ですが、定義が明確に決まっているわけではありません。狭義では肉体関係を持たないことで不倫と差別化を図るという考え方がある一方で、広義では肉体関係を持っていても婚外恋愛と呼ぶこともあり、後者の場合は不倫とほぼ同一の意味合いとなります。

 今回のご相談者であるユズルさん(仮名・38歳)は、妻子のいる既婚者で、前者の狭義のほうの婚外恋愛をしていたそうですが、あるトラブルに見舞われてしまいます……。

※この記事は本人の許可を得て掲載しています。ただし、プライバシー保護のため実際のエピソードから一部変更しています。

テニス部女子と十数年ぶりに同窓会で再会

 ユズルさんの婚外恋愛のお相手は中学時代の同級生で、当時は女子テニス部のなかで一番かわいいと噂されていた既婚者・メイコさん(仮名)。“あるある”ですが、十数年ぶりに同窓会で再会したことがきっかけで恋愛に発展したのだとか。

メイコとは二人で会いはじめたときから、お互いの家庭を大事にして、家族との幸せを壊さないという約束をしていました。だから自分で言うのもなんですがプラトニックな純愛で、手を繋いだり抱きしめたりすることはあっても、キスも身体の関係も一度もありませんでした」

◆出勤したフリしてホテルでリモートワーク

 ちなみに二人はホテルをデイユースで予約して逢瀬を重ねていたと言います。

「昼に待ち合わせをしてまずはランチして、その後にホテルをデイユース利用して、まったり過ごすというのがお決まりのパターン。僕もメイコも週の半分は出勤、半分はリモートワークなので、本当はリモートでOKの日に家族には出勤だとウソをついて出かけて、ホテルでリモートワークしながら時間を共有するというのが多かったです」

 ホテルに二人きりになればいやらしい雰囲気になりそうなものだが、ユズルさんは「純愛だったんで下心は一切ありませんでした」と断言。しかし、そんな幸せな婚外恋愛ライフは突然、終止符が打たれることになったそうです。

「ある日突然、メイコの旦那が雇った弁護士から連絡があり、僕とメイコの“不倫”の証拠を掴んでいると言われたんです。旦那はメイコの浮気に気付き、興信所を使って彼女を尾行させていたらしく、僕とホテルの一室に入っていくところまでの写真を撮られていました。もちろん僕はキスも肉体関係もないと必死に弁明しましたが、密室に二人きりで何時間もいたというのは事実で、その状況証拠を突き付けられては……」

◆他の男と「不倫していて妊娠しちゃって」

 ユズルさんは自分の妻子や会社にバレてしまうことを恐れ、旦那側が請求してきた慰謝料を素直に支払ったとのこと。

「僕としては別れるにしてもメイコともう一度だけ会って、幸せだったと感謝を伝えたかったのですが、メイコからはやりとりしていたメッセージアプリから『ごめんね。』という一言だけ来て、その後はアプリもSNSも全部ブロックされてしまいました。連絡を取る手段が一切なくなり、僕たちの関係は完全に終わったんです」

 ピュアな大恋愛が終わりを迎え、喪失感に打ちひしがれていたユズルさんですが、さらに追い打ちをかけるような話が彼の耳に入ってきたそうです。

「中学時代の男友達数人と飲んだとき、僕はメイコとの関係を誰にもしゃべっていなかったのですが、彼女の話題になったんです。ゴシップ好きの友人が、『メイコとタカミチ(仮名)が不倫していて妊娠しちゃって、メイコの旦那にバレて修羅場だったらしい』って……。タカミチというのは中学時代の同級生で、僕はほぼ面識はないのですが、バスケ部のエースだった校内の有名人でした」

◆婚外恋愛相手は何人もの男と“不倫”していた

 内心では目の前が真っ暗になるほどのショックだったそうですが、メイコさんとの関係を秘密にしていたので動揺を隠して平静を装い、「どうせデマでしょ(笑)?」と引き続き話を聞いたところ……。

「友人が入手した情報はかなり具体的で、僕が知っているメイコの家庭事情とも合致していることが多かったので、信じたくはなかったですが信憑性は高そうでした。僕とはお互いの家庭を壊さないようにと約束し合い、身体の関係どころかキスもしていなかったのに、裏ではタカミチと避妊もせずに行為していたのかと思うと、狂いそうでしたね……」

 しかし、ユズルさんの心を搔き乱すメイコさんのスキャンダル話はこれで終わりませんでした。

「その飲み会の場で、面白半分の友達がタカミチのSNSの裏アカを知っているというので、みんなで覗いて見たんです。メイコとのことを呟いているような投稿がいくつもあって、そのなかで彼女に対して愚痴っているような発言も少なくありませんでした。なかでも『あの女あっさり裏切りやがってふざけんじゃねぇよ。俺以外に何人か男いたみたいだし妊娠したのも俺の子かどうかわからねぇよな』という書き込みがあったんです」

 この裏アカの投稿から推察するに、メイコさんの浮気相手はユズルさん、タカミチさんだけではなく他にもおり、タカミチさん以外にも肉体関係を持っていた男がいた――ということでしょう。

「そのときなぜか工藤静香の『FU-JI-TSU』のサビが僕の頭のなかでエンドレスリピートしていました。僕は“街角ピエロ”かよって思ってましたね(苦笑)」

 ユズルさんが信じていた“プラトニックな純愛”は、脆くも崩れ去りました。そして、いくら肉体関係のない「婚外恋愛」だろうとも、状況証拠的には「不倫」と見なされてしまい、ユズルさんは大きな代償を支払うことになってしまったのです。

<文/堺屋大地>

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『文春オンライン』、『smartFLASH』などにコラムを寄稿。LINE公式サービス『トークCARE』では、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。X(旧Twitter):@SakaiyaDaichi