今シーズン初めてMLBノーヒッターが誕生。アストロズの右腕ロネル・ブランコが偉業を達成した(C)Getty Images

 本拠地のミニッツメイド・パークを歓喜の渦に巻き込んだのが、ドミニカ共和国出身の30歳右腕だ。

 アストロズのロネル・ブランコが現地4月1日(日本時間2日)のブルージェイズ戦に先発し、球団史上17度目のノーヒットノーランを達成した。9回105球を投げて無安打無失点、2四球、7奪三振の快投だった。 

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メジャーで今季初のノーヒッターが生まれたことに『MLB.com』のテオ・デローサ記者は「月曜の夜までロネル・ブランコの名前を聞いたことがなかったとしても、おそらく今は聞いたことがあるだろう」という書き出しで、ブランコについて驚いたようにこう紹介している。

「最近まで、ブランコはフルタイムのスターターを務めたことはない。マイナーリーグでのキャリアを通じて、出場した202試合のうち先発出場したのはわずか34試合だった。ブランコは2022年にアストロズで7回救援出場したが、メジャーリーグ初先発は2023年6月1日までなかった」

 そんな無名に近い先発投手の偉業達成は、2023年1月に就任したアストロズのダナ・ブラウンGMの功績が大きいという。同GMは昨年のスプリングトレーニングでブランコの投球を見て、先発候補として指名したと記している。

 デローサ記者は、ブランコのアマチュア時代にも触れ「(ブランコは)アマチュア時代は内野手外野手として活躍した。しかし、スカウトから注目されるほど良くなかったので、18歳で投手に転向した。どうやらそれが正しい道だったようだ」と感想を述べている。

 さらに投手転向後は「午前中は練習し、午後は母親を養うために洗車場で働いた」と、そのハングリーさを紹介。ドミニカ共和国トライアウトなどで投げていたブランコの姿はスカウトの目にとまり、メジャー契約を果たしたのは22歳のときだった。

 また、「ブランコはドミニカウィンターリーグで圧倒的な強さを誇った。エストレージャス・オリエタレスドミニカ共和国のウインターリーグに所属するチーム)でのキャリアでは、55イニングで66奪三振防御率0.98を記録している」と、その片りんを見せていたことを伝えている。

 この日はプロ野球DeNAからカブスに移籍した今永昇太が、メジャー初勝利を果たした。奇しくも、ブランコと今永は1993年生まれの30歳。誕生日もわずか一日違い(ブランコが8月31日、今永が9月1日)だ。ともに夢を追いかけてきた同い年のふたりが、同じ日にメジャーの大舞台で輝きを放った。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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