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 イギリスローマ帝国に支配されていた時代に建てられた豪華に装飾された邸宅跡から多数の遺物が発掘された。その中には、儀式の際に使用されたものと思われる呪いのタブレット、小さな斧なども含まれている。

 英国南部グローヴ村にある広大なこの邸宅は、青銅器時代から使用されていたようだが、のちの古代ローマ時代に豪華な装飾が施された見事な建物へと変わったようだ。

 彩色された漆喰、モザイク、華やかなタイル細工、柱廊、レンガの床、その他さまざまな装飾が現在まで残されていた。

【画像】 イギリスがローマ帝国に支配されていた時代の最大級の邸宅

 ブリタニアイギリス)は、紀元43年にローマ帝国に侵略され、その支配下となった。この邸宅周辺は、1世紀末から2世紀にかけて建物が増築された。

 4本ある巨大な柱あるいはその基礎の名残りは、英国の古代ローマ時代のものとしては最大級だ。近くに中央の廊下によってつながった複数の部屋がある建物も発見された。

これだけの規模の建物が今もまだ残っていること、出土品の豊富なことからも、この地域でかなり有力な家だったことがうかがえます

 発掘を行ったレッドリバー考古学グループ(RRAG)のシニアプロジェクトマネージャー、ルイス・スッタフォード氏は語る。

 出土した数多くの遺物から、ブルックサイド・メドウズとして知られるこの場所は、英国が1世紀ないし2世紀から4世紀後半あるいは5世紀初頭にかけて、ローマ帝国の支配下にあったと断定された。

・合わせて読みたい→1600年前の鉛のタブレットに記された呪いの言葉

この遺跡は地方にある通常の遺跡よりも遥かに複雑な構造で、青銅器時代からローマ時代に至るまでの長きにわたって、活動の重要な中心地であったことは明らかです

 RRAGのフランチェスカ・ジャレッリ氏は言う。

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ローマ時代の邸宅群のドローン画像 / image credit:SUMO GeoSurveys

ローマ帝国の影響を感じさせる数々の出土品

 硬貨、指輪、ブローチ、赤粘土で作られた食器、穀物を乾燥させるかまど、馬の頭をかたどったベルトのバックルなどが発見された。

 このバックルは西暦350~450年頃のもので、軍関係者などエリートが使っていた可能性がある。

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馬の頭をかたどったベルトのバックル。エリート階級が使っていたものかもしれない / image credit:Red River Archaeology Group

[もっと知りたい!→]現代にも通じるのか? 古代ローマで使用していた呪いの石板、7つの呪い

呪いの儀式に使用されていた可能性のある遺物も

 また手のひらサイズの小さな斧が数本発掘された。

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手のひらサイズのこの斧は古代の儀式で使用された可能性がある / image credit:Red River Archaeology Group

 他にもローマの呪いのタブレットに似た鉛の巻物といった謎めいた遺物も発掘された。研究者はこれらの斧やタブレットに似た巻物は、呪いの儀式の一環で使われたのではないかと推測している。

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発掘された金属でできた巻物は儀式道具の一環か / image credit:Red River Archaeology Group

 供物として使われた似たようなアイテムは、英国中のほかの教団や寺院遺跡でも見つかっている。

 ローマ時代の小型の武器が戦いの神への捧げ物とされたと考えられているユーレイ村や、ロンドン南部のサリー州にあるローマ寺院、ファーレイ・ヒースなどだ。

References:'Richly decorated' Roman villa with 'curse tablets' and tiny axes unearthed in England | Live Science / written by konohazuku / edited by / parumo

 
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古代ローマ時代の呪いのタブレットや斧などがイギリスの邸宅跡地で発見される