元ブラジル代表であり、元代表監督でもあるドゥンガ氏が鈴木啓太氏のYouTubeチャンネルに出演し、ジュビロ磐田に在籍時の日本人選手との思い出を語った。

 ドゥンガ氏が磐田に加わったのは1995年Jリーグが創設されてから間もなくの日本人選手は、技術は優れていたものの、勝ちたいという気持ちや、うまくなりたいという向上心が足りなかったという。

 鈴木秀人は体の痛みを訴えることが多く、試合のハーフタイム中に「痛い」という言葉を口にした。それに腹を立てたドゥンガ氏は、

「彼に近づいてこう言った。『お前は男か、女か。お前は女だ。いつも痛いとすぐに喚く』。すると彼は泣き出したが、後半は素晴らしいプレーをした」

 福西崇史や藤田俊哉、中山雅史には特によく怒った。集中力を欠くことが多く、そのたびに叱責したという。試合で怒られると、翌日の練習時に何が悪かったのか聞かれたこともあり、磐田の選手は謙虚にドゥンガの意見を聞き入れたようだ。

 唯一、怒られたことに腹を立てたのが、現・日本代表のコーチを務める名波浩ドゥンガ氏は、

「ある試合で名波とGKが1対1になり、彼はループシュートで華麗に決めようとした。それを怒ったら数時間、口をきいてもらえなかった」

 三浦知良とはブラジルのサントスFCでチームメイトだったことがあり、当時をこう振り返った。

「カズは同じポジションにゼ・セルジオ(元ブラジル代表)というライバルがいて、上回らないといけないから『どうすればドリブルやシュートが上手くなるのか』と聞きに来てくれて、何度も練習したから覚えている。カズはとてもいい選手で、プレーを注意深く見ていなければいけなかった。左右どちらでもドリブルできる選手」

 対戦した中で覚えている選手はいるかと聞かれたドゥンガ氏は、前園真聖中田英寿の名前を挙げた。

 ブラジル代表のキャプテンとしてW杯優勝を果たした後、W杯に出場したことがない国にやってきたドゥンガ氏。そんな鬼軍曹が、日本にもいい選手がいたと証言したのは、嬉しい限りである。

(鈴木誠)

アサ芸プラス