シンガポールメディアのCNAは1日、中国の国有航空機メーカー、中国商用飛機(COMAC)について、今のところエアバスボーイングの2強支配を揺るがしてはいないが、それも時間の問題だとする記事を掲載した。

中国メディアの環球時報が要約して伝えたところによると、記事は、COMACがシンガポール航空ショーで脚光を浴びたことについて、ボーイングが一連の事故を受けて沈黙を保ったことと関係しているとはいえ、そのことだけで、COMACが開発した中国初の国産中型ジェット旅客機C919」の受注獲得と中国以外の地域への販売を保証するのに十分なのだろうかと疑問を投げ掛けた。

そして、その答えを簡単に言うと「イエス」だが、それには時間がかかるとした上で、「COMACがどの市場に注目しているかは明らかだ」とし、C919がシンガポール航空ショー後にベトナムカンボジア、タイ、マレーシアインドネシアでデモ飛行を実施したことに触れ、「東南アジアは地理的に近いだけでなく、その経済は強くて安定した中国に依存している」「東南アジアは世界で最も急成長している航空市場の一つだ。新興航空会社の数が増加し、東南アジア内旅行に豊かな機会をもたらしている」と伝えた。

記事は、COMACの商用機にはリージョナルジェット機のARJ21とナローボディー(単通路)機のC919があり、ワイドボディー機のC929は現時点で設計段階にあること、ブルネイの新興航空会社ギャロップエアがC919を15機とARJ21を15機発注したと伝えられたこと、インドネシアの新興航空会社トランスヌサ航空がARJ21を2機(発注中は30機)配備していて、C919を発注する可能性が高い候補の一つであることに触れた。

記事は、C919の最大の魅力はその価格だとし、COMACは公式には1億ドル(約151億円)で販売していて、エアバスボーイングが自社の航空機に提示している金額に近いが、航空機リース会社幹部の話として「30~40機を一括購入すれば、さらに数百万ドルの値引きもしてくれる」と伝えた。さらに、輸出クレジットなどを含む奨励金がC919を購入する意欲のある航空会社に拡大される可能性もあり、メンテナンス、修理、オーバーホール格納庫の建設、乗組員の訓練などのサポートもパッケージに含まれていると伝えた。

記事は、COMACについて「少なくとも現時点では、金もうけを目的としてゲームに参加しているわけではない」とし、「同社の戦略はシンプルだ。ボーイングが自ら負った傷に動揺しているこの時期に、国内で規模を拡大し、航空機の改良を続け、独自のエンジンを開発し、市場の隙間を利用する。エアバスによると、米国は依然として世界最大の国内航空市場だが、中国は僅差の2位で、2042年までに航空サービスの世界市場でトップになると予測されている」とした。

そして「ほんの10年前、中国企業が電気自動車(EV)ビジネスで世界をリードするなど誰も想像していなかっただろう。航空分野においても、誰もCOMACを無視すべきではない。東南アジアをはじめとする世界の他の国々で勝つまで、国内市場で実験を続ける余裕がある」と伝えた。(翻訳・編集/柳川)

シンガポールメディアのCNAは1日、中国の国有航空機メーカー、中国商用飛機(COMAC)について、今のところエアバスとボーイングの2強支配を揺るがしてはいないがそれも時間の問題だとする記事を掲載した。